左手薬指にキラリと輝く指輪が、俺の目を奪っていた。確かに俺が仕掛けたサプライズだったんだけど、まさか。えっと、呪詛返しじゃなくて何て言うんだ。人を呪わば穴二つ。いや、これも違う。

 慧梨夏の誕生日だということで久々に外でのデート中だ。水族館へ行って、港町の夜景を見下ろす観覧車に乗って。その観覧車の中で慧梨夏に小さな指輪を渡した。将来の約束のつもりで。
 ブルーサファイアが慎ましく輝くシルバーリング。元は右手薬指にはめたんだけど、慧梨夏が「予約のつもりならはめる指が違うでしょ」なんて言うモンだから、左手にはめ直した。