23/12/25 21:32:
▼彩雲国:
2023クリスマス

窓越しに、音もなく降る雪を眺めていた嵐は「あっ」と声を上げた。

後ろから嵐を抱きすくめていた戰華が「ん?」と自覚がないほど優しい声で尋ねる。

嵐は肩越しに戰華を仰ぎ見て、それからニコニコと笑みを浮かべて口を開く。


「今日はクリスマスだよ、戰華」

「クリスマス…懐かしいな。そうか、今日だったか」

「私は一年いい子にしてたから、サンタさんからプレゼントが来るかなあ〜楽しみだなあ〜」


くすくすと笑いつつ、そんなことを言ってみたら、戰華も同じようにくつくつと笑う。


「くくっ…そうだな。いい子にしてた嵐には来るかもな。だが、サンタクロースが来る歳でもないだろう」

「うわ!意地悪だ…そんな意地悪な戰華のところにはサンタさん来てくれないよ?」

「そんな歳でもないからな。それに、俺はどっちかと言えば悪い子の方だろう?」

「……それは確かに?」

「ははっ!それに、今の俺に欲しいものはないしな。―――もう、この腕の中にあるからな」


そう言って抱き締められて…嵐は顔が熱くなるのを感じた。…幾つになっても、何度言われたって、慣れやしない。

だからお返しとばかりに嵐は腹に回された腕に手を当てつつ、口を開く。


「…私だって、この温もりがあるから、他には何もいらないもん。―――戰華がそばにいてくれるなら、それだけで幸せだもん」


心から、そう思う。

幾多の困難を乗り越え、一度見送っているからこそ、こうして今、触れ合えている今が、たまらなく幸せだ。

お腹に回った腕に力が込められ…そして、私の好きな声が、私の耳元で甘く、宝物のように、囁く。


「愛してる」


ああ、なんて…なんて、幸せなんだろう。

今この瞬間が、何よりもプレゼントだな、なんて思って、私も戰華にプレゼントを渡すべく同じように耳元に唇を寄せて囁く。

あなたにだけ届いて欲しいプレゼントだから、小鳥の囀りのように小さく、こっそりと、大切に。


「私も、愛してる」

「ああ、知ってる」


お互いに目を合わせて、思わず笑って。

それから、互いの熱を分け合うように、静かに、柔らかく、唇を合わせた。



〈囁きあうプレゼント〉


―――――――――

メリクリ2023!&15周年ありがとうございます!
今年は彩雲国物語20周年というめでたい年ですね!原画展のカラー表紙原稿最高でしたね!!戰華さん!!好きです!!
我が家の戰華さんと嵐ちゃんは離れてた分、これから先はずっと一緒に二人で幸せになって欲しい…おじいちゃん、おばあちゃんになるまで…幸あれ…
では、ありがとうございました!

2023.12.25

 


  
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