おれにばっかり聞こえるんだ ≪夏目友人帳≫ 13.09.18

夏目友人帳新刊いまさらの感想。
 

13巻:(http://mblg.tv/peace420/entry/169/
西村、北本と出会った頃の夏目を描いた特別編に泣かされました。
ぎくしゃくした夏目でも、3人の今を思うとあたたかいです。
本編の「連鎖の影」は、名取なしで的場一門と関わる夏目の、名取や的場を筆頭とする「祓い屋」という立場とそれに属さない自分とにはさまれた心境が浮き彫りになるお話。
人との距離は昔ほど困難ではないようで、いまだに複雑な境遇の夏目。
どう言い表すのが一番よいのかわかりませんがさまざまな壁にぶつかる夏目を”応援”よりももっと身近な立場でやさしく見守っていきたくなりました。

14巻:
13巻は的場一門や名取と夏目だったり、西村北本と夏目だったり、そういった「人間と夏目」の巻だったけれど、14巻は「妖と夏目」のお話。
でも一人妖と対峙しているときも的場一門や名取のことを考えてモヤモヤしている夏目がいたりと、いままでの「妖と夏目」よりも複雑で寂しい感じ。
「見える」ことを最初に話せて、「見えない」けれど理解してくれた田沼の存在があって本当によかったなと思います。

15巻:
名取さんに相談してしまいたいけれど、祓い屋という立場にいる名取さんに話してしまうのは妖に対して裏切ることになるとも考えて、またもや板挟みになりまわりに秘密にして抱え込む夏目。ついに友人帳の存在に気付いた名取さんと夏目の関係もそろそろ進展するのかな…と思いました。次にでてくるときの名取さんが楽しみです。 というか月刊連載だと2巻でてないだけで簡単に空気になってしまう的場さん。笑
UVERworldの曲に「素敵な景色をみたとき 感動する前にこう思ったんだ 君にすぐみせてあげたいなって」っていう歌詞があって。塔子さんのあの気持ちかなあって。いいなあ、塔子さんの滋さんを想う気持ちあったかくて泣ける。
毎回泣いてるけどジンベの「またそばにきてもいいでしょう?」でもう大号泣だから目がいたいです。



新刊感想にうつります。

普段は妖を見ることができないけれど、祖父の陣を使えば交流することができるタキと、少しだけ妖の存在を感じることができる田沼という、夏目が妖とかかわった生活を送っていることを唯一知っている同級生の友人2人がメイン。「見えない」ふたりにも関わってきてもらったけれど、16巻では言えない秘密をまたひとつ、ひとつと抱え込んでしまう夏目のお話。

妖の姿を夏目のように見ることのできない2人と妖たちの間で板ばさみになってしまう夏目は、人と妖、それぞれの側からの想いを伝えきれずにいる。人と関わることをせず、妖にだけ心を開いていた過去をもつがゆえに妖の気持ちもわかるし、西村や北本と関わって人の気持ちもわかるようになった、心優しい夏目は悩んでしまう。

聞かせてやりたいけど、みせてやりたいけど、自分にしか聞こえない、みえない。おれにばっかりだ。
「どうか――あれだけはどうか 内緒にしてくれ」
「このことは 誰にも話しちゃだめよ?」

――ああ また
秘密にしろって 勝手なことを
おれにだけ心を見せて
大事なくせに
優しいくせに

 


人間側と妖側でいつもゆれてしまう夏目だから、いつでも不安定で崩れやすい。それを支えている友人や妖が、16巻までにずいぶんと増えたのだな、と思った。
田沼がイトさんを妖かと思ってたのだとこぼしたときに夏目が「妖かどうかをおれに確かめさせるために呼んだのか」という不安を感じたのは、まだ夏目は“弱い”のだということを示しているんだと。田沼やタキのことは信頼しているのは本当だと思うけど、まだすべてを打ち明けられないからこそ、どこまで入り込んでいいのか、と距離のはかりかたを決めあぐねてしまっている夏目が切ないです。
ぜんぶ預けたって夏目をせめる人や妖は、夏目の周りにはもういないんだけどなあ。これからも夏目は「巻き込みたくない」という一心である程度遠ざけてしまうんだろう。 

あとがきにもありましたが、田沼と夏目は普通に友人として過ごしたいとお互い思っている反面、秘密を打ち明けてもらった田沼は、夏目と西村、北本のような友人関係にはなれないのだろうなと感じているし、夏目にも西村と北本に田沼と同じ思いをしてほしくないと田沼をみて思っている。ひとの感情はなんて切なくて優しいんだと思う瞬間でした。





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