音楽プロフィール

・ ・ ・ + ・ ・・・・ ・ + ・ ・ ・
 孤高であるということ 
・ ・ ・ + ・ ・・・・ ・ + ・ ・ ・

その演奏力を認めている男がいる

とある日の休憩時間、私と彼は偶然二人きりになってロビーの長椅子に並んで座っていた

偶然‥ といっても何てことはない、二人とも孤独癖があって 周りの群れから離れて来た場所が同じだったのだと思う


長い沈黙を破って彼が私に口を開いた

「何をやっても自分には理解者がいないんですよね‥」

演奏のことなら彼の奏でる音楽には 私だけでなく、同業者なら広く認めているところだから、何に対する理解なのかははっきり分からなかったが、暫く沈黙が続いた後に私も口を開いた

「だから あなたの奏でる音楽は特別なんじゃないかな‥」



彼の目から涙が溢れた

ちょっとびっくりした
でも、可哀相というより こんなに自分を追い込んでいる彼を 流石だなと思った


完成度が高く 舞台上から独特の表現力で人々を魅了する演奏家は、凡そ例外なく孤高である


理解者‥
解ってくれていると思っていると思いがけないタイミングで足元を掬われたり、応援してくれていると思っていたら裏で悪さされているなんていうのは人生の中で経験するものだからね‥

だから本当の理解者という者が現実に居るものなのかどうか私には解らないけれど‥

自分のことを理解してくれている人が必ず一人
裏切ることなく応援し続けてくれる人も一人
「自分自身」という存在がその一人いれば、それで充分だと 私はもう そう思うけれどね‥

そんな野暮なことは、その日の彼には話さなかった





そうだね‥
私と似たような人生を送っている彼だけれど
涙が溢れた彼には
誰か‥ 彼を深く理解してくれる人が誰か 彼の人生に一緒に寄り添ってくれないかなと‥
ちょっと想った

辛いね‥




良い演奏を目指して 私たち演奏家は自分自身と対話し、葛藤し、戦って、夢を掴んでまた夢を見る


夢と現実の境界なんて‥
とうの昔に無くなっているよ











































コメント→【023/12/31 00:09


拍手

・ ・ ・ + ・ ・・・・ ・ + ・ ・ ・
 Top.Book mark? 
・ ・ ・ + ・ ・・・・ ・ + ・ ・ ・




-エムブロ-