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消費期限は無いが 賞味期限は有る 一人の演奏家が真面目に音に向き合い続けるならば、その人のファンや身近な人たちにとって、たとえ多少 力が落ちていたとしても、その演奏家の 消費期限 は無いと言える しかし どんなに直向きに音楽に取り組んだ人でも、生き物である以上、その人が辿り着いた奏でる音のレベルが高ければ高い程、その 賞味期限 は有る 誤解を怖れず述べるなら 演奏家に限らず、人の人生にも同じことが言える 自分の容姿や身体能力,脳の劣化から来る感性,感度,脳力の後退や変化‥ これらに自ら着目せずに生物学的な盛りと同じことをやっているつもりでいたら、そこには齟齬が生じ 可笑しな事に成って行く 自分の賞味期限に目を向けない人は その活動の中で、いつの間にか周りがとっくに引いている事に気が付けない そして面白いことに、己の賞味期限に気を留めながら生きる人の賞味期限は長くなるのである 生物学的見地から自分の身体の変化,容姿の変化としっかり向き合うこと 脳の老化が及ぼす影響は、記憶力や計算力に留まらず、心の動きや感性,感度,気力などにも及び、それらの多くが「脳」によって発動しているという科学的事実を識ること もしも生物学的盛りを超える部分を手に入れ、それ以降も尚、自分のためだけでなく、聴く人々を何かしら魅了したいと思うなら‥ 味方につけるべきは 「熟成」 であろう ワインも然り 質の極めて高いワインは 長い年月を経て初めて其の力を発揮する 若いワインが逆立ちしても及ばない領域が其処に在る 熟成させる環境を整え,綿密な管理が為される事が其の条件であるのは言うまでもない |