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デュラ盗賊パロシリーズ(六×門)

あなたへの直行便(六条×門田)

 


「京平っ!」


バタンという派手な音とともに店のドアが開き、大きな呼び声が屋内に響き渡った。
夕方という事もあって人は疎らだったが、中にいた数人の客が一斉に何事かとドアの方を見やる。
その中でも唯一こちらを向かなかった客―――――店の過角の窓際席に座っている男―――――を発見し、今しがたこの店に入って来た六条千景はパッと顔を輝かせた。
真っ直ぐにツカツカとその男のところまで進み、彼の向かい側の席に座ってニコリと笑う。


「京平、やっぱりここにいた。」


千景の言葉に、目前の男・・・・門田京平はチラリと彼を見やった後、細く溜め息を吐いて手に持っていた物をテーブルに置く。
それを見て、千景は一瞬きょとんと目を瞬かせたが、すぐに眉を吊り上げた。

門田がテーブルに置いたのは、本日発売されたものであろう新聞。
トップ記事には、大きな見出しで『雷神現る!!』と記されている。
記事の内容は、昨晩『雷神』という怪盗が街の富豪の屋敷に潜入し、警察の目を欺いて見事高価な壷を盗み出したというもののようだ。

千景は睨み付けるような視線でザッと記事を読み終えると、足を組んで椅子の背凭れに身を預け、吐き捨てるように言う。


「けっ。なぁ〜にが義賊怪盗『雷神』だ。いくら狙う品が悪名高い奴らの物ばっかっつったって、盗んだ事に変わりはねぇってのに・・・・なぁ京平!あんたもそう思うだろ!?」
「・・・・まぁ、そうだな。」


同意を求められ、門田は仕方ないという風に頷きながら頼んでいたコーヒーを口に含む。
その間に、千景は不機嫌な表情のまま男性の店員にアイスティーを注文している。
店員が厨房の方へ入っていったのを目に入れながら、アイスティーが来るまで暇らしい千景は改めてまじまじと新聞を眺め、


「それにしても『雷神』ってのはどこのどいつなんだろうな?噂じゃ男女のコンビだとか、すげぇベテランのじいさんだとか、警察内部の奴じゃねえかって話まであるもんなぁ・・・・。」


『雷神』を目の敵にしている千景は、ブツブツと正体に関してああでもないこうでもないと呟いている。
それを耳にする門田は、内心で「どの噂もあり得ない」と呆れていた。
男女のコンビならまだしも、誰がどういう場面を見たらベテランの老人という噂が流れるのか。
彼は、その噂の全てが偽物だと知っていた。

何故なら―――――彼こそが、『雷神』の一人だからだ。

本来は相棒と二人でやっているのだが、もう一人は今はここにいない。
恐らく、家かアジトでタバコでも吹かしている事だろう。

どうやら『雷神』が気に喰わないらしい目前の千景には申し訳ないが、自分の正体をバラす訳にはいかない。
バレない自信はあるが、もし万が一何かあった時の為に、この話は早々に切り上げるのが得策だ。


「・・・・・千景。」
「ん?何?」
「お前、今日は何の用事で来たんだ?」


コーヒーカップをソーサラーの上に戻し、別の話題を振る。
すると、千景は何度か瞬きをした後、ニヤリと笑って、


「何だよ、ハニーに会いに来るのにいちいち理由がいるのか?」
「ハニー?誰の事だ?」


腕を組んで片眉を上げて尋ねてくる門田に、千景は「伝わらなかったか・・・。」と残念そうに呟いた。
だが、ここでめげてなるものかとその後に人差し指を真っ直ぐ門田へ向ける。

となれば、今度は門田が瞬きをして呆ける番で。
改めて訊かずとも、ここまでされれば自分が千景曰くの『ハニー』である事には気付く。
そう理解した瞬間、わずかに頬を赤らめて目を見開き、


「ばっ・・・・・誰がハニーだ!」
「あー、京平照れてるー。可愛いー。」
「うるせぇ!」


門田が怒鳴り終えたところで、千景が注文していたアイスティーが届く。
店員に見られている手前、大声を出すのはここまでにしておいて口元を引きつらせながらも渋々黙る門田。
注文を受けた男性の店員とは違う女性の店員に「ありがとー!」と笑顔で礼を言ってから、千景は門田に向き直ってこう切り出した。


「だって、用事終わってすぐあんたに会いたかったんだよ。本当は家に行こうとしたんだけど、この時間はお気に入りの店で本読んでる事も多いから、真っ直ぐこっちに来たんだ。そしたらビンゴでさぁ、俺ってすごくねぇ?」


とても楽しそうにニコニコしながら話す彼を見ていると、怒る気も失せてくる。
先程『ハニー』と言われた事は多少引っかかるが、一度終えた話題なのでわざわざ蒸し返す必要もないだろう。

門田は細く長い溜め息をつき、残りのコーヒーを飲むべくカップに手を伸ばす。
純粋に接してきてくれる彼に対して、罪悪感がないといったら嘘になる。
何せ、こちら側は正体を隠しているのに、千景が盗賊団『虎丸』の頭だという事は知っているのだ。
千景が自分の正体を知った時の事を考えると、胸がズキリと痛む。

―――――けれど。

今は、こうして二人で話している事が楽しく思えるから。
だから、もう少しこのままで。

 




(ハニー、他にも何か頼まねぇの?)
(ハニーって言うな!!)

 

 



とうとう始めてしまった盗賊パロ^q^
なのに盗んでる話とかじゃなくてまさかのろちドタぁあああああ!!
ずっと・・・・ずっと書きたかったんですろちドタ・・・・。まさか初めてちゃんと書いたのがパロになるとは^q^
あなたへの直行便っていったら、もう想い一直線のろっちーしかいないかと!←独断と偏見

 


お題提供元様:空は青かった

デュラ小話(<来神時代>静雄×臨也)

フレームにおさめて(<来神時代>静雄×臨也)

 


「シズちゃーん。」
「あぁ!?」


聴けばそれだけで腸が煮え繰り返りそうな声の主に呼ばれ、平和島静雄は反射的に振り向いた。
どすの利いた低音で凄んだというのに、それくらいで怯むような細い神経は持ち合わせていない相手―――――折原臨也から返ってきたのは、言葉ではなくパシャという軽い音と眩しいフラッシュ。


「なっ・・・・にすんだ、てめぇ・・・・!」


突然視界一杯に広がった眩さに、思い切り顔を顰めて臨也を睨み付ければ、彼は覗いていた使い捨てカメラから顔を上げてニヤッと笑う。


「あはははは・・・・!シズちゃん変な顔ー。そんな顔してると、そこらの不良どころか可愛い可愛い仔犬にまで逃げられちゃうの当たり前だよね〜。」
「・・・・・はぁ?何言ってんだてめぇ。」


ペラペラといつもの調子で喋り出す臨也の発言に、静雄の眉間に皺を寄せたまま訝しげな表情を浮かべる。
すると、臨也は嫌らしい笑顔を一層深めて、


「あれ?昨日の夕方頃、学校裏の道で犬に近付こうとして逃げられたのって・・・・シズちゃんだよねぇ?」
「!」


とたん、静雄の鋭い眼が大きく見開かれた。
かと思うと、バッと顔を紅潮させて怒声を張り上げる。


「てめぇノミ虫・・・・っ!見てやがったのか!」
「面白い被写体がないかなぁって探してたらたまたま見つけたんだよ。いやぁ・・・・思わず激写しちゃうほど面白い光景だったね。」


言って、見せつけるように手に持つカメラをぷらぷらと揺らす。
その表情や言動に、ただでさえ元から苛立っている静雄が反応しない訳がない。
こめかみ付近に青筋を浮き上がらせ、目前の黒髪を睨む。
だが、睨まれた彼は「おぉ怖っ。」とわざとらしく肩を竦ませるのみ。


「そのカメラ・・・・寄越しやがれ!」


カメラを奪おうと、静雄が勢い良く手を伸ばす。
けれど、臨也はその手をひらりと身体を器用に反らせて避けてしまう。


「嫌だなぁシズちゃん。俺がそんな簡単に渡すと思ってるの?」
「思ってねぇよ!」
「だったらさぁ、そうやって一直線に突っ込んでくるとかじゃなくて、もう少し意表を突いてみるとか驚かせてその間に奪うとか考えない訳?」


そう言ったと、ほぼ同時。

急にグイと胸倉を掴まれ、「え?」と思った時にはすでに臨也の目前には静雄の顔が迫っていた。
近くで見ると何だかんだ綺麗な顔してるなぁ、などと冷静な感想が頭の片隅を過ぎる。
その間にも、相手の顔は鼻先同士が触れるほど近付いてきて。
あ、と声を漏らす前に、気付いたら唇を奪われていた。


「・・・・ん・・・ん・・・!ふっ・・・う・・・・っ!」


思考を全て痺れさせるような、深い口付け。
突然の事に何も対処する術がなく、為すがままに唇を貪られる。
実際にはたった数十秒間だったけれど、思考が蕩けているせいかとても長い時間そうしているように感じられた。

あまりの快感にガクガクと膝が震え出した頃、何の前触れもなく唐突に解放された。
ふらりとよろめき、恥ずかしさからか上手く息が出来なかったからか、顔を紅潮させ呼吸を荒くする臨也。

キッと静雄を睨むと、彼は勝ち誇ったように強気に不敵にニヤリと笑った。
何故そんな笑みを浮かべたのかと疑問に思う間もなく、臨也は答えを知る。
彼の右手には、確かについ先程まで自分が持っていた使い捨てカメラがあったのだ。


「ちょっ・・・・!卑怯だよシズちゃん!カメラ返せ!」
「意表突けっつったのはてめぇだろ?なぁいーざーやーくん?」


子供が見たら大泣きしながら走り逃げていきそうな―――――口元は三日月に歪んでいるが、眼は完全に冷めている―――――表情で言うと、静雄は右手に力を込めた。
手中のカメラが、メキャメキャととても不気味な音をさせながら潰れていく。

無残に粉々になっていくカメラを見て喚くのは、勿論持ち主の臨也である。


「ああああああシズちゃん酷い!俺のカメラだよ!?」
「だからブッ壊すんだよ!こんなもん残ってたってロクな事になんねぇ!」


静雄の握力によって雑に分解されてしまったカメラが、屋上の床に乾いた音とともに落ちる。
もうカメラの機能どころかフィルムすら砕かれた物体を、しばし沈黙したまま見つめる臨也。

黙り込んでしまった彼に、流石にやり過ぎたかと一瞬静雄の心に罪悪感が湧く。
何となく場の空気に耐えられず、遠慮がちに声をかけようとした瞬間、ばっと臨也が顔を上げた。


「・・・・まぁいいや!」
「―――――は?」


明るい声音の一言に、思わず間の抜けた反応を返してしまう静雄。


「カメラ一つ壊されたくらいで落ち込む訳ないじゃん。だって・・・・・」


そこまで話す間に、すでに彼は屋上の出入口のドア前へと移動している。
静雄が未だに彼の言っている意味を上手く解釈出来ず棒立ちしていると、臨也はそれはそれは綺麗ににーっこりと微笑った。


「昨日犬に逃げられたシズちゃんを撮ったのって、そのカメラじゃないんだ。」


言うと、すぐさまドアを開けて、


「じゃーねシズちゃん。また被写体になってよ。」


ヒラリと手を振って、軽い足取りで下へと続く階段を下りていく。
徐々に遠ざかっていく足音と見えなくなる後ろ姿を、静雄はしばらく呆然と見送っていた。




(いぃぃぃぃざぁぁぁぁやぁぁぁあああ!!)

 

 



うおおおおおお小説でキスシーン書くの実は初めてだった!←
めちゃくちゃ照れますね・・・・!こういうシーン書ける方は本当に凄い・・・・!!
基本CPでもギャグだったり、後は友情ばかりなので、あまりそういう絡みがなくてすいませ・・・・!^q^
もっと素敵なエロスをお望みの方には申し訳ない・・・・!書けるように精進致しますキリッ
それにしても、臨也の口調が未だに掴めないwwwさすがウザヤ←
シズイザ難しいですね・・・・公式で本格的戦争コンビだからラブ書けn・・・はっ!そうかツガサイで行けばいいのか←
そして相も変わらず途中からお題に沿ってない微妙な感じになってしまって申し訳ありませんでした!

 


お題提供元様:空は青かった

デュラ小話集(選択お題10個)

君、僕のこと好きだよね?(静雄×臨也+門田<来神時代>)

 

「シズちゃんってさ・・・・・・俺のこと好きだよね?」

めきゃっ!

「・・・・・・静雄。顕微鏡がひしゃげたぞ。」
 

(どーしたのシズちゃん。顔真っ赤だよー?)
(・・・・・・っ!殺す!!)


〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
生物か何かの授業の最中でした。←

 


 

ずっと、夢見てた(門田×臨也)

 

こうやって、お前を抱き締められる瞬間を。

 

(それが、ほんの一瞬の夢であったとしても。)


〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
個人的にはドタ←イザが好きだけど、たまにはドタ→イザで。

 


 

こころに強く誓っても、(静雄)

 

大切なものを、いつかこの手で壊してしまうのではないかと。
不安で、不安で、不安で。

 

(こんな俺を愛してくれる人なんて、現れるのだろうか。)


〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
罪歌事件の前の時間軸のシズちゃんのイメージで・・・・。

 


 

最後の最後の涙まで(静雄←臨也)

 

それさえも拭ってくれないなんて。
シズちゃんなんて、本当大嫌いだよ。

 

(君のことを想って泣いてるっていうのにさ。)
(なのに、どうして俺を見てくれないの?)


〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
女々し臨也。^q^

 


 

私たちの恋を奪わないで(新羅+臨也)

 

「こんなに愛し合ってる僕達を引き離そうなんて酷いよ臨也!はっ・・・・!もしかして・・・・・セルティに気でもあるの!?ぼ、僕は絶対に、何があっても、セルティは渡さないよ!」
「・・・・・あーもう新羅うざい。」
 

(い・・・臨也にうざいって言われた・・・!物凄くショックだ・・・・。)
(ちょっと新羅!それどういう意味?)


〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
新羅とセルティが家で談笑してる最中に仕事を持ってきた臨也くん。自分のタイミングの悪さに後悔中。

 


 

全力で恋します!(六条×門田)

 

「門田!結婚しよう!」
「断る。」
 

(酷ぇ!一世一代の大告白だったのに!)


〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
門田さんは照れてるんです。←

 


 

この感情も涙も全部(静雄←臨也)

 

「君のせいだって、わかってる?」
「あ?何が?・・・・・って、おま・・・・!何泣いてんだ!?」
「・・・・・・・・シズちゃんって、本当鈍いよね。」
「・・・・・・・は?」

 

(そういうトコが、大好きで、大嫌いだよ。)


〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
たまには喧嘩してないシズイザ?いや、シズ←イザ一方通行。

 


 

例え嫌われたっていい(静雄←臨也前提臨也+門田)

 

「嫌い嫌いも好きの内って言うじゃないか。」
「・・・・・・・例えじゃなく、お前の場合は静雄からかなり本気で嫌われてるだろ?」
「えっ!?」
「何だよ、その顔・・・・・。!もしかしてお前・・・・・。」

 

(本当に嫌われてるって知らなかったのか・・・・。)


〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
こんな感じのアホ可愛い臨也も好きです。^q^

 


 

この想いはとまることを知らない(六条×門田)

 

「だから!結婚してくれ門田!!」
「断る!つーか、そもそも出来ねぇだろ!!」

 

(おっ・・・・俺負けない・・・・・!!)


〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
ろち→→→→→→→→→→←ドタくらいが好き。馴れ初め辺りはね!

 


 

大好き、って言わせてよ(静雄×臨也)

「ねぇシズちゃん。」
「あ?」
「一つだけ言わせてよ。」
「あぁ?何だよ、勿体ぶってねぇで早く言いやがれ。」
「じゃあ言うよ?」
「?」
「大好き、だよ。」
 

(っ!?ばっ・・・おまっ・・・・何恥ずかしいこと・・・・!)
(あーシズちゃん顔真っ赤ー。照れてる可愛いー。)
(・・・・いぃぃぃざぁぁぁやぁあああああああ!!)


〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
最後はたまにはラブくなっていいじゃない!

 


お題提供元様:humming girl

デュラ小話(来神組)

第三者の傍観論(来神組)

 

目前で繰り広げられている、一対一の喧嘩という名の戦争を見つめて、門田京平は溜め息を吐いた。
同じ班の金髪と黒髪は、周囲の人々の視線も気にせず大暴れの真っ最中。
自由行動の時間なので、次はどこを回ろうかと話し合っていただけのはずが、どうしてこうなったのだったか。

事の始まりは、物凄く些細な事だった気がする。
だが、その些細な事も黒髪をとてつもなく毛嫌いしている金髪にとってはベンチを振り上げるほど怒る事らしい。
“ベンチを振り上げるほどの”というのは決して例えの表現ではなく、実際今眼前で見られる光景だ。

門田からしたら見慣れてしまっているこの喧嘩も、修学旅行で初めて訪れた地の人々にとっては完全に常識外だろう。
ベンチや道路標識が飛ぶ喧嘩など、暴走族の抗争等でも聞いた事がない。

門田は再び溜め息をついてから、今度はチラリと横を見やった。
前でこれだけの大騒ぎが起こっているというのに、同班残り最後の一人である眼鏡の少年は、我関せずといった様子で土産物屋を眺めている。
誰かに何かを買っていくつもりなのだろうか、熱心に選んでいた背中が急にくるりとこちらを向いた。


「ねぇねぇ門田くん!こっちとこっち、どっちがいいと思う?」


テンション高めに尋ねてくる彼の両手には、一つずつ置き物が握られている。
両方ともお世辞にもセンスが良いとは言えないデザインだったが、ざっくり答えるのも気が引けるのでこう返す。


「・・・・あー・・・右・・・・・・の方が良いんじゃねぇか?」
「やっぱりそう思う!?いやぁ僕も右だと思ってたんだよね!絶対セルティも気に入るよ何せ僕達はいつでもどこでも以心伝心だからね!」


口を挟む隙もなく早口で喋り自分の世界に浸ってしまった同級生に、三度目の溜め息が洩れる。
未だに喧嘩し続けている金髪と黒髪を止める手伝いをしてもらおうと思ったのだが、これではそう言っても聞こえないだろう。

改めて前方に目を向ければ、金髪の拳を黒髪がギリギリで避けているところだった。
この十数分で彼らに近寄ってはいけないと悟ったらしい周辺の人々は、かなり遠巻きになって二人の喧嘩を恐る恐る傍観している。
そろそろ止めないと、ただでさえ大きい騒ぎが余計に広がってしまう。
厄介な事になる前に―――――いや、もうなりかけているのかもしれないが―――――門田は声を上げた。


「おい、静雄!臨也!次行くトコ決まったから行くぞ!」


とたん、今まで金髪の攻撃から逃げ回っていた黒髪―――――折原臨也がパッとこちらを見た。


「さっすがドタチン!俺達がこうしてる間にルート決めてくれるなんて、やっぱり君がリーダーで正解だったよ。」


本来、門田はリーダーになる気など更々なかった。
けれど、班のメンバーがこの四人になった・・・というよりは、このメンバーにされた時点で、「話の収拾がつけられる者が君しかいない」と教師に泣きつかれたのである。
確かに誰をリーダーにしても不安要素があるのは否めなかったので、自分ならば多少どうにか出来るかと渋々引き受けたのだが。
修学旅行初日の午前中からこの状態では、なかなかに骨が折れそうだ。


「臨也、その呼び方はやめ」


その言葉が言い終わる前に、横から怒号が飛んできた。


「てめぇぇぇ臨也ぁぁぁぁ逃げてんじゃねぇ!!」


そこらの子供どころかチンピラですら泣いて逃げてしまいそうな形相でこちらへ向かってくるのは、金髪の方―――――平和島静雄である。
臨也が中途半端に戦線離脱した事に苛立っているようだ。
まるで魔神のようにゆっくりと、しかし物凄い怒りを空気に滲ませて迫ってくる静雄に、門田は冷や汗を垂らす。
先程のような喧嘩が再開される前に、どうにかして彼の怒りを鎮めねば。


「落ち着け静雄。臨也を殴るなら旅館に戻ってからだ。」
「えー?俺殴られるの決定事項?ドタチンひどーい。」


全く酷いと思っていないような軽い調子の声が耳に届いたが、敢えて聞き流す。
その話し方が余計に静雄を怒らせるのだが、臨也はそれを知っていてわざとやるから手に負えない。

だが、一度門田に制された手前、静雄も自ら感情を抑えようとしているようで。
最初は額に青筋を浮かべて臨也を睨んでいたが、やがて渋々怒りに震える右手を下ろした。

何とか落ち着いた事態に、門田がホッと胸を撫で下ろす。
今のところは、旅行先で警察沙汰にならずに済んだようである。

―――――と。


「・・・・あ、もう終わった?」


三人のもとへひょっこり戻ってきたのは、先程土産選びに没頭していた眼鏡の同級生。
その彼の両手に大きな紙袋が抱えられているのを見て、門田達は呆然としてしまう。


「新羅・・・・それ、全部お土産?」
「勿論だよ!本当はもっと買いたかったんだけど、あんまり買い過ぎてセルティに怒られても困るからね。いやそりゃ怒ったセルティも可愛いけど、やっぱり笑顔が見たいじゃない?だからお土産はこれくらいに留めておいて、後は楽しかった思い出とか写真に収めていっぱい話そうと思って・・・・」


臨也の問いに対し、顔を思い切りにやけさせながら長々と答える眼鏡の彼―――――もとい、岸谷新羅。
いつになったら区切りがつくのかというほどの長い惚気話に、せっかく治まっていた静雄の怒りが再度沸き上がってきたらしい。
引き攣った表情とくっきり寄せられた眉根が、その事を如実に語っている。


「・・・・なぁおい、門田。」
「何だ?」
「新羅の奴の首なら、へし折ってもいいか?」
「・・・・・出来ればやめてくれ。」


とてつもなく恐ろしい発言をかます金髪の同級生に、門田はもう本日何度目かわからない溜め息を零した。

 

 

 

 
(明日もこの調子か・・・・・。)
 

 



デュラでしっかり小話書いたのは初な気がします・・・というか初です。^^;
最初はシズちゃんオンリーで大好きだったんだけど、今はドタチンフィーバーなんだ!!ドタチン好き過ぎる。
お蔭で出来た小話が妄想たっぷりの来神時代とか・・・・。
ドタチンは高校時代は結構傍観派であまり関わってなかったみたいですけどね^^;
いいじゃないか!二次創作だもの!夢見たいんだ!!←
もっとラブい話とかも書いてみたいです・・・・はい。

落乱転生パロシリーズ『廻りゃんせ』六年生設定

ずっと書く書くと言っていて、こんな時期になってしまいました・・・・orz
転生パロシリーズ『巡りゃんせ』の六年生の設定になります。

★立花仙蔵
私立大川学園高等部3−A在籍。寮は301号室で文次郎と同室。
成績優秀眉目秀麗、おまけにドSの風紀委員長。
実家は、父親が貿易会社の重役なので結構な金持ち。
昔と違って髪は短いが、サラストは健在でシャンプーにも気を遣う。
部活は弓道部と茶道部を兼部し両方とも部長だったが、三年なので引退。
前世の記憶は、小学二年生の時に思い出し済み。
思い出すまでは、気弱なママゴト好きの乙男だった。


★潮江文次郎
私立大川学園高等部3−A在籍。寮は301号室で仙蔵と同室。
会計の計算が合わないと合うまで連日徹夜もする生徒会会計委員長。
小学二年生の時に、仙蔵の家の隣に引っ越してくる。
なので、仙蔵とは小学校からの腐れ縁。(本来は前世から)
留三郎とは相変わらず犬猿の仲。すぐ喧嘩して大惨事。
部活は空手部で部長だったが、三年なので引退。
前世の記憶は、高校生になっても戻らず。


★中在家長次
私立大川学園高等部3−B在籍。寮は311号室で小平太と同室。
寡黙だがしっかり人の話を聞いている、実は一番まともな図書委員長。
本が大好きで、暇さえあれば何時間でも図書室にいる。
昔と違って顔の傷はなく、本を読む時は眼鏡をかけるようになった。
多少口数は多くなったが、相変わらず怒ると笑い出す。
部活は文芸部で部長だったが、三年なので引退。
前世の記憶は、物心ついた頃から持っていた。


★七松小平太
私立大川学園高等部3−B在籍。寮は311号室で長次と同室。
いけいけどんどんの暴君健在体育委員長。
明るく他者を巻き込む天然トラブルムードメーカー。(何
長次とは家がご近所で、幼稚園からの幼馴染じみ。
実は部活には入っておらず、色んな部に顔を出す万能スケット。
前世の記憶は、中等部に入ってすぐに六年生メンバーだけ思い出す。
後の人はボヤーッとだけだが、会うと直感で思い出す野生児。


★善法寺伊作
私立大川学園高等部3−C在籍。寮は321号室で留三郎と同室。
怪我人・病人を放っておけないお人好しな保健委員長。
寺の息子なので霊力はあるが、次男の為継ぐ気はないらしい。
部活は科学部で部長だったが、三年なので引退。
前世の記憶は、中等部二年の冬に思い出し済み。
記憶が戻るまでは、ガラも悪く不良で一人称も「オレ」だった。
記憶が戻ってからは、前以上に不運になった気がしないでもない。


★食満留三郎
私立大川学園高等部3−C在籍。寮は321号室で伊作と同室。
手先が器用で日曜大工もお手の物、面倒見が良い備品管理委員長。
部活は剣道部で部長だったが、三年なので引退。
前世の記憶は、高等部に上がって二日目に思い出し済み。
だが、妙にはっきり覚えいる部分と曖昧な部分がある。
記憶が戻るまでは、大人しく消極的で一人称も「僕」だった。
記憶が戻ってからは髪を伸ばしており、今は項が隠れるくらい。



後の設定は、随時追加していきます・・・・っ!

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