[悪の華][スイートプールサイド]などで知られる押見修造の青春漫画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』の実写映画化が決定。2018年7月より、新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開される。

高校1年生の大島志乃は上手く言葉を話せないことで周囲と馴染めずにいた。
そんな時、ひょんなことから校舎裏で同級生の加代と出会い、一緒に過ごすようになる。
人と距離を置き卑屈になりがちな志乃だったが、加代からバンドを組まないかと誘われたことで少しずつ変わっていく。
ふたりで過ごす夏休みが平穏に過ぎていくと思っていた志乃だったが、自分をからかった同級生の男子・菊地が強引に参加することになり…

2012年に太田出版より発売され、原作者の押見氏が実体験をベースに描いた本作では、ひょんなことから仲良くなり交流を深めていく、上手く言葉が話せないことに引け目を感じ、周囲と馴染めずにいる高校1年生の志乃と、音楽好きだが音痴な同級生・加代ら、思春期を迎えた少年少女たちが抱える葛藤や苦悩が描かれる。

キャストには、本作がともに映画初主演となる、15歳の若手女優・南沙良(みなみ さら)と蒔田彩珠(まきた あじゅ)がW主演に抜擢。第18回nicolaモデルオーディションでグランプリを受賞し、雑誌[nicola]専属モデルとして活躍しながら、2017年三島有紀子監督作浅野忠信暗黒田中麗奈共演作[幼な子われらに生まれ]で女優デビューを果たした。主人公・信(浅野忠信)の再婚相手の連れ子という複雑な役どころを演じ切る。また、行定勲が監督を務めた伝説的ロックバンド、REBECCA17年ぶりの新曲[恋に堕ちたら]のMV主演に抜擢。本作では言葉がうまく話せないという難役に体当たりで挑むと同時に、次第に変化していく内面を繊細に表現。南サンは、言葉がうまく話せない大島志乃を演じる。劇中では、澄み切った歌声も披露する。

ドラマ[ゴーイング マイ ホーム;'12/フジテレビ系]や映画[三度目の殺人]など、是枝裕和監督の作品に数多く出演してきた蒔田サンは、周囲に流されない強い意志と優しさを持ち合わせた、志乃の友人・岡崎加代役に。クランクイン前に猛特訓して撮影に挑んだ、本人によるギター演奏も見どころとなっているようだ。

メガホンを取ったのは、これまで林海象監督や押井守監督のもとで助監督を務め、[ワカコ酒;';15〜]シリーズ、[増山超能力師事務所;'17]などのドラマや、乃木坂46のMVなどを手がけてきた湯浅弘章監督。押井氏が総監修を担当したオムニバス映画[真・女立喰師列伝]の一編[草間のささやき 氷苺の玖実]で商業映画デビューを果たしている。本作が長編商業映画デビュー作となる。[百円の恋]の足立紳が脚本を手がけた。瑞々しい映像と、緻密な脚本で思春期の少年少女たちの揺らめきを映し出す。

W主演の南サンと蒔田サンのほか、萩原利久、小柳まいか、池田朱那、柿本朱里、中田美優、蒼波純、渡辺哲、山田キヌヲ、奥貫薫が共演に名を連ねている。


▽南沙良コメント
小学生の頃から押見先生の作品が大好きだったので、お話を頂いた日は嬉しさのあまり興奮してなかなか寝付けない反面、作品の世界観を崩してしまわないかと少し不安な気持ちになりました。ですが、こんなに早く主演をやらせていただけるとは思っていなかったので、とても嬉しかったです。他の人と違う部分やコンプレックス、劣等感、自分の嫌いなところなど、誰もが持っているような〈悩み〉や〈苦しみ〉。志乃と加代、菊地それぞれが、その悩みを乗り越えようとする様子を見た時に感じられるものが必ずあると思うので、是非たくさんの方に観ていただきたいです。

▽蒔田彩珠コメント
志乃、加代、そして菊地。それぞれが自分の居場所を探しています。上手に感情を表に出せない志乃と、上手に人と接することができない加代。私は普段そんなに感情を表に出さないので、加代が感情的になるシーンは自分の奥底にあるものを表現するようで難しかったです。撮影が進んでいくにつれて、加代の気持ちが変化していくのと同じように、2人の距離感も、自分の気持ちも、どんどん変わっていきました。作品を通して、リアルな気持ちの揺れ動きが観てくださる方に伝わればいいなと思っています。

▽湯浅弘章監督コメント
10代のあの頃にだけ存在した感情。あの頃にだけ通用した感覚。危うくて紙一重な当時の彼らの気持ち。その一瞬一瞬を映し出した映画です。南さん、蒔田さん、萩原くんの3人が体当たりで演じてくれたおかげで、今まで観たことのない荒削りで繊細で力強い作品になりました。いま10代の人たちにも、そしてかつて10代だった人たちにもぜひ観ていただきたいです。

▽原作・押見修造コメント
漫画以上に、まるで現実に起こったことをそのまま切り取ったような感触でした。志乃、加代、そして菊地の3人が、生々しく存在していると思いました。泥臭い青春映画でありながら、恥ずかしくなるほどキラキラしていて。そして、むせかえるような思春期のオーラに満ち溢れている。漫画を超えて、広く心に届く作品を作っていただいたことに感謝します。