螺旋状に突っ走って死にたいプロフィール
2016/1/4 Mon 15:08
10分構想(11回目)


話題:自作小説

「とある女の話」

彼女は小さい頃から、性的に熟していたと言える。彼女は夜布団の中で自らの身体をまさぐった。まだ、平らな胸を、幼いゆえにハリのある太ももを、脂肪のない臀部を。
しかし、そんな彼女も性そのものである股間周りには手を触れることができなかった。

彼女が身体をまさぐる時、その脳裏にはいつも美しい女性の姿があった。その女性は、テレビで観た女優であり、アニメで観たキャラクターであった。そしてその女性は逞しい男性に抱かれていた。
彼女は嫉妬(その時はよくわからない情念にかられていたが、それは嫉妬と表すべきだろう)し、また羨望した。
その抱かれる女性は彼女の憧れであり、理想であり、彼女そのものだった。

彼女は夜の布団の中では、美しい大人の女性であった。本来ではなることができない、美しい女性であった。

月日は流れた。彼女は、いや、彼だった彼女は、夢を叶えた。多額のお金と引き換えに、彼女は幼い頃の布団の中で夢想していた美しい女性となったのだった。




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