螺旋状に突っ走って死にたい(
プロフィール)
2016/2/3
Wed
00:05
10分構想(13回目)
話題:自作小説
「偶然と言う、必然ではない事象による岐路」
一人の男が薄暗い路地を歩いていた。
その後ろに、もう一人の男が後を続いていた。
二人の関係性は他人同士。ただ偶然、今この瞬間、この路地を歩いているに過ぎない。
時刻は深夜。この二人以外、人はいない。
前を歩いていた男がふと立ち止まった。
後ろを歩く男は歩みを止めない。
前を歩いていた男はほどけた靴紐を結び直している。
後ろを歩いていた男はそれをチラリと見ながら、追い越していく。
足跡は一つ。
靴紐を結び直している男の耳には聞こえている。
靴紐を結び終わりかけたそのときだった。
なんとも言えない音が聞こえたかと思うと、人が倒れるこむ音がして、足音は消えた。
顔を上げると、数メートル先を歩いていた男が倒れているのが見えた。
靴紐を結び直した男は、おそるおそる近づいていく。
倒れた男を見ると、絶句した。
本当の本当の本当の本当に驚いた時、人は声を失う。男は虚脱した。立っているのがやっとだった。
倒れた男の頭は、ひしゃげていた。
悪意を持った何者かが、何かを下に向けて放ち、それが当たったのか。それとも何か他の要因か。
わかるのは、もし靴紐を結び直していなかったら、自分が今倒れていたということ。
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