【練功の回数について/気づき・思索】2月1日

 いま、名鉄カルチャースクールや気功の学校において練習している〔養生気功〕にはシンプルヴァージョンとフルヴァージョンの二種があります。
 少しのふぁんそんから昇降開合→鳥の舞→気のボール遊び→馬歩雲手(マープーユィンショウ)→三円式タントウ功→採気という流れは同じなんですが、鳥の舞と気のボール遊び、採気の三つがシンプルでは一種ずつなのに対して、フルでは四種ずつになっているんです。
 今日の話は、それら一つ一つの動作について、それぞれ何回ずつ行なえば良いのかという話です。

 これに関しては尾張旭市で耳鼻咽喉科を開設しておられる樋田先生が報告されていた話が参考になります。
 先生の話は次のような内容です。
 患者さんの百会(頭頂部にある経穴)に鍼をしておくと、最初はアドレナリンが出て来ているが、しばらくするとそれが薄くなり、今度はβ-エンドルフィンが出て来るようになるというものです。
 1990年代に言われていたのは、β-エンドルフィンというのは、快楽物質、恍惚物質のことで、樋田先生は、そこから「気は内分泌ホルモンの気化したものではないか」として報告されたんです。
 それまで、気の解明には、温度とか磁力線(磁場)、脳波など物理学的な研究が多かった中で、化学的な探究はとても新鮮なものでした。
 話は長くなりましたが、練功の基本はこのアドレナリンの分泌状態からβ-エンドルフィンの分泌への移行が基準になると考えているんです。
 脳内セロトニン研究の第一人者である東邦大学の有田先生は、β-エンドルフィンというのは今で言う脳内セロトニンのことだということをお話されていましたが、要するに「心地よい感覚」が出て来るまで続けるのが良いということなんですね。

 どんな功法の練功においても、すること、決めた回数をこなすことが目的になってはいけません。
 回数ではなく、走る人たちのランナーズハイのように、自分自身の体感として「心地良さ」が出ることを基準に考えて練功することが大切だと思います。