転校することになったのはちょうど春休みだった。
ほんとならお別れ会とかやるらしいけど、
クラスに友達も居なかったし、半分登校拒否児だった問題児の転校ということもあって、
学校の先生とうちの親が話した結果、最終日にクラスで発表だけするって形にしてもらった。






転校前最後の登校日が終わり、
数日後に控えた引っ越しのため部屋の片付けをしてたら、電話がかかってきた。






電話の相手は、3年間地味にわたしを苛め続けた男の子だった。






電話を持つ手が震えて、
もう転校するのに、最後まで何か言われるのかって緊張で泣きそうだった。






でも、そんなわたしより先に電話口の男の子が泣き出した。





「今までごめん」「ほんとはななのことが好きで仲良くしたかった」「転校してからもお友達で居て欲しい」
そんなことを告白された。






これがわたしの生まれて始めての告白された経験だけど、
当時のわたしにしたら、何を今更?って気持ちでいっぱいで。






クラスの他のやつもななのことが好きだったし、ななが他のやつとしゃべるとやきもちを妬いちゃうから、苛めちゃったって、
たどたどしい懺悔を聞いて、
もちろん許す気持ちになるはずもなくて。






「だいきらい。わたしは二度と会いたくない。」って、泣きながら受話器を叩きつけた。






その数日後にわたしは家族とともに新しい家に引っ越しをした。






でも、この一件で、
わたしは確実に女になった。
それまで、恋愛とかそういうのを考えたことは無かったけど、
大嫌いなやつからでも告白をされたっていう事実で何かが目覚めた気がする。



話題:告白されました。