スパロボと区別しましたが、まあ…クロスオーバーの様な感じです。
… … … … … …
最近、妙に視線を感じる。シャア…いや、クワトロ大尉かと思ったが若干違った。
だからと言って、大尉からの視線が無いわけでは無い。
大尉より純粋で悪意は無く、ただ真っ直な視線。
振り向けば、刹那・F・セイエイがいた。正直、彼が苦手だ。
どう苦手かと言われると、分からないが直感的にそう感じる。どう、扱えば良いのかいまだ掴めないでいるのも事実。
実際、会話らしい会話も殆ど皆無。
「アムロ大尉」
呼ばれ、改めて刹那を見てた。やはり、視線が真っ直ぐ過ぎて視線を反らしたくなる。
「今は、身体を休めた方が良い」
「へっ…ああ」
何を言われるかと身構えたが、呆気に取られた。休んではいるつもりだ。
ただ、自分の機体は自分で整備したい。
ちょっと、熱が入って気付いたら戦闘配備にそのまま入らないと…なんて、極稀に有る。ほんと、極稀ね。
疲れないわけがない。けど、気付けば足はνガンダムへと。
「目の下にクマが出来てる。軍人なら体調管理、出来てるはず。其れに、大尉は……」
刹那は何か言いかけたが、言わずに俺を俵担ぎする。
いやいや、何故?!
「せ、刹那?」
軽くスルーし、スタスタと歩き始める。今のとこも誰にも会わないのが幸い。だが、此の状況をクワトロ大尉にだけには見られたく無い。
笑われた日には、もう部屋からて無いで引きこもるつもりだ。
「おろしてくれないか?重たいだろ?」
「いや、軽い方だ。ちゃんと、食事はとった方がいい」
出されたものは食べてる。軽いはずが無い。
「その…此の姿は流石に恥ずかしい」
「…済まない」
分かってくれたと、そう思った俺がバカだった。まさか、俵担ぎからお姫様抱っこになるとは…。
おろすと言う選択は、刹那には無かったそうだ。
形は変われど、状況は更に悪い。下手したら、変な噂に…なら無いか。まあ、刹那と俺だから大丈夫だ。
此れが、クワトロ大尉なら…危ないはず。けど、男にいや女性をお姫様抱っこするのと訳が違う。ましてや俺自身、足を挫いたわけでもない。
言い訳のしようがない。
其れにしても、刹那の顔を近くで見て思った。綺麗な顔だなと。刹那に限らず、ソレスタルビーイングの人達はやけに顔立ちが良い。
もしかしたら、顔も含めて選ばれて…は無いよな。
「どうしたアムロ大尉?」
「えっ、いや。いやいや、おろして欲しいな」
「其れは、駄目だ。部屋に着くまで」
「……近くでおろして欲しい」
「駄目だ」
刹那が折れる事は毛頭無いなら、俺は誰にも会わない事を祈るしかなさそうだ。
出来れば、会ったとしてと口の軽く無い奴が良い。
溜息が漏れそうになるのをグッとこらえるも、現実逃避しそうな俺がいる。
「俺は、大尉に…大尉の様なガンダムに憧れてる」
「刹那?」
「傍で、共に居たい」
真っ直ぐで俺は刹那から視線を反らせない。
「だから、無理をするな」
「ああ…気を付ける」
そう答えると、刹那は柔らかな笑みを浮かべた。
俺は思わず、驚きもするも顔に出さないよう保った。部屋の前まで着くと、刹那は約束通りおろし、そのままスタスタと過ぎ去って行く刹那を俺は見送った。
刹那の印象は、変わったが色んな意味で変わった。
良い意味と悪い意味で。
※オマケ※
一寝入りして、部屋から出るとカミーユが血相を変えて俺に突き詰めてくる。
「せ、刹那に抱かれたんですか?」
「はい…?」
「どっちなんですか?抱かれたんですから?抱かれて無いんですか?」
意味が分からない。抱かれてはいない。
俵担ぎからお姫様抱っこはされたが、それ以外はされてない。
「カミーユ、そんなに慌てるな」
「大尉…ですが、其れが本当なら刹那を粛正しないと俺、気が済まないです」
「その気持ちは分からなくも無い。だが、無下に疑うのはいけない。で、アムロ。刹那に、足を開いたのか?」
俺は無意識に、クワトロ大尉の頬を殴っていた。いや、本当に無意識に。
人って、怖いね。
「ソースは何処から?」
思いのほか、自分の声のトーンの低さに驚きはしたがクワトロ大尉の考えなしに発した言葉よりかはマシだ。
誰が誰にも足を開いたと?
ふざけるな、冗談でも言っちゃいけない言葉はある。
ましてや、刹那の親切心がかなり尾ひれ付けて俺の何処に戻ってきたと言う事は、刹那にも届いてる可能性は高い。
頭が痛い。
ブライトももしかしたら、場合は違えどこんな思いしてたのかと俺は、疑似体験する日がくるとは思いもしなかった。
「で、どうなんですか?」
「どうなんだ、アムロ?」
俺は溜息を吐いてから、小一時間根気強く丁寧に説明したかしてないかは其れは別の話と…。