話題:先生が好き
待ちわびていた先生からの電話。諦めかけていた先生からの、電話。柄にもなくドキドキしながら勇気を出して電話にでた。
『あ…もしもし』
『ん?もしもーし?』
たった2、3秒の沈黙だったのだけど、なんだか気持ちが焦ってしまいもう一度確かめる様に受話器の向こうへ言葉を発した。
「もしもし今大丈夫かぁ?」
『うん。大丈夫だよー』
「なんや期待してたのにワンコールで出てくれへんやんかぁ(笑)」
『だって先生電話くれるの遅いんやもん!もう来ないと思って寝るとこだったよー』
「ほんまか!?俺飯食って風呂入ってとりあえず色々済ませてから真っ先にお前に電話したんやで」
初めて先生から呼ばれた¨お前¨の言葉、誰よりも先に電話をかけてくれたと言う先生から告げられた事実、たったそれだけの事で全てが満たされた気がした。
数時間前まで電話が来なくて落ち込んでいたのに、先生から電話がかかってきてほんの数秒で嬉しくて楽しくて仕方がなかった。
私の中に存在する喜怒哀楽が先生を中心に周りだしたこの時から、私は先生の事が好きなんだと自分の中で確信した。
自分の気持ちに気づいてからは何かと素直になれなくて、照れ隠しをしようと先生からの言葉を受け流してばかりだった。
『いや…遅いよ…!だってもう11時半だよ』
「ん〜まあ遅いと言えば遅いんやろけどそこまで遅ないよ!まぁでも碧海はよい子やから寝る時間やんな(笑)」
『うわ〜子供扱いとかひどーい(笑)』
「んー?酷い?俺がかぁ〜?何を言うてんの、俺は優しい優しい紳士です。」
『その訪ね方からして優しくないし紳士じゃないー」
「訪ね方?笑かすなぁ(笑)いやいや紳士やって。なぁ言うてみ?○○先生は優しくて男前で紳士ですって。」
『…っ、いや、言わんし!』
「ははっ冗談やって。そんな恥ずかしがらんでもええやんか。本当の事やし(笑)」
『あんまりそんな事ばっかり言ってたら先生の事ナルシストって呼ぶからね〜!』
「そうゆう事ならこっちも碧海は○○先生と電話してる時に顔赤くして恥ずかしがる可愛い奴ですって言いふらすからな〜」
『ん?え、ちょっとなんそれ!』
「図星かー(笑)まぁ本当にかっこいい人にかっこいいって言うのは恥ずかしいもんな。ええよ気にせんで(笑)」
『もー。さっきから先生なん言いよん!(笑)てか、明日も朝一で技能やったよね?』
他愛もない会話にいちいちドキドキして、緊張はするけど凄く楽しい電話だったからもっとたくさん先生とくだらない話をしていたかったのに、素直になれない私は話題を変えて明日の話を持ちかけた。
『あーそうや!明日変更になったんやった!俺先生やのに色々忘れてただ楽しく電話してたわ(笑)』
それなのに先生はこんな事を言って私を期待させるから、ずるい。