クラブ活動をしている様子を音が運んでくる。廊下に並べられている窓から、夕陽が赤い光を届けている。校舎の中は随分と閑散としているが、その方が俺は好きだ。うっとおしい束縛からの一時的な解放を味わえる。
「とん♪ととん〜♪」
「おい!お前また変な歌口ずさんでんだよ」
肩に手を置かれ振り返れば、ニヤニヤした友人1が立っていた。何故友人1かというと、俺は他人に対して興味がないから。
「うっせーわボケ!お前こそ鞄になにつけてんだよ」
興味はなくとも協調性とコミュ力がなきゃ、今の次代生きていけない。それが俺が今までの人生で学んできたこと。だから普通の友人を気取って返事をする。
「うわ!なにコレ!?あ!あいつら〜!!!!」
友人1の鞄につけられた『バーカ!』という付箋。どうやら心当たりはあるらしく、颯爽と足早に俺の元を去っていた。
―――アホらし…。子供っぽい、幼稚、付き合ってられない。けど、クラスで孤立するのも、それはそれでめんどくさい。
だから俺は適度な距離感で、友人達に対応する。俺の奇行を指して、俺のことを『変人』なんて呼ぶ奴もいるが、そこはビジュアル面でカバーできる。どうせ人間、顔や金しか見てないんだろ?この世に信用できる奴なんていないんだから………。
「ととととーん♪たたんっ♪グエッ!!」
機嫌良く廊下をスキップしていたら、首根っこを捕まれて、教室に引き摺りこまれた。ちなみに、俺の奇行は俺自身の精神安定剤だ。安心しろ☆キラッ
「おい!お前どこ行ってたんだよ!?帰るぞ!」
「こんなとこにいたのかよ!探したんだからな。一遍死に晒せ!!」
引き摺りこまれた先には、黒髪爽やか君と赤髪の俺様。
「でたっ!!!!!!!」
バコン!!
「…いっ、た!?!」
叫んだら、おもっきり赤髪に頭を叩かれた……
「なにが"でたっ"だよ!こっちはてめぇーを探してたってのに!!」
「ほんと、頼むからフラって消えるの止めてくれ…。せめて一声かけろ。あと携帯を携帯しろ」
(おーい!爽やかボーイ要君、なんで君はそんなに注文が多いんだ!!!!!)
「顔に出てっぞ……」
「……え、嘘?」
「朔、わかってるよな?」
あ、あの…、ニコニコした笑顔が怖いです…。爽やかさと腹黒さは紙一重ですか!?!!あと、楽しそうに眺めてんじゃねぇ!鬼畜暁葉!!!!