話題:浮気

彼と会ってきました。

数ヶ月ぶりに会う彼。

相変わらずの遅刻。

相変わらずの会話。

あまりにも、全てが普通すぎて。

ありきたりで。

何も違和感もなくて。

この時間がまた来週、再来週って続いていくんじゃないかってくらい。

彼との時間は居心地が良かった。


でも、最後だから。

ふとした瞬間に、あたしは一点を見つめて、涙がこぼれるのを我慢した。

行ってなんかほしくなかった。

あたしには彼が必要だった。

大好きだった。

会ってやっぱり思い知った。

離れたくなんかない。

そう思った。

もう手遅れだけれども。

時間はどんどん過ぎていって。

店を出ることに。

そこで、あたしは帰るべきだったんだ。

でもあたしは彼についていった。

彼との最後の時間、少しでも多くしたくて。

それがもっと自分を苦しめることになるのにね。

あたしはやっぱりバカだ。

家に着いて、彼の片付けようとして片付けられてない荷物を見て。

彼の部屋を見て。

匂いを吸い込んで。

目に、鼻に焼き付けようとした。

相変わらずの彼は、いつものようにあたしの膝枕の上でテレビを見て。

眠り始め。

あたしはその彼の寝顔を見て、頭を撫でながら、泣いた。

もう会えなくなる彼を想って。

静かに泣いた。

まだ忘れられない。

そう思った。

ああ、あたしきっとずっとこの人を好きなんだろうなって。そう思った。


風邪をひくよって言って、布団に潜り込む彼。

あたしは躊躇したけれど、その隣にそっと寄り添った。

当たり前のようにね、彼は私を包み込むの。

あたしにはもう気持ちなんてないくせにね。

それを知ってても、受け入れてくれる彼にあたしはいつも甘えていた。

彼をずるいというけれど、あたしも同じくらいずるいんだ。

ごめんね、いつもあなたのせいにして。