「夏目、辞書ありがとう。毎回悪いな…」
「ううん、気にするなよ」
「ありがとう、助かる」
「二回もありがとうとか言うなよ、何か照れくさい」
「いや、おれも他のヤツに借りれば良いんだけどさ…なんか夏目から借りたくなるんだよな…なんでだろ」
「っ、ほら、見やすいとかだろ!多分!」
「そっか、そうだよな…」
「うん。」
「借りたり返したりするついでに、夏目とも話せるし…これからも頼むな?」
「ッ…ん、」
「なつめ…?」
「はずかしいやつ…」
「え?」
「なっ、なんでもない!」
(そんなこと言われたら期待しちゃうよ)
end!
夏目が乙女だ…orz
田沼が天然ってか受けっぽくなったorz
た、田夏ですよ!(笑)
精神的には夏田、肉体的には田夏だといいな★
…とか…(笑)
「あ!夏目くん!おはよう」
「タキ、おはよう」
「…夏目、その子は?」
私は、多軌透。
目の前に居る夏目くんが大好きなんです。
もちろん、恋愛感情とかではなく、友達としてだけど…。
それにしても、夏目くんの隣に居るのは多分田沼くん…?
なんでクラスも違うのに一緒に居るんだろう。
何故か二人の関係が気になってしまったので、私は二人を少し観察してみる事にする。
「ああ、この子はタキっていうんだ」
「そうか、夏目にもついに彼女が出来たか」
「ち、違うって!タキは友達だよ!…タキからも何か言ってよ」
「あははは。そうそう、私と夏目くんはただの友達」
夏目くんは私の事を田沼くんに紹介しようとして何故か焦ったり赤くなったり…。
(…赤くなったり?)
「そっか、なんだ…夏目に春が来たと思ったのに」
「っ、まだ夏だろ?!」
何故だろう。
今の夏目くんは凄く、可愛い。
流石に猫ちゃんみたいに抱き締めたりは出来ないけれど、
「夏目くん、可愛い。」
「…え?」
つい思った事が口からポロッと出てしまったらしい。
慌てて口元を押さえても、夏目くんと田沼くんは驚いたように固まって居た。
(どうしよう…)
ひやりと冷たい汗が流れる。
「ん、夏目は可愛いよ」
口を開いたのは私ではなく田沼くんだった。
そして平然と可愛いという言葉を夏目くんに言ってのけた。
「ッ、ばか!可愛いとか言われても嬉しくないよ」
そして、また赤く染まる夏目くんの頬。
僅かに嬉しさを含んだ彼の表情に、何故か心がきゅんとした。
例えるなら、少女漫画を読んでいる時みたいなトキメキ。
(ああ、きっと夏目くんは…)
「田沼くんが好きなんだね…」
「「え?!」」
(ま、また口から出てたぁぁぁぁ!!!)
おっちょこちょいなところは直らないみたいです。
end!
多岐って意外に、のほほんとしてそう(笑)
そんなイメージで書いてみました。
いろいろとアレですが、つっこみはなしで(笑)
「やあ、夏目君…」
「わっ…」
「…そんなに驚く事ですか?」
「ま、的場さん…後ろから急に抱き付くの止めて下さい」
「減るものでもないし、良いじゃないですか」
「っ、減ります!」
「…何が減るんですか?」
「と、とにかくやめて下さい!」
「…なら、前からでしたら良いですか?」
(もう、好きにして下さい。)
この人には勝てない…。
そう強く思った夏目貴志であった。
end!
「ニャンコ先生」
おれはもぐもぐとどら焼きを食べている彼の名を呼んだ。
「んぐぐ」
「ちゃんと飲み込んでから話せっていつも言ってるだろ!」
口いっぱいにどら焼きを溜めて話すものだから、つい怒鳴ってしまった。(いつもの癖で手も出たのだが、)
「痛いぞ夏目!お前も食ってやる!」
余程痛むのか涙目でそう言うと
短い手足を駆使してオレにじゃれる彼。
「ニャンコ先生…、」
「にゃにゃっ?」
「…ありがとう、」
「にゃっ?」
「だから、ありがとう」
「いきなりなんだ?!ひぃーっ、気持ち悪いっ!」
「うるさい!明日、おやつ抜きにするぞ?」
「やっぱりお前なんか食ってやるっ!」
「食えるもんなら食ってみろ!」
急に伝えたくなった。
人間なんて、いつ、どこで死ぬか分からない。伝えたいときに伝えなきゃ伝わらないかもしれない。
だから…
ただ言葉にして伝えたかった。
傍に居てくれてありがとう、って。
end
田沼と付き合い始めて一週間が経ったけれど、好きって言葉を彼の口から一度も聞いたことが無いだなんて…。
果たして本当に付き合っていると言えるのだろうか。
まるで自分だけが好きみたいで、不安になる。
「なあ、田沼」
「ん?」
「………」
「え…、夏目…?」
「あ…っ、ごめん…呼んでみただけ」
「あはは、なんだよそれ」
(オレは田沼の口から聞きたいだけなんだよ、たった二文字の言葉が)
思ってるだけじゃ、伝わらないとわかっていても意地が邪魔をする。
好きと言って欲しい、そう言えば済むかもしれない。
けれど、オレは田沼の素直な気持ちが聞きたかった。
「なあ…、夏目」
田沼が何かを言いかけて、止めた。
不意に感じたのは柔らかな感触。
それがキスだと気付いたのは、ゆっくりと田沼が離れた後だった。
「ッ、」
そっと耳元で聞こえた言葉はオレが欲した言葉ではなかったけれど、
それはきっと、すきよりも、もっと、愛されている証。
“ずっと、一緒に居ような”
返事をするかわりに、今度は自分から触れるだけのキスをした。
(唇は魔法の言葉を欲してる)
(おまけ)
「夏目…、好きって言って欲しそうな顔してたよね」
「なっ!?」
「だから、キスした」
「ッ、…分かってたなら、何でキスなんだ」
「もう一回する?」
「ば、ばか!」
「しないのか?」
「………す、る」
(ああ、もう、夏目、凄く可愛い!!!)
「…田沼?」
「あ…、ごめん…」
「ん、早く…」
(神様ありがとう!…いただきます)
end!