スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

朝の風景1

ーーーまさか本当にずっと一緒に居られるなんて


全員がいつもそう思っていた。








今も、あたりまえのように5人でテーブルを囲み
鈴木の作った朝食にケチをつけながら
テレビで動物占いを見ている。


東京のあるアパート。

ここに異色の5人が一緒の部屋で暮らしている。

ルームシェアとか言うやつである。


しかも全員男。

極めつけに職場も同じ。

なんとも華が無いと言うか、むさ苦しいと言うか。
気持ち悪い!!
とか言われてしまいそうだが、

「みんなで住みたい」

と全員が望んでいたのは確かで、

全員がそれぞれ何か夢を見て、悩んで生きているのも確か・・・・・


な、はずだと思う。












「おい」

と、口に米つぶをつけた伊藤は不機嫌な顔をして鈴木を呼んだ。

「てめぇ…あれだよ…なんつーか…………おかわり。」

寝ぼけている伊藤はいつにも増して口が悪い。
こいつは、寝ぼけている時と酔った時が一番厄介な生き物だ。
しかし、そんなことにも慣れきった鈴木は笑顔で茶碗を受け取る。

他の3人から
「うわー」とか「鈴木優しいー」とか批判の声があがると


「へっ!!!!」


と超性格の悪そうな笑い方をして五十嵐の皿からタコさんウインナーを奪った。


「何すんだよ!タコさんとっておいたのに!」

可愛い物好きな五十嵐は最近タコさんウインナーに夢中で、
いつも朝ご飯に出るのを楽しみにしていたのだ。

「お前、本当にこーゆーの昔から好きだよな。ここ2週間ずっとこれじゃねぇかよ。僕あきちゃった。」

むかつく口調でそう言うと、
ははは!
と笑いながら空っぽになった口を見せつける。
こいつは本当に性格が曲がっている。

何かとケチをつけられたり
「馬鹿だな」
とか言われたりして
朝っぱらからの伊藤の嫌がらせに我慢できなくなると、


「セバスーー!!」

五十嵐は、もう駄目ですとばかりに鈴木に訴える。

「助け求める時もその呼び方?」

と、セバスチャン(鈴木)はショックを受けていたのには誰も気にもとめなかった。
仕方ななく、いつもの風景に笑いながらも2人の間入る。


「ジュンちゃん!駄ー目っ!」


説得力が無い。
とゆうか、セバスチャンとか呼ばれている時点でもうポジション的に下なのがわかる。


「やだぴょ〜ん」

そして伊藤が本当にウザいキャラなのがわかって頂けただろう。


でも、そんな朝食が終わると、


「「「「ごちそうさまでしたー」」」」


と4人で鈴木の分まで食器を洗って
「美味しかったよ〜」とか
「いつもありがとう」
とか
個々で感謝を示す。
なんだかんだで、その辺は伊藤もしっかりしているのだ。
そして、その瞬間だけ鈴木は権力者になれる。


「ジュンちゃん後で買い物しといてね〜」

「えーーー」

「じゃあ明日から朝ご飯作らない」


チッと言いながらも、
買うものをメモする。
鈴木はこの瞬間を楽しみにご飯を作っていると言ってもいい。


しかし


「セバスーこれ洗濯しといて」


芳田は大量の服を鈴木に押し付けた。


「ええぇーー!!!!」

「よろしく〜」

「又かよ!それに何日分なのこれ?」

そんな言葉には耳も向けず、
背中を向けて手を降り自分の部屋に入っていった。
めんどくさがりな芳田はすぐに洗濯物を溜め込む。



いとも簡単に鈴木の権力は“セバスチャン”に戻った。


(ちくしょォォオオ!!!!!!!!)
※鈴木の心境




朝の風景1
おわり
続きを読む
前の記事へ 次の記事へ
カレンダー
<< 2024年04月 >>
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
最近の記事一覧
アーカイブ
カテゴリー