変わりない日々っていうのも大切だけどさ、それだけじゃつまらないと思うんだよ。
だからボクは精一杯生きて精一杯愛すんだ
「くっろひょーうさぁぁぁあん!!!!」
「っ?!お前はまたか…」
ボクの愛の全力ダイビングアタックという名の飛び付きを黒豹さんは何とか耐えたみたい。
最初の頃は油断してて一緒に地面とこんにちはしてたのに、ちょっと残念。
「おはよう黒豹さん!」
「夜だけどな…」
「ボクも黒豹さんも夜行性でしょ?起きた時の挨拶がおはよう、だよ!」
ボクが掴み掛かるように言ったら、黒豹さんは金色の目を少し見開いた後柔らかく笑った。
その笑い方はズルいと思うんだ。
「今日はテンションが高いな、ねずみ」
「えへー!ボクは考えたんだよ!」
「………ろくなことじゃ無い気がするんだが、気のせいか?」
ボクの素晴らしき提案に、黒豹さんはさっきとは一転、何とも言えないというような顔をしてきた。
真面目に考えたのに酷いなぁなんて半分くらい嘘だけど、しっかりこれからのあり方について考えたのは本当なんだけどな。
「気のせい気のせい!でね、」
「おい、聞くなんて言ってないぞ」
ひ ど い !
黒豹さんが意地悪だ。なんてことだ。とりあえずボクにとってはこの世の終わりも等しい。
っていう顔をしてみたら、黒豹さんは苦笑した。
今日は珍しく黒豹さんの表情がコロコロ変わるな…嬉しいな…なんて。
ボクは黒豹さんが大好きなんだ、色々な顔が見たいと思う。
「……言ってみただけだ、そんな顔するな」
「黒豹さん大好きーっ!!」
「知ってる」
見守ってくれるような笑顔が好き。
しょうがないなって許してくれる顔も好き。
時々拗ねたように横をそっぽを向く横顔も好き。
黒豹さんなら全部好き。
溢れ出る気持ちをどうやって消化しようか、いつも困ってる。
だから是非とも…
「一緒にベッドインしませんか?!」
「落ち着け。どうして今の流れからそうなった。しかもついさっきおはようって言ったよな、お前」
「時間なんて関係ないよ!今触りたくてい「ちょっと黙れ」えぇ〜」
愛を全力で伝える事ができて、気持ちを共有出来て黒豹さんが可愛くて信じられないくらい愛しくなる行為の何処が悪いのか。
少しくらい夜から盛ったって良いじゃないか。
まぁ、諦めないですが。
続きへ
守ってやらないと、そう思っていた。
いつからだろうか、熱を帯びた視線を感じるようになったのは。
出会った頃はただ、ひたすらに守るモノと守られるモノであったはずなのに。
いつからだろうか、与えられる行為に溺れそうになったのは。
気持ちに否定的な自分と肯定的な自分。
突っぱねようにも、あいつを潰してしまうのでは、という恐怖心で身体は動かなくなった。
いつからだろうか、傍に居ないと、寒いと感じるようになったのは。
つまり俺の深いところまで到達したあいつは、今も尚、侵食を止めない。
「おい、ねずみ」
「なぁに、黒豹さん」
呼べば笑顔で応えてくれる存在を愛しく感じるようになったのは、いつだったか。
自然とそうなっていたように思う。
俺に呼ばれた事に満足そうに擦り寄ってくる、その行動が心を満たしていくのを感じる。
「…俺から離れるなよ」
「今日の黒豹さんは甘えんぼさんだねー。大丈夫、寧ろ離さないよ」
危なっかしいと見守り、弱いからと囲い、守ってきたはずの存在に溺れていく感覚。
それが少しだけ怖く、少しだけ甘い…
「黒豹さん、これからもボクを守ってよ。ボクは黒豹さんが居ないと生きていけないんだから」
「あぁ…守ろう」
「ふふー、黒豹さんだぁい好きー」
「あぁ…俺も…」
願わくばこの腕の中の小さな生き物が、いつも笑っていられますように。
それが俺の幸せなんだと、心から思う。