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過去の君はいらない

久々にSSをあげるよ!
いつも通りオチとかはないですがお暇な方は是非。

『桜〜』の莉桜と零無のお話です。





*****
よく、謝る少年だった。

「ごめんなさい」

泣くことはしない。
静かに顔を伏せて謝るだけ。
声が震えないように全身を強張らせて。
ただその言葉を何度も何度も繰り返す。

「ごめんなさい。……ごめんなさい」

男にしては少し長い髪が横顔を覆って、表情は分からない。ただその髪がささらさらと揺れて、体が小刻みに震えていることが分かる。未だに痛々しく傷の残る左手首を強過ぎるくらいに握って、彼はただ謝った。

「ごめんなさい」

最初は好きなように言わせていたのだが、さすがの零無でもこれはおかしいと思い始めた。とにかく彼はすぐ謝るのだ、しかも怯えるように震えて。人の感情の動きに鈍い零無がその原因に気付いたのは少し経ってからだったが、それがなくてもやはりおかしいとは思っていた。

「ごめんなさ」

「謝んな」

いつだったか言葉を遮ると、びくっと大袈裟なくらいに体を飛び上がらせて静かになった。顔を上げないので零無が屈んで莉桜を見上げる。貧血なのではないかと思えるほどに顔が蒼白で、可哀想なくらいだった。

「あのな」

零無はなるべく優しく言葉を落とした。しんとした部屋に、それは水面が伝わるように広がっていく。

「謝らなくていい。いや、自分が悪いってときには謝るんだろうが、そんなに怯えなくていい。別に怒ってるわけじゃねえんだ」

莉桜が微かに顔を上げた。やっと瞳が見える。不安と恐怖に彩られた瞳が戸惑ったように零無の瞳を捕らえ、そして離さなくなった。

「謝らなくていい。別の言葉があるときは謝罪の言葉なんて使うな。こっちが悪いことしてるみてえだろ」

いつも会社では自分が謝らせている立場なのに、こんなことを言っているなんて酷く可笑しく思えたがその辺は棚に上げておく。莉桜は一瞬驚いたように瞳を見開いて、再び戸惑ったように目線を彷徨わせた。

「だからそんな謝らなくていい、怯えなくていい」

謝っていたのも怯えていたのも伯母に虐げられてきたせいなのだろうと、今となっては容易に想像できる。いつも何かと文句をつけられ、反発すれば手を上げられたのだろう。だから彼はただ謝り続けることを選んだのだ。でも今はもうそれはいらない。

「はい……ごめんなさい」

「ほら、また」

また謝罪の言葉を口にした莉桜に、零無は微かに笑みを見せた。注意された莉桜があっと小さく声に出し、零無が微笑んでいるのをみて照れたように頬を染める。

「え、と……あの」

言葉を探しているのだろう。莉桜の目が泳いだ。それを目を細めて見守りつつ、零無は立ち上がった。

「ま、急には無理だろうが慣れろ。お前は謝り過ぎだ」

 横を通りすがりにぽんと軽く頭を撫でて、コーヒーでも飲もうかと台所に向かった。その背に小さく声がかかる。

「あ、あの!」

振り返れば、熱でもあるのかと思うくらいに頬を染めた莉桜が自分を見つめていた。気合が入っているようで両手をぐっと握り締めている。なにか結論に辿り着いたのかと零無は次の言葉を待った。

「あの、ごめんなさ……じゃなかった、ええと。あの、その……ありがとうございま……す?」

必死に考えたのであろうその言葉は、何に向けてのものなのかははっきりしなかった。言った本人も疑問顔である。それでも零無はその言葉に、驚いた表情をすぐに笑顔に変えた。

「おう、それでいいんだよ」

もう一つ莉桜の髪を撫でると、今度こそ台所へ立つ。片目でちらと莉桜を盗み見ると、撫でられた頭に自分の手を置いて、ぎこちないが笑みを浮かべていた。




あれ。

今週末ちょっと資格の試験があるので多分いや絶対に今日は勉強しなければいけない・・・はず、なのですが。
・・・なんかもう既にやる気がないというね\(^p^)/

最近は某音ゲにハマりそれをものすごい一生懸命やってしまったりしております。ダメだろうorz
しかしPSPで音ゲは難しいですね、ボタンちっさいし。

まあのんびりでもやらなきゃいけないことをやらないと。
あとあと大変になってしまうー!
ではではっ





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