話題:デート

出会い⇒婚カツパーティ。

二十代半ばにしてなりふり構わない私である。

私が生まれてはじめて参加したその婚カツパーティは、人数は男女20人ずつ、年齢制限は男女共に25〜40才、その他の条件はなし、といったものだった。

まず一対一でのトークが2分間ずつ儲けられ、ローテーションで回り、全員と話し終われば、残りの時間はフリータイムとなる。
そして計二時間が過ぎたところで、異性からの評価がぼんやりと開示される。
最終的に、気にいった異性を五人まで記入し提出。
上手く噛み合った者同士が、カップリング成立として、帰り際にスタッフからこっそり伝えられ、お開き。その後はご自由にどうぞ、という流れである。

正直、男性が回転寿司のように回ってくるなかでパニックに陥った私は、最初に話した一人しか番号と顔が一致しなかった。なので、その人の番号だけを書いて提出してみた。
(ちなみに、私がその場の中では若かったからだろう、異性からの指名が一番多かったらしくなんちゃらレディに選ばれた。ドヤ感。)

結果は、見事マッチング成功。

…良いのかこれ?
まあ実際、一番誠実そうだったし、そこそこな印象を持っていたので、嬉しくないことはなかった。

その日は連絡先を交換するだけに留まっていたが、後日、初デートをしてきた。
急きょ連絡したにも関わらず、高速で二時間の距離を車で来てくれた。
当日はドライブしてご飯を食べて帰宅。
彼自信は、ご飯すら付き合わせるのが悪いといった感じで、往復四時間かけて、一時間のドライブで帰すつもりでいたようだ。
最悪、ワンナイト…的な感じでも仕方あるまいぐらいの身の程を知った諦めと覚悟を、この歳になると持っているものである。

…まじかこの人。
私は少し、乙女心を取り戻した。

私とは9歳差なのだが、彼は「こんなおじさんで申し訳ない」と終始気にしていた。
男性の三十代半ばは、寧ろこれから始まる所だろうよ。
生粋の年上好きの私には死角はなかった。
青二才とも言える。(何様かと。)

見た目は、かなりの高身長ではあるが、顔自体はあまりモテるタイプではなさそうだ。
かといって、私の好みからそう外れてもいなかった。
真面目そう。そして少し、気難しそう。そんな印象。

そしてなんと今日、2度目のデートをしてきたのだが、飽き性かつ人嫌いな私がそれに踏み切ったのには理由がある。

この人、内面がかなり「変」だったのだ。

いくら相手の気持ちが読めない私でも、流石に初デートで「頭大丈夫ですか?」なんて言葉を放ったりしない。しかも一度ならまだしも複数回も。
(今日に至ってはあまりの酷さに思わず「おいおい、勘弁してくれよ!」と漫画のような台詞を叫んでしまった。)

だが変といっても、決して人を不快にさせる方向性ではない。
頭の良さゆえなのだろうか、知的好奇心が、常に突拍子もないところに向かっている。

ちなみに、上記した今日の叫びは、

「ところで、いつかちゃんの好きな未解決事件は何?」

と、好きな食べ物は何?みたいなノリで質問されたときの返事である。
普段男性の前では常に猫を被ってる私だが、あまりの不可解っぷりに終始混乱していた。

今現在、彼に対しては「こいつはやばいぞ。」という気持ちと、(私も私でやばいことを自覚しているが)とてつもない知的好奇心とが入り交じっている状態だ。

「来てもらうばかりでは申し訳ないので次はそちらにいく。」と申し出たら「わかった、じゃあ車で迎えにいく。」との返事。
「片道二時間を四往復することになるけど?私が行く意味が無いんだけど?」と言ったら、別れ際、手の中に新幹線代をねじ込まれた。

こうなれば、会いに行かねばなるまい。



「いつかちゃんは心が広いんだね。」
デート中の彼のふとした呟きが、存外に嬉しかった。