〜ユリルドの日常生活、ほのぼの(ちょっと腐要素あり、そしてつづきもの)〜
「今日の午後からは天気が回復しーー…」
いつものように部屋着でソファーに俯せになりながらぼーっと一人、テレビを見ていた。
今日は仕事も休みで家の家事もついさっき全てやり終えてしまったので、暇だったのだ。
兄さんは仕事に出かけているので今はいない。何か作ってくれとも言われないし自分の分も今はいらない。
「暇だな……何しよう…兄さんの部屋は入れてくれないから掃除も出来ないし……ん……一眠り、するか…」
駅の食堂の仕事も案外神経を使ったりするので意外と疲れる。
休める時に休んでおかなければとソファーに体を預けながら目をゆっくり閉じていく。
次第に意識が薄れていき…俺は知らないうちに眠っていた。
とんとんとん…
何か近くから音が聞こえる。
いつも聞いている音。
そして…
「ーー♪」
俺の好きな歌…ーー
「んんっ……兄、さ…ん?」
ゆっくりと目を開け、周りを見渡してみると台所でエプロンをして俺に背を向ける兄の姿があった。
俺の声に気付いたのか、兄であるユリウスが顔だけをこちらに振り向かせる。
「あぁ、ルドガー。起きたのか?」
「ん……兄さん何してるんだ…?」
「ん?お前が寝ていたから自分でちょっと料理をな」
今何時だ、と…ふと疑問に思い時計に目を向けるとユリウスが帰ってくる時間から一時間以上も過ぎていた。
寝過ぎた…!!
勢いよくソファーから体を起こして降りると椅子にかけてあったエプロンを取り机の上に置いていた三角巾を急いで付ける。
「ごめんっ!気付かなくて…!」
「いいっていいって。今日は俺が作るからルドガーはのんびりしてろよ。疲れてるんだろ?」
「兄さんの方が仕事だったから疲れてるだろ…俺はただ寝てただけだから…」
鍋を取り出し、中に二人分くらいの水を入れ火にかける。
冷蔵庫からスープに使えそうな野菜を次々取り出していて、ふと大変な事に気が付いた。
今現在も、ユリウスがまな板を使っているのだ。
出したはいいが…野菜が切れない。
「兄さん……俺がやるから休んで…」
「俺の手料理が食べれないって?」
「そういうわけじゃないっ!けど!」
「今日くらい我が儘聞いてくれよ。俺だってルドガーに手料理食べて貰いたいんだ。…な?」
「今日くらいって…」
まぁ…兄さんが我が儘を言うなんて珍しいが…どうしたものか…
「……分かった。兄さんがそこまで言うなら…」
結局許してしまった。兄さんも兄さんだが、俺も兄さんに甘い。
OKの返事を出すとユリウスは嬉しそうに満面の笑みを浮かべてありがとうと言い止めていた手を再び動かす。
ユリウスに聞こえないくらいの小さいため息を一つつきながら先程付けた三角巾を外し机の上に畳んで置く。
エプロンも取る為に背中にあるボタンを外そうと手を伸ばした時だった。
ふわり…ーー
兄さんがいつもつけている香水の香りが仄かにしたかと思えば背後から腕が伸びて俺の体はほんの少し後ろに傾く。
背中が温かい。…兄さんに抱きしめられた。
「………兄さん…?」
体は思うように動かないので顔だけ後ろへ向けると優しい笑顔を向けた兄さんと視線が交わる。
近い。
30cmあるかないかの距離で俺は慌てて顔を背けた。顔が酷く熱い。きっと今の俺の顔は熟した林檎並に真っ赤なのだろう。
「あの……兄さん…なに…?」
「何動揺してるんだルドガー」
くすくすと小さく笑う兄さん。
動揺もするだろう…実の兄に抱きしめられて顔が近いのに…動揺しない方がおかしい。
「兄さん…早く作らないとガス代とか…」
「今はこうしていたいんだが……まぁいいか。またあとで、な?」
意味深な言葉を残し、兄さんは俺から離れてもう一度キッチンに立つと鼻歌を歌いながら手を進めていた。
俺はそんな兄さんを見つめながらエプロンのボタンに手をかける。
またあとでって……兄さんは俺に何する気なんだ…
そういえば風呂の支度をしていなかったことを思いだし、晩ご飯は兄さんに任せて俺は脱衣所に小走りで向かった。
つづく。
これだとユリウスさん完璧これからルドガーさんおかs…←
どんな兄弟も好き!クルスニク兄弟ヤバいよホント!………しかし長くなった(苦笑)