左右話繋がってないです
怪談部の卒業式の話
香月「メンズファッション雑誌に埋もれて絶命しろォ!!」
幸松「いででででで!!!」
横木「今年でこの部つぶしますからね…ふひひ」
市倉「ああ、横木…言い忘れてたんだけどな」
横木「…は、はい?」
市倉「ここの部員、なんだかんだで幽霊部員が5人くらいいたけどな、あれほとんど人間じゃないから。」
?「かくして部は存在しつづける。」
横木「…………ーーは?」
続きから小説もどき
怪談部の3年生卒業式の日。(未来)
しかしでかくなったよな、と幸松が感嘆の声をもらす。
部員の中でも背の小さい方に入る部類であった名雲は、3年生になった頃から身長が爆発的に伸びていた。
「寝る子は育つって言うし」と相変わらず寝ぼけたようなフワフワした雰囲気を保っているが、バランスよく成長した身体は顔立ちも整い、身長差は後ろから数えるようになった。それでも、ベッドが小さいんだよね…と寝ることに全てをかけていると言われなれた彼の、悩みをこぼす姿は相変わらずの愛嬌があった。
「ところで俺、高校も卒業だし、ただの願掛けの筈だったのに似合いまくってむしろこれを見ないと落ち着かなくなったこの黒髪七三分けとフレームレス眼鏡から卒業しようと思うんだが、どう思う?」と幸松が滑舌よくまくし立てる。
「どうでもいいよ」と言ったのは香月だったが、幸松は存外顔立ちが整っている。そのことを密かに香月だけが気にしている事を、幸松は気付いているんだぜとでも言うように「ふふん、どうしてほしいか言ってみなィ」と眼鏡を外しながら香月に向かって軽口のように抜かした。
それにキレる図が右。
横木は3年生が卒業後に唯一残る実在部員の2年生であった。
【関係ない話】
因みにここ3年間、部長は1年に3度部室にくるか来ないかというレベルで多忙な日々を過ごしており、それなのに1年生の時に部長を任せられた謎の人物である。
入学式から1ヶ月過ぎ、クラスの人間に謎の不登校児だと思われていたが、たまたま来れたと快活に登校してきた。勉強は出来る様子で頭も良く好人物で、不健康な様子はなかった。ただ、金髪で高身長、ヤンキーのような風貌でありながら、首から長い数珠を二重にして下げていたのが全ての印象を塗り替えた。その後次のテストまで登校する事は無かったが、学校中の噂になるのに時間はかからなかった。彼は3年間”学校で見かけると幸せになれる寺生まれのTさん”と親しみを込めたあだ名で呼ばれ、座敷わらしの如く扱われていた。
【関係ない話終わり】
唯一確定している部員として、横木は部長を任せられる羽目になってしまった。部員がいなければ、部の存続が出来なくなる。そんな事一切考えていなかったものだから、漠然と今年で長年続いたこの特殊な部を解体させる大罪人になるのだな、とコミュニケーション能力の低さを吐きそうな気持ちの中自嘲した。
今まで友人を怪談部に誘うようなことはしなかったが、怪談部がわりと本物の怪異に近いところをうろついている部であるとうっすら感じ始めた時から、自ら怪談部を話題にする事はなかった。
怪談部の実情が外に漏れる事は殆どなく、怪談を聞かせにくる怪しい集団としての地位をほしいままにしていた。
そんな訳のわからない所に新しい入部希望者は1人として訪れず、幽霊部員として辛うじて席をおいている数人の学年を思い出そうとしていた。
そんな思案をしていると、最後に机を掃除していた市倉が背中を向けたままゆっくりと話しかけてきた。
「ああそうだ……横木…………言い忘れてたけど、ここの幽霊部員な……」
考えが合致したことに横木は少しびっくりして市倉に向き直ったが、市倉はまだ机を拭いている。
声が消え入るように耳に届かず、少し遅れて聞き返した。
「…は、はい?幽霊部員がなんですか?」
周りの音が遠ざかり、なぜか強い不安を感じた。部室にはみんながいて、朝早くに最後の日だからとはしゃいでいる。その声すら壁の向こう側にあるようにくぐもって聞こえた。そして目の前にいる男、市倉は穏やかで優しい先輩だが、こんな…こんな低い声をしていただろうか。まるで声がスロー再生のように低く鈍い。自分の頭の後ろがざわつく。
目の前の男は本当に市倉か?変なことを考えている。男がまたゆっくりと話す。
「……ここの幽霊部員、なんだかんだで5人くらいいたけどな……あれ…ほとんど人間じゃあ、ないから」
「…………………ーーは?」
遠かった全ての音が戻ってきて、横木ははっとする。何が起こったのか考えるより早く嫌な気分で汗が噴き出した。
目の前にいたはずの市倉のような後ろ姿はすでになく、振り返ると本物の彼は名雲たちと一緒に話をしていた。
さっきの男は、いやさっき見たのは一体…。
焦りの中にいる横木を見て、1人納得した人物がいた。
彼も同じような言葉を聞いた人間だったが、この事を誰にも話す事はなかった。だが、人ならざるものの存在を覗き見た経験は、この部に居続ける大きな動機となっていた。
横木はどうするだろうと考えたが、きっとこの部に居続けるだろうと勝手に思った。実際にそうなるだろう。
かくして、人ならざるものの影響を受けながら、怪談部は存在しつづける。
しかしでかくなったよな、と幸松が感嘆の声をもらす。
部員の中でも背の小さい方に入る部類であった名雲は、3年生になった頃から身長が爆発的に伸びていた。
「寝る子は育つって言うし」と相変わらず寝ぼけたようなフワフワした雰囲気を保っているが、バランスよく成長した身体は顔立ちも整い、身長差は後ろから数えるようになった。それでも、ベッドが小さいんだよね…と寝ることに全てをかけていると言われなれた彼の、悩みをこぼす姿は相変わらずの愛嬌があった。
「ところで俺、高校も卒業だし、ただの願掛けの筈だったのに似合いまくってむしろこれを見ないと落ち着かなくなったこの黒髪七三分けとフレームレス眼鏡から卒業しようと思うんだが、どう思う?」と幸松が滑舌よくまくし立てる。
「どうでもいいよ」と言ったのは香月だったが、幸松は存外顔立ちが整っている。そのことを密かに香月だけが気にしている事を、幸松は気付いているんだぜとでも言うように「ふふん、どうしてほしいか言ってみなィ」と眼鏡を外しながら香月に向かって軽口のように抜かした。
それにキレる図が右。
横木は3年生が卒業後に唯一残る実在部員の2年生であった。
【関係ない話】
因みにここ3年間、部長は1年に3度部室にくるか来ないかというレベルで多忙な日々を過ごしており、それなのに1年生の時に部長を任せられた謎の人物である。
入学式から1ヶ月過ぎ、クラスの人間に謎の不登校児だと思われていたが、たまたま来れたと快活に登校してきた。勉強は出来る様子で頭も良く好人物で、不健康な様子はなかった。ただ、金髪で高身長、ヤンキーのような風貌でありながら、首から長い数珠を二重にして下げていたのが全ての印象を塗り替えた。その後次のテストまで登校する事は無かったが、学校中の噂になるのに時間はかからなかった。彼は3年間”学校で見かけると幸せになれる寺生まれのTさん”と親しみを込めたあだ名で呼ばれ、座敷わらしの如く扱われていた。
【関係ない話終わり】
唯一確定している部員として、横木は部長を任せられる羽目になってしまった。部員がいなければ、部の存続が出来なくなる。そんな事一切考えていなかったものだから、漠然と今年で長年続いたこの特殊な部を解体させる大罪人になるのだな、とコミュニケーション能力の低さを吐きそうな気持ちの中自嘲した。
今まで友人を怪談部に誘うようなことはしなかったが、怪談部がわりと本物の怪異に近いところをうろついている部であるとうっすら感じ始めた時から、自ら怪談部を話題にする事はなかった。
怪談部の実情が外に漏れる事は殆どなく、怪談を聞かせにくる怪しい集団としての地位をほしいままにしていた。
そんな訳のわからない所に新しい入部希望者は1人として訪れず、幽霊部員として辛うじて席をおいている数人の学年を思い出そうとしていた。
そんな思案をしていると、最後に机を掃除していた市倉が背中を向けたままゆっくりと話しかけてきた。
「ああそうだ……横木…………言い忘れてたけど、ここの幽霊部員な……」
考えが合致したことに横木は少しびっくりして市倉に向き直ったが、市倉はまだ机を拭いている。
声が消え入るように耳に届かず、少し遅れて聞き返した。
「…は、はい?幽霊部員がなんですか?」
周りの音が遠ざかり、なぜか強い不安を感じた。部室にはみんながいて、朝早くに最後の日だからとはしゃいでいる。その声すら壁の向こう側にあるようにくぐもって聞こえた。そして目の前にいる男、市倉は穏やかで優しい先輩だが、こんな…こんな低い声をしていただろうか。まるで声がスロー再生のように低く鈍い。自分の頭の後ろがざわつく。
目の前の男は本当に市倉か?変なことを考えている。男がまたゆっくりと話す。
「……ここの幽霊部員、なんだかんだで5人くらいいたけどな……あれ…ほとんど人間じゃあ、ないから」
「…………………ーーは?」
遠かった全ての音が戻ってきて、横木ははっとする。何が起こったのか考えるより早く嫌な気分で汗が噴き出した。
目の前にいたはずの市倉のような後ろ姿はすでになく、振り返ると本物の彼は名雲たちと一緒に話をしていた。
さっきの男は、いやさっき見たのは一体…。
焦りの中にいる横木を見て、1人納得した人物がいた。
彼も同じような言葉を聞いた人間だったが、この事を誰にも話す事はなかった。だが、人ならざるものの存在を覗き見た経験は、この部に居続ける大きな動機となっていた。
横木はどうするだろうと考えたが、きっとこの部に居続けるだろうと勝手に思った。実際にそうなるだろう。
かくして、人ならざるものの影響を受けながら、怪談部は存在しつづける。
2018-1-28 17:01
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