会いたくて、
でも会えないのも分かってて。


せめて声だけでも聞きたいと、
名前を呼んでほしいと、
結局連絡をしてしまった。


「少しだけでいいので声が聞きたいです。」

そう言ったわたしに

「電話しようか」

と言ってくれてかけてきてくれた。


ほんの、2、3分でいいと思っていたのに
いろんな話しをしてくれて。


きっとあの人にはお見通しで

「大丈夫。」

って励ましてくれた。





声を聞いたらまた、より会いたくなるのも分かっていたのに。





「いつでも連絡してくれたらいいよ。」

「俺もどーでもいいことでも連絡するわ。」

「電話も、いつでもかけてきてくれていいよ。」




その優しさが、またわたしをどうしようもなくさせる。


わたしのことなんて、なんでもない
どうでもいいくせに、なんて。






受話器越しに静かに泣いていたわたしをあの人は
知らないんだろうなあ。