SCHOOL*DIARY

夏休みの計画。
7月27日 17:47

たんとう:渡辺将元

ちこく :夏休みです。
そうたい:夏休みです。
けっせき:夏休みです。

 今日はもう、夏休みです。
 一学期のせいせきは体育が4で、美術と技じゅつ家庭と理科が3で、あとは全部2でした。すごく良かったので、たん生日プレゼントのほかにも、ほしいものをいっこ買ってやるってお父さんが言いました。すごくうれしかったので「やったぁ!」って言いました。でも、たん生日にケーキは5コ(お姉ちゃんが3つと、お父さんとお母さんから1コと、おじいちゃんとおばあちゃんから1コ)もあるし、部活動もあとすこしで終っちゃうので、とくにほしいものはないなあ……。だから、今度、ほしいものができたらお父さんに言おうと思います。
 小町お姉ちゃんは、

「なんで、体育5じゃないん?」

ってゆってくれました。

「テストが悪いからだと思う」

って答えたら、

「あー! ホケンか! 体育だけだったら、ぜったいに5なのにね」

ってゆって、みんなでザンネンだって言いました。二学期の体育はがんばって5をとろうと思います。体育祭とかマラソンとかたくさんあるから、たぶん、それでいいせいせきをがんばってとれば5になるかな……。でも、うちのクラスは頭も良くって運動しんけいも良い人がいっぱいいるからムリかなあ……。先生はがんばればだいじょうぶってゆってたから、がんばれば平気かなあ……がんばろう。
 あと、理科で3もすごいってゆってもらえました。理科はわかんない漢字はひらがなでも○がもらえるので、健ちゃんといっしょうけんめいおぼえました。とくに今回は大好きな第二ぶんやだったので、おぼえやすかったです。今度も3がとれるようにがんばりたいです。でも、二学期はむずかしいところに入るみたいなので、ムリかなあ……。
 通知表が配られたとき、みんなでみせっこして、葉月ちゃんは全部たすとオレよりひくいみたいで、なんでーってさけんでました。それをきいてた笑ちゃんが、

「テイシュツブツのさでしょー? 将ちゃん、プリントとかそーゆーの、全部だしてるもん」

って、ゆってくれました。
 それを聞いて、オレは「そっかー!」って思いました。葉月ちゃんのほうがテストとか良いせいせきのがあるのに、なんでオレの方が良いのがあるのかなって思ってたからです。

 でも……そしたら、それは健ちゃんのおかげ。

 健ちゃんがいっつも、宿題とかプリントとか全部チェックしてくれるからだと思う。あと、学校に行く前に、かならず忘れ物がないかとかしらべるから、忘れ物とかもあんまりないです。すごいなあ……健ちゃん。だから、健ちゃんにありがとうってゆって、ケーキも好きなの食べて良いよーって、食べきれなくていっぱいあるから呼んだら、健ちゃんはケーキたべながらむずかしい顔をしてオレのせいせきを見ながらウーンウーンって言いはじめました。
 どうしたの、ってきいたら、オレのせいせきが悪すぎて健ちゃんと同じ高校にいけないみたいです。
 それをきいて、オレはビックリしてしまいました!

 健ちゃんとちがう学校なんて!

 オレはいっかいも考えたことなかったからです。健ちゃんとはちっちゃいころからずっといっしょで、てゆうか、健ちゃんがいなかったことをおぼえてません。たん生日だとオレのほうが早いから、きっと生まれたばっかりのころは健ちゃんといっしょじゃなかったと思うんだけど、でも、オムツしてたころの写真とかみても、健ちゃんといっしょの写真ばっかりだから、すごく長くいっしょなんだと思います。
 だから、保育園とかようち園とか、小学校とか中学校とか、ぜんぶ健ちゃんといっしょで、これからもずっと健ちゃんといっしょだと思ってました。
 でも、オレの行ける高校があんまりないんだそうです。健ちゃんは、

「俺は高校行っても野球してえから、近くが良いなとか思ってたんだけど……将元、お前の頭じゃ、近くでいけるとこねえぞ?」

だって。
 私立ならなんこかあるみたいだけど、健ちゃんちは、まだ弟が二人いて、双子だから、いっぺんに色々お金かかって、だから健ちゃんはあんまりメーワクかけたくねえんだってゆって、公立高校に行きたいんだそうです。
 
 オレはどこでもいいけど、健ちゃんといっしょじゃなきゃイヤです。

 だから、健ちゃんにそうゆったら、健ちゃんはすごくうれしそうな、でもこまったようなおもしろい顔をして頭をかかえこんでしましました。ウーンウーンってうなりました。

「将元が入れるところはチカバだと私立っきゃねえし、俺は私立イヤだし金かかるし……あれか? スポーツトクタイみたいなの使えばいいんか? でも、将元のテニスと俺の野球……将元のテニスの方がミコミあるっていえば、ミコミあるよな……あーでも、高校のテニスってコウシキだよな、ナンシキじゃねえよな。そうすっと、ダメなんかな……俺の野球もゼンガクメンジョのトクタイとれるほどすごい……わけねえよ! ハイハイ、それは俺でもいやっちゅーほどわかってます。ウチの野球部が強いのは友永様がいらっしゃるからでゴザイマス! っつか、友永クラスでゼンガクメンジョなんだから、俺じゃムリムリムリムリってなると……どうすんだ? 将元にできること……で、スゴイこと……顔がかわいくて、運動シンケイがすげえいい……ってなれば、アイドルじゃん! そーだよ! うたえねえけど、おどれんじゃん! 頭悪いからフリとかおぼえられるかわかんねーけど、たしか妹尾がジャニだかなんだかにトウコウしようとかさわいでたよな……あれじゃね? アイドルこうほっつーの? ゲイノウコースとかあるトコだったら、将元入れるんじゃね? すげ、アイドルだよ、アイドル! 頭悪くても、顔よけりゃ食ってけるって! よし、将元! ゲイノウコースあるトコ受験すっぞ!」

 これが、健ちゃんがなやみながらゆってた、ひとりごとぜんぶと、答えです。

「でも……健ちゃん。オレは健ちゃんといっしょならドコでも良いけど……ゲイノウコースのある公立ってあるの? 健ちゃんもゲイノウコースに入るの?」

 たしか、葉月ちゃんがゆってたトコはぜんぶ、東京だったなあ……って、思い出しながら健ちゃんにゆってみました。そしたら、健ちゃんは、

「ダメじゃん! 俺、アイドルむりじゃん!」

ってゆって、また頭をかかえこみました。その健ちゃんが、あんまりにも苦しそうだったので、

「ごめんね、健ちゃん……」

ってゆったら、健ちゃんはもっと泣きそうな顔をして、

「そんなコト言うんじゃねえよ! こんなんなるまで、甘やかした俺が悪い!」

って、おこっちゃいました。健ちゃんが悪いコトなんてないのに、オレがぜんぶ、悪いのに。
 だから、健ちゃんに「勉強、がんばる」ってゆったら、健ちゃんはガバアッって起き上がって、

「そうかそうか! じゃあ、今から計画立てるから、夏休みは朝から晩まで勉強だ! 部活以外は勉強だ! 部活が終ったら全部、勉強だ!」

って、すっごくすっごく、うれしそうな顔をして言いました。

 だ ま さ れ た。

 んー……いっしゅん、食べてたケーキの甘さもわすれちゃうくらい、にがい、イヤなコトだけど……健ちゃんといっしょなら良いかなあって思います。それを聞いてたお母さんは、

「アラアラアラ、それはたいへん! いいのよ、健ちゃん。将元は高校にいけなくても、オセンベイが焼ければ♪」

って、台所の方から言いました。健ちゃんは、すごくおどろいて、

「いや、それはヤバイっすよ! 将元は将来、社長じゃねえっすか! その社長がセンベイの漢字も書けなきゃ、ヒョウバン下がるってなもんで!」

ってゆったけど、お母さんもお母さんで、

「あら、でも、そういうところは健ちゃんがサポートしてくれれば良いのよ♪ 健ちゃん、ウチにシュウショクしちゃいなさい!」

だって! そっかー……オレ、将来、社長になるんだーっておどろいたけど、でも、たぶん、お姉ちゃんのだれかが社長になると思うんだけど、でも、健ちゃんと大人になってもいっしょだったらうれしいなって思った。それよりも、おせんべいに漢字があったってことにおどろきすぎて、ちょっと何も言えなくなった。
 うちのお店で使ってる紙袋とか、ほうそう紙そか、そうゆうのは全部、「おせんべいやさん」ってひらがなだから、漢字なんてないと思ってたのにな……ううう、何かたいへんだ。
 健ちゃんは、そんなオレのコトなんてあんまり考えないで、学校から配られた夏休みの計画表に、さっそく明日から「毎日、勉強」の予定を書き始めた。
 本当に部活と勉強のくり返し。でも、たぶん、オレの部活はどんなにがんばっても関東大会がせいいっぱいだと思うから、それより先はなくて、関東大会も行けないかもしれなくて、県大会だと八月には部活おわっちゃうけど、健ちゃんの野球部は強いから……八月いっぱい部活はあると思う。
 そうしたら、とちゅうで、健ちゃんは部活だけど、オレは勉強って日ができてきちゃって、そうゆう時はどうすれば良いのかな……って思って、健ちゃんに聞いたら、

「あー? 小町さんたちは……あれか、店の手伝いとかでいそがしいんだよな……っつーと……アレだ! 坂巻と原良! あいつらをスペシャル家庭キョーシとしてだな……あ、でも、二人ともジュクとか行くかもしんねえな……本当は将元もジュクとかのが良いのかもしんねえけど……もう、夏期コウシュウとかしめきってんだろうなあ……ジュクとか行かなくて、頭良いヤツで、夏、ヒマそうなヤツ……ああ、いるじゃねえか! 田辺だ、田辺! あのハカセなら今さら勉強する必要ねえっつーか、ちがう次元の勉強っつーか、まあ、いつも理科室でなんかしてっけど、半分、友永マチみてえなトコあっから、友永が終わるまでヒマだろうし、理科室はまあ、ソコソコ涼しいから俺が練習してる時は将元、理科室でオベンキョウだな! ハイ、決定!」

って、田辺に何もゆってないのに、ぜんぶ決定にしてた……だいじょうぶかなあ……田辺、頭良すぎるから、オレがバカすぎておどろいちゃうかも知れない。でも、頭良いからオレの頭の悪さもヨソクできちゃうのかな……どうなんかな? 
 健ちゃんは最後の方になると、ケーキかたてにつかみながら鼻歌とか歌いながら計画表を二まい分うめてたけど、とちゅうできちんと

 家族旅行

って入れてくれてたのがうれしかった。毎年、けんちゃんちといっしょに行ってる旅行だから、今年もいっしょに行けたらいいな。オレ、それをモクヒョウにがんばろう! 宿題、ぜんぶ終らせて海に行くんだ!
 



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