Blue room
2015/7/17
Fri
18:48
盗賊、はじめました
【ハヤテ・カノンノ・ジェイド】
「うーん…。」
「どうしたの、ハヤテ?」
「あ、カノンノ!いや、たいしたことじゃないんだけどさ。」
「うん?」
「この間、ジェイドとルークのおかげで、ボクらはアドリビトムになっただろ?」
「うん、おかげで仕事がいっぱいくるようになったよね!」
「それなんだよ。」
「え?」
「仕事が増えたのはいいと思うよ?でもさ、今までは足りない物をナギやカノンノに頼んで採ってきてもらってたろ?」
「キノコとか小麦とか?」
「ああ。でも今じゃ忙しくなったから、そういうワケにもいかないなーって。」
「そうだねぇ。ナギも忙しく働いてるし、私もあんまりパニールのお手伝い出来てないや。」
「だからさ、ボクが自分で採りに行こうと思ったんだ。けどパニールに、ハヤテさんはお外の仕事をしたことがないんですから危ないですよって。」
「そうだね。いつモンスターが襲ってくるかわからないもん、戦ったことのないハヤテが一人で行くなんて、私も賛成出来ないな。」
「そっか、カノンノもそうなら……でもなぁ。」
「おや、悩み事ですか?」
「大佐!そうなんです、ハヤテがちょっと悩んでて…。」
「ほほう、悩みとは無縁そうな彼が、ですか。」
「ボクだって悩むさ。そうだ、ジェイド、実はさ……。」
「……成る程、お話はわかりました。ならばあなたも戦い方を学んではどうです?」
「うん?」
「剣士に術師、猟師に大剣士と、此処には様々な職の方がいらっしゃる。まあ、私のような槍術使いにはなれない仕様ですが、それは諦めて頂く他ありません。」
「仕様??」
「まあ、お気になさらず。そうそう、物資を集めたいなら盗賊などいかがでしょう?」
「ダメだよ、ボクらは海賊だぞ?」
「違うよハヤテ、盗賊っていう職業があるの。本当に盗賊になるワケじゃないんだよ。」
「ふーん…、その盗賊ってどんな職業なんだ?」
「そうですね…、盗賊の魅力は手数の多さや素早い身のこなしでしょうか。」
「ふんふん。」
「中でもローバーアイテムという技は盗賊しか使えず、その技を使えば敵の持ち物を奪うことが出来ます。」
「敵ってモンスターだろ?…どこに物持ってんだ?」
「そこもお気になさらずに。更に!サーチガルドという技を使えば、あら不思議!何処にあるのかも謎なガルドを拾う事が出来ちゃったりします。」
「おお〜。」
「素早く動き敵の持ち物を奪い、時にはガルドを拾い集め懐を潤す…。盗る・集める・倒すの三拍子が揃った楽しい職業ですよ。」
(間違ってはいないけど、腑に落ちないのは何故だろう…。)
「決めた!ボク、盗賊をやるよ!敵を倒すだけじゃなくて、物資を手に入れたりガルドを集められるなんてすごいじゃないか!」
「ええ、すごいですねぇ。ですがこの船はあの義賊アイフリードの船、賊を名乗るならば奪った金品は貧しき者、いえ、このギルドのため使わねばなりませんよ。」
「ああ、任せろ!カノンノ!ボクは盗賊をやるよ!よーしっ!盗って集めて倒すぞー!」
ダダーッと機関室へ直行
「えっ!?あ、ハヤテ!?…行っちゃった。」
「いやー、威勢がいいですねぇ。彼の働きがこのギルドの金銭面の足しになることを期待しましょう。」
「た、大佐…、まさかそのためにハヤテを…?」
「いやですねぇ、そんなことはありませんよ。私は将来有望な若者の背を、ほんの少し押してあげただけにすぎません。その見返りとして、このギルドの懐を潤してもらえれば、とは思っていたかもしれませんが。」
(やっぱりこの人って…。)
「カノンノ!」
ホールに戻ってきた
「わあっ!?」
「これからいいかな?早速仕事をもらったんだ!えーっと、オタオタゼリーの納品、だってさ!」
「ええっ!もう仕事するの?」
「ナギだって加入早々仕事したじゃないか。…あっ!カノンノ、忙しかったかな?」
「!そうじゃないよ。うん、オタオタゼリーだね。じゃあアメールの洞窟に行こうか。」
「ああ!でさ、オタオタゼリーってどう手に入れるんだ?」
「そこはあなたの腕の見せどころです。とは言っても、まだローバーアイテムは使えないようですね…。」
「ローバーアイテムで敵から奪うのか?」
「そういう方法もあるけどね、普通に倒しても拾えるよ。」
「ふーん…、世の中って不思議だなー。」
「そうだねぇ…。」
「それを言ったらおしまいですよ。」
「あ、そうだな。よし、じゃあカノンノ!レクチャーよろしくな!」
「うん!じゃあ、まず道具や装備を揃えようか。」
「うん!」
ハヤテ・カノンノ、ショップへ
「ま、ほどほどにがんばって下さいね。」
数日後、ハヤテに盗賊を勧めた事をジェイドは後悔することになる。
0
<<* top #>>
-エムブロ-