先生は、やっぱり、いつものように私に触れる。今日は数回、避けてみた。でも先生には、数回じゃ効かないね。

分かってる。先生が私に触れる理由は、恋心なんかじゃないってこと。
分かってる、分かってるつもりなのに。ほんのちょっとしたことで、私はまた期待をして、気持ちを消せないでいる。


「食べる?」


先生の声に振り向くと、私の口元にあるチョコレート。先生は、板チョコを一列分、割った欠片を私の口元に差し出していた。

(あーん)

私はそんな、ありきたりな言葉と一緒に、その板チョコを口で受け取った。

口に運ばれたチョコは甘くて、少しだけ溶けていた。大きすぎるチョコに、口の中には甘さがたっぷりと広がる。



口に広がるチョコのように甘い瞬間。先生の隣、私まで、溶けてしまいそう。



◎21日:auさん
拍手ありがとうございます!
前回の記事でdocomoさんと紹介されていましたが、auさんの間違いでした。
auさんお3方、改めてありがとうございました!