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村塾

『なんだこれ…』
朝、目覚めてみると俺の布団には
なぜか水溜まりができていた。
寝ぼけていたのもあって最初は
コレが一体何なのか分からなかったのだが、冷静に考えてみるとコレは世間一般に言うおね…
いやいやそれはない。この年になって
おもら…なんてないないない。うそだ。

とりあえず、ヅラや高杉にバレるとやっかいなので、このことはなかったことにしよう。
と俺はいそいそ布団を二つ折にして、
それを部屋のすみにどかそうとしようとしたとき
『銀時起きろ!いい天気だぞ!布団を干そう!』だなんてアホヅラが入ってきた。
畜生、こんなときにタイミング悪いなオイ…!
『なぁヅラぁ…午前中は天気いいかもだけどよぉ、夕立降るみたいだし止めようぜ。』

『フン、お前の情報など信用できぬ。昨日は雪が降るなんてとんだ嘘つきやがって』

『いや、コレまじだから!…じゃいいや、俺もあとで先干すから先行ってて』

『だめだ!午前中に干すぞ!何しろ午後は夕立なのだろう?』って結局騙されてるじゃねーか!
そして桂は強引に布団を引っ張り出した。俺も片方側を持ち、引っ張ってしまったので布団が広がる。
やばい。水溜まりに気づかれた…
『銀時…』
『いやあのソレ違うから!俺じゃないから!』
『先生におしりたたきされるの決定だな。よし言ってくる』
『ちょ待て待て待てって!!』
とたんにヅラが走りだそうとしたので、急いでその手首をつかむ。
『離せ銀時!汚れるだろうが!』
『ひでえなオイ!だから待ってって…』
なんてギャアギャアやってると
寝ぼけた高杉までもふすまを開けてきやがった。
『おまえら…朝からうっさいんだけど』
すたすた目をこすりながら歩く高杉は下を見ていない。布団を踏みつけ、さらには水溜まりに足を…
『高杉危ない!!』『それは銀時の小べ…ごふがもが』

ビチャ

「『あ…』」
コイツ踏みやがった…
そしてまさかの一言
『あ、コレ俺のよだれじゃん。』









さがる

「土方さん、」
僕の土方さん…ちがう僕が想う土方さんが…ちがう、ちがう僕じゃないひとと寄り添ってたのを見た。
昨夜、何をやっていたんですか、
と聞けたならこのモヤモヤは消えるはずなのに。

「ん、どうした?」
土方さんはこちらを振り返る。やけに優しい顔をしていた。

でも、信じることができない。へへっなんでもないですなんてはぐらかしておいた。僕はあくまでも監察だ。おかしいな。察することなんて、たやすいはずなのにな。けれどそうやって何度も目を瞑り口をつぐんできた僕はただの弱虫なのだろう。

「そうか、ホラ、ちゃんとついてこいよな」

だから僕はいつも一歩下がる。事実から。関係から。背中から。
距離感。

「はい。」

あなたの背中が、とても大きく見えた。

大丈夫。後ろにはいつも僕が。

(高杉)朝

起きたら、左腕に三ヶ所、右腕に五ヶ所虫刺されができてた。今まであまり刺されたことはなかったので、少し驚いた。何しろ着物を着てるのに、吸血できる蚊ってものすごく器用なんだな、と感心してしまった。という呑気な感想ははじめのうちだけで
あとから物凄く痒くなってボリボリ掻いてしまった。ボリボリボリボリボリボリ…しだいにはボリボリじゃなくてボーリボリボリボーリボリボリみたいな感じで爪を皮膚に滑らすこと数十回。ついに出血。マズイ、掻きすぎたと今さら気づく。万斉にウナクールはどこだ、と聞いた。「薬はボラギノールしかないでござるよ」と返された。なんでボラギノールなんだよ"ール"しかあってねぇよ。というか、なんでテメェがボラギノールもってんだよ、なんだよ誰か痔なのかよ!もっと早く言いやがれカス!前便器の横に垂れてた血はむさ苦しい男のケツから流れ出た血だったわけか。なんだよてっきりまた子とかの…女の子のアレかと思って目を背けてた自分が恥ずかしいだろうが。嗚呼全く不愉快だ。 


万斉を軽く小突いた後にまた子にもウナクールはあるかと訪ねてみた。すると「あ!あるッスよ!ちょっと待ってください…」とか言って女特有の小物入れを漁りだしたので「おぉ、でかした」と待ってみたら、取り出したまた子の手にあるのはあの有名な子猫のポケムヒじゃねェか。ポケムヒなんぞお呼びじゃねぇんだよ。ヲイヲイ、いつからここはポケモン会場になったんだ。俺は、俺の皮膚は、ポケムヒの先端の球体ではなくウナクールのもろこしヘッドを求めているんだ。それ以外など邪道!俺ァもろこしヘッドしか認めねぇかんな。とか愚痴愚痴言ってても、天下のウナクールさまは姿を現さないので仕方なく近所のドラッグストアにでも出向くことにした。痒みと戦いながら歩いた結果俺の表情はいつもより数倍獣に近づいていたに違いない。標的ウナクールもろこしヘッドが置かれた棚に手を伸ばし捕獲。よし、あとはレジで会計をすますだけ…ってアレ?あのくそロン毛男店員知り合いじゃね?てかヅラじゃね?マジかよー…今一番知り合いに会いたくないのにどうしてくれんだよー…ほんとどこでも働いてんのなアイツ、神出鬼没すぎて怖い怖い。しかし今俺は痒みと戦っているんだ。このウナクールという武器がないと俺は奴に勝てない。仕方ない、ここは他人のフリしてさっさと会計を済ますしかない。とレジにそっぽ向いて武器を置いた。ヅラは気づいてないようだ。ああ良かったと思う反面冗談抜きにただ忘れられてるだけかもしれない。何だかそれはそれで悲しい。「一点で472円になります」ヅラはそんな俺を他所に淡々と値段を述べたので急いでお金お金と懐を探る。………さっきまで獣の様な表情が急に青白い兎のような表情に変わる。財布を忘れた…。なんでこんな時に…「お客様どうしまし……ん?…もしや貴様……高杉か」ヤバい勘づかれた「何しに来た!ウナクールなど買って今度は何をするつもりだ!!」ヴァカ大きな声を出すんじゃねェエエ!うぉぉお今さら財布忘れたとか言えねぇえええ「黙ってないで何か言わぬか!!」「よう、ヅラァ…実は金を忘れて「ヅラじゃない桂だ」あああ話が進まねぇええ後ろ並んできちゃったよどうす「なんじゃ、ボク金無し子がか?仕方ないきにワシが払ってやるぜよアッハッハッハ」えええまさかの坂本ぉぉおお?!いいやここはコイツに払ってもらってさっさと逃げよう!!坂本が小銭を置いた瞬間にウナクールを掴み走りだした。 ド ン !何かにぶつかった。顔をあげてみればあの銀髪野郎。ああよくもまあこんな時に旧友オールスターなんだよ。しかもこいつ「あ、ワリィちっさくて見えなかったわ」地味に腹立つなオイ!!「って高杉じゃねぇか!!!」遅ェよ反応!!こんなことをしてるからヅラもレジを放って追っかけてくるし、坂本も面白い物見たさでこっちにやってくる。皆が口を揃えて俺の名を呼びはじめた「高杉」『高杉』(たかすぎ)(たかすぎ……
頭がぐるぐるした。ウナクール買いに来ただけなのに(((たかすぎ)))うわあああああああ




起きたら朝だった。
蚊になんて刺されてなかったのだ。

「ハッピーバースデー、俺」

みんな、元気にしているだろうか。

たかすぎ14歳

(もう私も永くはないでしょう..だから)

晋助。あなたは生きる。そう先生と約束できますか。



いつだっただろう。大切なことなはずなのによく思い出せない。そんぐらい昔の話。僕はいつだってあなたに憧れ、焦がれ、そして好いた。
どうしてもう僕の前に現れてくれないのかな。 どこ?あなたはどこにいるの?


目が覚めた。まだ外は暗く、気温も低い。今日もまたこんな時間に起きてしまった。俺はどうやらあの人に依存しているらしく。そう簡単には忘れることも触れることさえたやすくはなかった。


どうしてかこの頃ふと独りを感じることが多い。こんな年になって何だ気持ち悪いことぬかしやがってと思う反面、ただ暗い天井を見つめることは 己の情に毒を塗るような、そんな気分になる。

恋しい。先生が。でも先生はどこ?わからないわからない。さみしい。独りにしないで。お願い誰か、誰か、もう悪いことはしないからいい子になるから。
いやだいやだいやだ独りは…もういや「たかすぎ!落ち着け!!」
とたんに戸を乱暴に引く音と聞き慣れた声が聞こえて、ふいに現実に引き戻された。
気付いたら、自分は汗と涙でぐっしょりだった。ベタベタする。

奴はそばに来て崩れ落ちるようにもたれかかった。暗くてよく見えない。



ひんやり、とした。先生の手もこう、ひんやりしてた。

「たかすぎ…おまえは本当に」
長い髪の毛が顔に触れる。しだいにこいつまで涙を流し始めた。

それから、こいつは隣でずっと泣いてた。そうだ、こいつもあいつも俺もみんな、大切な人を同時に失ったんだよな。残された俺たちに出来ることは…そんなのみんな痛いほど分かってるんだ。


だったら俺は俺の出来ることをやればいいだけだ。それだけ、それだけ。


「そう、お前ならできますよ」



先生の声がする、


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