空蝉の廻「颯」



●颯/ハヤテ(cv内田雄馬さん)
鬼の一族の討伐隊の隊長。冷静でいて、その腕は相当なもの。しかし誰に対しても距離をとって接しており、長である魁にだけは強い忠誠心を持っている。






〜ネタバレ〜
(幸福エンド)
灯巌門の異変を感じ、鬼の一族の村へ行くことになった主人公たち。そんな時であったのは、誰も寄せ付けず冷静で強い鬼、颯であった。
颯は妖魔を倒すための討伐隊の隊長であるほどにとても強く、鬼の一族でも颯に敵うのは長である魁くらい。そんな彼が妖魔を倒す姿は美しく、そして恐ろしほどであり、とても頼れる存在だった。
そんな彼に何度も命を助けられた主人公は心から感謝しており、何度も颯にお礼を言うが颯は「自分は魁様の命令だから助けているだけだ」と、礼はいらないと冷たくあしらった。魁の命令が無ければ人の命など助けない‥そう言う意味のように発する颯であったが、主人公が転びそうになればすかさず支えてくれたり、見て見ぬ振りができる場面ですら無視できないような本当は優しさを持つ鬼であることに主人公は気づいており、心を開いて欲しいと思っていた。
しかし何を言っても自ら孤独の道を選ぶ颯。強くて寂しいその背中に、主人公は何故か惹かれる。
そして何度も諦めずに颯の周りをうろつく主人公に、何故颯は孤独なのかを話してくれた。
鬼は全員「発作」というものがある。それはどの鬼も同じで強い感情を感じた時勝手に発作が起きてしまい、それが起きると身体中に禍々しい模様が現れ、自我が効かなくなり、味方も敵も構わず攻撃してしまうものだった。しかし普通の鬼は幼いころにそれを抑えるための訓練をしており、滅多なことでは起きないものであったが何故か颯だけはそれが強く現れる傾向があり、なんと昔発作のせいで慕っていた義父を殺してしまった過去があった。
その時、義父を殺してしまったショックで自害しようとしたが魁が颯を止め「生きることで償え」と言われたために、魁のためだけに生きようと誓っていた。そしてなるべく感情を殺すために普段から何にも執着しないように、距離を置くように、そうやって発作を起こさないようにし一人で孤独に生きると決めていた。
その言葉を聞いた主人公は、その孤独に涙が出そうになった。自分から孤独になりたいわけじゃない、自分以外を傷つけないためにわざと孤独にしている優しい鬼。そんな彼の心を知った主人公は、彼のために安らぎを与える場所を作りたいと思った。そして、ここまで彼のことを考えるということは、きっと彼に恋をしているからだと気付いた。
その後、妖魔に狙われた主人公が傷つき、更に颯を慕っていた啓太が妖魔になって現れてしまい、それで発作を起こしてしまった颯。しかし主人公は自我をなくした颯に抱きつき、頼むから戻ってきて欲しいと、啓太をこのまま殺してしまったら颯が傷つくことになると、必死に発作を止めた。すると主人公の想いが颯に伝わり、なんと発作が治まったのだった。
今まで発作が起きた際、自分より強い魁が無理矢理力で抑えるほか無かったのに力以外で正気に戻れたのは初だった。そのことで颯はもしかしたら発作をおさえられる術があるのかもしれないと、主人公に感謝した。
そのことがあってから颯の態度は柔らかいものへと変わった。主人公への感謝の気持ちと信頼、そして一人の女性として想うなにかがあった。自然と主人公を下の名前で呼ぶ颯に、主人公が喜びを表すと、颯もそのはにかむ笑顔が嬉しくて自分も頬を染めて微笑んだ。
二人の雰囲気が良くなったのと、颯が他人に対しても気持ちを出すようになったことは同時で、討伐隊の隊士たちや柊に冷やかされる二人。魁も颯の変貌ぶりにポカンと口を開けるほど。そして皆が寝静まった後に月夜に照らされる縁側で、颯は主人公に対し「自分には貴女が必要だ」と言いキスをしてくれ、好きだと言ってくれて二人は恋仲になった。
しかしそんな平和な日々も続かない。湖巌門に妖魔の数が増え続け、隊士たちは負傷し、倒れていく。そして知影の行動が怪しいと睨んでいた颯に、知影はついに本性を現した。そう、妖魔を操っていた黒幕は知影だったのだ。
何故そのような裏切りをしていたのかは分からなかったが、知影は主人公の血を使い何かの儀式を行おうとしていた。そのため主人公の血を奪われないように鬼の屋敷で主人公を守っていたが、ある夜思いつめたような表情の颯が主人公の部屋へと訪れた。口付けをしたいと言う颯は弱々しく主人公にすがりつくようすで、そんな颯の拠り所になりたいと思う主人公はそのまま颯に大切に抱かれた。無骨で雄々しい強いその手が、今は自分のためだけに優しく熱を与えてくれていると思うと、とても熱いものが溢れた。
しかし行為が終わった後、疲れて睡魔に負ける主人公に颯は「すまない」と囁いて消えてしまった。
翌朝やはり行方不明になってしまった颯だったが、そこに知影から文がついた矢が送られてきた。その内容は、颯を助けたくば指定の場所に来いということ。主人公は颯を助けたく、やはりその場へと急いだ。
そこには知影に捕まった颯がいたが、更に妖魔の姿になった颯の義父がいた。颯は義父を盾に知影に操られていたのだ。一度殺してしまった義父のことをどうしても斬れない颯は知影の言うままになるが、それ以上に主人公への気持ちをやはり断ち切れないと、覚悟を決めて義父と知影に向かった。そして、ついに颯は勝ったのだった。
全てが片付いた後、義父を想う颯に寄り添う主人公。涙を流し見つめれば、颯は「貴女と共に歩む未来を生きたい」と言ってくれた。
エンドロール後は、知影がいなくなり門の異変も無くなり平和が訪れた。しかし今回の一件から鬼と人が交流を持つべきだと思った主人公は魁にそのことを提案し、一人ずつお互いの村へ鬼と人を交換することになった。鬼の村には知影のような相談役になる人材として選ばれたのが泰臣、そして人の村には主人公の護衛となれる強さを持つ、颯だった。颯が村に来る日、主人公は待ちきれなくて門の前で待ち構える。そして颯がついた途端その大きな胸に飛び込んだ。驚く颯だったが「会いたかった」と微笑んでくれ、これから二人を認めてもらうために頑張ろうと手と手を取り合った。

(禁断エンド)
幸福エンドルートから分岐。
裏切った知影から呼びつけられるが、一人で行こうとした所魁に見つかってしまい共に湖巌門へといくことに。結果、颯は義父を倒し、魁は知影を倒し、平和が訪れると思ったものの、今回のことで人と鬼が近づくのはやはりよくないということになり人と鬼とが交流することは禁忌となり、颯と主人公は駆け落ちすることにした。
村から離れた山で二人で静かに暮らすものの、颯は残してきたものたちへの気持ち、そして主人公は祈女としての使命を捨ててしまった罪悪感、それらを抱えたまま過ごすが、それでも一番側にいたいと抱き合いながら幸せを噛みしめる。きっと自分が死ぬときは、罪のため妖魔になってしまうと思っても颯と一緒ならそれでもいいと思いながら。

(狂乱エンド)
啓太が妖魔になった際、颯が発作を起こすところから分岐する。
発作を止められなかった主人公に対し自我を失った颯はなんと刀を向け主人公に大怪我を負わせてしまう。意識が戻った颯だったが、愛し始めていた主人公に怪我を合わせてしまった事がショックで、やはり自分は生きている価値のない鬼だと自暴自棄になって行く。更に愛し始めることにより発作を抑えられるかもしれないと淡い期待をしていたため、無理だった事が余計にショックだった。
しかしすでに颯を愛していた主人公は、そんな颯を支えたいと思いそばにいることを決意する。
しかしそれとは裏腹に発作の頻度は上がり、更に症状は重くなっていった。鬼は負の感情から発作を起こしやすいがそれとは他に恋情でも発作を起こす場合があったため、主人公への想いが強くなれば強くなるほどひどくなった。
主人公への執着が強くなり、主人公に近づく鬼は全て排除しようとし始め、更に主人公がほかの誰かを気にすることにも怒り、お前は自分のものだと毎日乱暴に抱かれる事になってしまった。その行為は愛と呼べるものではなく、乱暴で痛みを伴い、そしてその間は必ず発作の象徴である文様が身体中に現れていた。しかしその乱暴な行為が終わり熱が冷めた後、颯は正気に戻り、とても悲しい顔で謝罪し続け怪我を手当てし涙を流して優しくしてくれた。そして最後には必ず「俺を殺してほしい」と懇願した。
そんな颯を一人になんかできるわけもなく、どんな乱暴されようとも、あの優しい颯が本物の颯だと信じ、ずっとそばにいた。
しかしどんどん酷くなる発作に、魁たちも頭を悩ませ始めた。仲間を傷つけ始めたため、このまま発作を抑えられないならば魁の手で颯を殺さなければならないというところまできていた。
だからこそいったん颯と主人公を離れさせるという魁に対し、主人公はどうにか発作を抑えて見せるからもう少し待ってほしいと頼んだ。
しかしそれは叶わず、妖魔の姿になった義父を殺してしまった颯はついにもう正気には戻れなくなり、投獄されてしまう。もう一切あの頃の颯には戻れなくなってしまったがそれでも自分だけはそばにいると決めた主人公は共に牢に入り、正気を失う颯に何度も殴られ毎日体を無理矢理抱かれる日々を送ることになるが、もうそれもお互いなんのためにいるのかわからないほど狂ってしまうというエンド。

(悲恋エンド)
狂乱からの分岐で、魁から二人をいったん離すと言われ、そこで主人公が離れる決意をすると、颯に聞かれてしまうところから始まる。
発狂し山へと逃げてしまった颯を追う魁と主人公。魁がどうにか発作を抑えるために立ち向かうがもう魁のことすらわからなくなった颯は魁を殺そうとした。そしてついに颯の刀は魁の腕を切り落とした。その瞬間、誰を斬ったのか正気が少し戻る颯は絶望し、発狂し、自らを刀で貫こうとするがその瞬間主人公が颯の前に立ち、主人公が刺されてしまう。主人公が倒れたことで意識が戻った颯は死んでほしくないと叫び泣くが、その時ついに颯の体からあの文様が消えていることに気づいた主人公。やっとこれで元に戻れたんだと、意識が薄れる中「生きて、幸せになって」と微笑んで息が途絶えて終わる。

(空蝉の廻)



前のページへ 次のページへ


元カレたちのストーリー (prof) (bkm)

-エムブロ-