嘘月シャングリラ「ヘル」



●ヘル(cv浪川大輔さん)
シャングリラの住人で灯狼隊の隊員。フェンリルとヨルムという兄を持つ、災禍の兄弟の一人。見た目がとても美しく、礼儀正しく大人しい青年。







〜ネタバレ〜
(ハッピーエンド)
災禍の兄弟と呼ばれる三兄弟の一人であるヘルだったが、他の二人とは違い見た目の美しさから貴族たちに可愛がられていた。そのせいもあり嘘月である主人公の護衛もヘルに任命されることになる。
しかし護衛になった瞬間にヘルに告げられた言葉は「君のことが嫌いだ」という一言であり、なぜか一方的に冷たかった。毎日護衛として顔を合わせるものの、必要なこと以外は話さず、笑わず、ただ居心地の悪い時間を過ごす日々。何故なにもしてないのに嫌われているのかわからない主人公だったが、それはヘルが貴族に可愛がられていることにあった。
貴族たちはヘルの見た目が美しいというだけで気に入ってくれていたが、小さい頃から母親や兄弟たちが貴族のせいで辛い思いをしていたのを知っていたため貴族が嫌いだった。しかしそれでも兄弟たちにこれ以上ひどい思いをさせないようにするために自分が犠牲になればいいと、貴族に従順なふりをしていた。そんな貴族たちがいつも崇めるのは「嘘月」。憎い彼らが崇める嘘月に嫌悪するのは仕方がないことであり、嘘月というだけで主人公を嫌いだと思っていたのだ。
しかし実際に毎日会う主人公は思っていた存在とは違ってた。優しくて、穏やかで、人の気持ちがわかる女の子。ヘルが怪我をすれば自分のこと以上に心配して悲しがる主人公に、気持ちが揺れる。
そんな主人公と過ごすうちに、ヘルは「嘘月」を憎んでいただけで主人公自身をにくいわけではないと気づき、主人公のことを名前で呼ぶことにし、二人の関係は良好になった。
それからというもの、二人は穏やかな時を過ごすことができ、意外と子供っぽいところがあるヘルを可愛いと思えたし、ヘルも主人公の笑顔を見るのが嬉しかった。だからこそヘルが嫌な思いをして貴族と付き合っていることをどうにか助けたいと思った主人公だったのだが、ヘルはオルセン卿という貴族だけとは自ら付き合っているようだった。
オルセン卿はとても腕のいい医者だというが人々からの噂は酷いものだった。研究のためなら人をも殺す変態などという噂があり、むしろそれは噂どころか真実であるという話まで聞いた。そんなおかしな人と付き合うヘルに違和感を感じヘルに問いただすと、なんとそこには信じられない真実があった。
ヘルは生まれつき、痛いという感覚がない人間だった。
痛みを感じられないヘルは幼い頃にそれに気が付き、他の人と違う自分が化け物だと思えた。それを知られればきっとフェンリルたちでさえも自分から離れていくと思ったヘルはずっとそれを隠していた。親もいなく、人々からは災禍と呼ばれ、そんな自分にはフェンリルたちしかいなかったから、だから自分も普通の人間になりたくてわざとオルセン卿という変態のもとで痛みを感じることが出来る劇薬の投与という実験材料になっていたのだ。
それを聞いた主人公は悲しんだ。痛みを知らないヘルは主人公が何故悲しむのか分からなかったが、その悲しい顔を見たら胸のあたりがなぜか痛くなった。オルセン卿がもしかして自分の胸にも劇薬を投与したのかと思ったが、それは違った。その胸の痛みは、心の痛みだったから。
主人公が悲しむと自分も悲しくて痛かった。主人公が笑えば切ないような気持ちが痛かった。そして主人公が近くにいるとドキドキして痛かった。自らを傷つける行為以外で痛みを感じるなんて、知らなかった。
そんな風にいうヘルに、主人公は自分もヘルを想うと胸が痛いと言い、二人は自然と唇を重ねる。苦しい痛みじゃなく、熱くなる痛みを初めて感じるヘルはやっと幸せだと感じられた。
そしてヘルはオルセンとは二度と会わないと誓うが、オルセンが実はヘルたちの母であるソニアと接触していたことが分かってきた。嘘月の力で過去を見れる事が分かり、主人公は何度もヘル達の過去を見るとオルセンがソニアに何やら酷い実験を行い、死に追いやったと予想できた。更にもしかしたらヘルは他の兄弟と違い、オルセンの子供なのではないかという疑心にかかり、ヘルは一人自棄になってしまう。
そしてもう自分のことはどうでもいい、けれどオルセンを生かしておけば兄弟たちや主人公に害が及ぶと思いオルセンを一人で伐とうとする。オルセンの猛毒により危機に陥るものの、ヘルは主人公への思いを胸に立ち向かう事ができ、オルセンを捕獲する事ができた。
主人公のことを思い、生まれて初めて生きたいと思えた事に、もう迷いは生まれなかった。兄弟たちと、主人公と共に、もう自分に嘘はつかないで生きようと決心したのだ。
その後オルセンは捕まり、主人公の過去読みの力が議会に認められ、これからはその力を使ってシャングリラの為に嘘月として尽くすことを誓い、そのかわりヘルたち三兄弟の「災禍」としての扱いを無くして欲しいと主人公は願った。そのため三兄弟はもはや人々に疎まれることはなく、幸せに暮らせるようになる。そして主人公もまたその一員として、ヘルたちの家で共に暮らすことになった。
何気ない毎日の幸せな時、ヘルは主人公のそばに寄り添い言ってくれる。「君こそが僕の生きる喜び」だと。そうやって綺麗に微笑むヘルと共にシャングリラで生きることを誓う主人公だった。

(嘘月シャングリラ)



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