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かなしみの標本



朝目が覚めてみたら


威はひとりになっていた



朔は暗闇に紛れて現実を拒んだ


麗司は沈黙に徹して聴きも話もせず


朔夜は両の眼を潰し自分自身の世界を否定した




さて

威は何を拒否すればイイ?

ああ、

抑えきれなくなったキモチが溢れ零れてゆく



助けて下さい、
助けて下さい


あなたが僕を苦しめているのに
あなたしか僕を救えません

ジーザス、それでも僕らは幸せになってはいけないのですか


風の奏でる香り

花の咲き誇る美しさ

木々のざわめき

小鳥の囀り

野草の緑の絨毯




君は横ですやすやと眠っている


僕と同じ顔なのに。
なんでそんなに可愛いの
なんでこんなに愛しいの



嗚呼、空はこんなにも晴れているのに





それでも僕らは幸せになってはいけないのですか


嗚呼、
ジーザス


祈らずにいられない

お決まりの台詞で君を殺す

ねえ、
僕に君の全てを頂戴?




君の素敵な所、一杯知ってるよ


誰よりも自然を愛すトコロも
人にも自分にも優しく出来るトコロも
目を細めて微笑うトコロも
動きに合わせて揺れるクセのある猫っ毛も




君の
弱いトコロも
醜いトコロも

僕なら全部受け入れられる



全部全部愛してる





ダカラ、
僕に君の全てを頂戴?

誰よりも愛してあげるから

空は飛べないけど君に愛を唄うことはできるのです



私は歌を唄う為に生まれた小鳥です




きれいな青空を自由に飛び回る
真っ白な羽根を失っても



愛する色とりどりの花たちを
小さな瞳に映せなくても



透き通った風で揺らぐ葉音を
もう二度と聴けなくても




それでも私は歌を唄うことが出来るのです




この碧い世界で
小さな小さな存在かもしれない
小さな小さな声かもしれないけど




あなたが少しだけでも耳を傾けて聴いてくれたら

それが私の幸せです





私は唄えていますか


もう自分の声すら忘れてしまったけれど

けして上手くはないかもしれないけど





私の心を音に乗せて





私は声を失うまで唄い続けるでしょう
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