*D灰。R-18(?)。長文注意。
手の、綺麗な男だと思った。
細く長く東洋人によく似た色合いのそれが、綺麗だと思った。
(好きと言ってしまったら終わるような気がしてた)
「なァ…………もう1回シようぜ?」
「黙ってろ撃ち殺すぞ変態。」
情事の後のどこか気怠げな雰囲気の中、緩く腰に回された手を容赦なく叩き落として背を向ける。体の内で未だくすぶる熱に気付かぬ振りをしながら。
酷いなァ、とぼやきながら叩かれた手をさすっている。あの、一際綺麗な手が。
ドクン
熱が、上がった気がした。ついさっき触れられた箇所が急激に熱く疼き出す。体の奥底にも再び炎が灯ったようで。自然と速くなる鼓動を悟られぬように、離れようと身を捩るものの背後から抱きすくめられたことで無駄な抵抗に終わった。
「っ…………!!」
「────どうした?」
「…………何でもねぇよ。」
耳元での囁くような吐息と、悪戯に腰を撫でる手に煽られながらも平然とした表情は崩さない。否、崩せない。ここで反応すれば背後の男が調子に乗るに決まっているからだ。腰に手が回った瞬間息が詰まったのに気付かれていないことを祈る。
「………嘘吐け。こんなに熱いくせに。」
途端強い力で後ろに引っ張られそのままシーツに押し付けられる。暗闇でもはっきり分かるほど歪められた口角に、やはり気付かれていたかとクロスは内心溜め息を吐く。透き通るように青い瞳に映る自分の姿を見て、この色も綺麗だと思った。
「………んっ、っ!!」
見つめていた青が近付いて、気付けば口を塞がれていた。冷たく整った容貌とは裏腹に溶けてしまいそうな熱い口付けに酔い痴れる。どちらのものとも取れぬ唾液が口端を伝い落ちてシーツに染みを作るのを横目に、まるで喰らい尽くすかのようなそれを甘受する。
「…っは、っ、ん……、」
名残惜しげに離された唇は赤く濡れ。色っぽいね、なんて言いながら濡れた唇をなぞるあの指がどうしようもなく愛しくて。衝動的にくわえると思いの外驚いたらしい声が聞こえた。
「えっ、ちょっ、クロスっ!?」
形を確かめるように、愛撫するかのように舐め回せばこちらの意図を察したらしく締まりのない顔でティキが満足げに笑う。それが癪に触ったのでがり、とくわえていた指を噛んでみた。
「っ、痛ぇんだけど?」
幾分か不機嫌気味に睨み付けてくる青を視界に入れずに、目を伏せて再び愛しいそれに舌を這わせようとしたが突然引き抜かれてしまい出来ずに終わることとなった。
「…………何だ、」
「どうせ舐めるならコッチにして?」
いやらしげに笑う男の目線の先にはそそり立った男の象徴。変態と罵りながら、また噛んでやろうと思い、体を起こし男の股間に顔を埋めそれに口付けた瞬間、先を読んだように頭を押さえつけられ腰を大きく打ち付けられた。
「んぐっ………んぅっ、」
喉の奥を思い切り先端で突かれ嘔吐いていると髪を引っ張られ無理矢理目線を合わされた。欲望でぎらつく青にまるで射抜くように見つめられ、思わず体が震える。
「────歯ァ立てんなよ?」
「っ、……死ね…クソガキ、」
口では反抗するものの先程のことがあった為、噛むという行為を実行しようとは思わなかった。指に対しての愛撫よりは若干やる気なさげに自らの口内を犯すそれに舌を這わせる。
「なんでそんな嫌そうなわけ?」
若干腹立たしげな口調と共に先端に吸い付くように口付けていた頭を再び掴まれて、猛るそれを深く押し込まれ口内を掻き回すかのように腰をグラインドされる。
「っ…ぁっ、…んんっ!!」
あまりの衝撃に閉じた真紅の瞳から涙が滑り落ちる。喉の奥に突き立てられた男のモノから白濁色の液が迸り気管に入った為より一層噎せる羽目になった。
「げほっ、はっ……!!!」
「あ、悪ぃ、イっちゃった☆」
全く悪びれなく満面の笑みを浮かべる眼前の男を撃ち殺してやりたい衝動に駆られ銃へと伸びる手を必死に抑え呼吸を整える。口内に残る青臭い味に顔をしかめつつ、せめてもの反抗に未だくわえたままだったそれを思い切り噛んだ。
「い゛っっっ!!!!!!!!!!!」
声にならない叫びを上げ悶絶する男を後目に用はないとばかりに萎えきったそれを吐き出し、ザマァミロと顔を歪めて鼻で笑う。今日はもう出来ないだろうと思いベッドから降りようと片足を床に着けた瞬間、凍てつくような殺気を浴びせられ動きが止まった。
「…………何、だ……?」
恐る恐る振り返れば完璧なまでに無表情の男がこちらを見つめていた。否、睨んでいた。珍しいほどに怒りを露わにしているという事実に、背筋を嫌な汗が伝う。このままでは拙い、と本能が告げる。
「……ティ「なァ───そんなに俺を怒らせてぇの?」
名を呼ぼうと口を開いたものの遮るように怒気を孕んだ声が耳朶を打ち自然と閉口せざるを得なかった。
「…………あっそ、じゃあもう手加減してやんねぇ。」
吐き捨てるようにそう呟かれこちらが身構える暇もなく再びシーツへと縫い止められ貪るように口付けられる。ギシリ、と骨が軋むほど強く握られた手首はもうほとんど感覚が無い。
「んっ……んぅ…っは、ん、」
満足に息も出来ないため胸元を這い回る手に抗うことさえ出来ない。押し潰すように弄られた乳首がぷくりと起ち上がり厭らしく存在を主張しているのが嫌でも目に入り頬に僅かに朱が走る。
「───クロスの此処、真っ赤になって………女みたいだな?」
酷く愉快そうに顔を歪めてわらう姿は本来のノアそのもので。悔しさから眉を顰めれば余計に笑みを深めて双丘へと手を伸ばしてくる。
「………今すぐ突っ込んでもいい?」
閉ざされた蕾に触れたかと思うと次の瞬間には2本の指が根元まで突っ込まれ。衝撃に息が詰まるも、容赦なく抉るように動かされる。
「っ…!!……!っ、んっ!!」
ぐちゃぐちゃと響く卑猥な音に聴覚からも犯されているような感覚に陥る。手首を拘束していた手はいつの間にか外されていたが、ティキに抵抗する力などもはや残っていない。
「……………今日はこのまま挿れるから。」
そう言うや否や蕾を掻き回していた指を乱暴に抜き去り、クロスの両脚を大きく左右に開き抱え上げ、猛った己の欲望を一気に突き立てた。
「あっ、っ、んっ!!!」
絡み付いて離さないとばかりに締め付けてくる内壁を堪能しつつ激しく腰を打ちつける。奥を穿つたびに上がる、悲鳴にも似た喘ぎが心地いい。
「ひっ……っ、ぁ!!んっ、ふ…、っあぅっ!」
「はっ……ヨがり過ぎ。無理矢理ヤられんのが好きなんだ?」
嘲笑を浮かべたティキの顔が近づき首筋に歯が立てられる。血が滲むほど強く噛まれ快楽の中に痛みが交じる。唇についた血を舐めとる姿に、自分の今の格好を思い出し羞恥で涙が浮かぶ。
「っ……!!!んっ、や、めろ…ティ…、んっ!」
普段は絶対にやらない正常位でシているのを思い出した上、過ぎた快感への恐怖も相俟ってかクロスの眦から涙が零れ落ち、頬を濡らす。
「やだね。あー……泣いてるクロスも色っぽくていいな……。やーべぇ、」
ハマりそう、と耳元で低く囁かれグシャグシャになったシーツを握り締めていた両手を絡め取られた。律動は容赦のない激しいものだというのに、繋がれた手から伝わる熱はどこまでも優しくて思わずクロスは目を閉じた。
「あ?何目ぇ閉じてんの?閉じんなよ。」
「っ……う、るせぇ、…あっ」
それからクロスは行為が終わるまでどんなに催促されようと目を開けなかった。否、開けられなかった。自分を見つめる青い瞳が態度とは裏腹に酷く愛しげな色を浮かべているのを見ていられなくなったからだ。まるで真綿で首を絞められているような甘い毒が躯中を侵して、思考すらも曖昧になっていくその感覚をクロスは恐れた。溺れていると自覚することを、恐れたのだ。相容れない存在、許されない関係。そんなことは初めから分かっていた。のめり込まない自信があったからこそクロスはティキの誘いに乗った。いつでも切り捨てられると思っていた筈が、今では切り捨てられることを怖がってさえいる。どこで間違ったのだろうか。いつから間違っていたのか。
答えが見つからないまま、揺らぐ心を隠して今日もティキに会う。
倒すべき敵と体を重ねるのを止めない理由。
それは、きっと。
(きれいな手のせい。)
09*11*23
アトガキ
意味不明です(゚゚;;
前半ヤってるだけのくせに何故に後半クロスの独白?←知るかしかもクソ長いってゆー産物。もうだめだ無理だ絶賛スランプですハイ。ぐすん。
絶対いつか修正します。
久々更新のくせにグッダグダですみませんでした(´・ω・`)
タイトル、(好きだと〜)は
『確かに恋だった』様より