主人公・さゆきには、みゆきと言う姉と従兄弟が二人居る。
お互いの姉・兄、妹・弟同士で家が近かったせいか、小さな頃からタッグを組んでいた。
さゆきの憧れである真ちゃんは、中卒で友達とバンドを組み上京してしまった。
従兄弟や姉が小さな頃とは違った夢に向かって就職してしまう中、好きな事をしていつもキラキラ輝いて見えた真ちゃんの夢(音楽で食べていける様になる)を応援していくうちに、自分の夢も真ちゃんの成功になっていく。
※『リズム』の続編で、二年後の設定です。
『ゴールド・フィッシュ』
著者
森絵都
発行者 株式会社講談社
ISBN 978ー4062056687
以下、追記で感想なので、ネタバレする上に主観入ってます。読んでない方や苦手な方はブラウザバックでお願いします。
真ちゃんのバンドが解散。真ちゃんは何か悩んでいるみたいなのに、自分には何も言ってくれない寂しさ。
自分の夢が崩れていく怖さ。
さゆきはそれまでとはうってかわって勉強に打ち込む。それは病的に、ロボットの様に。
“だって、勉強している間は、何も考えずに済むから。”
真ちゃんを就職させようとする真ちゃんの父親が、さゆきに「そんなに夢がほしいなら、さゆきちゃんが、自分で作りなさい」と言う場面が印象深かったです。
そこからさゆきは狂った様に勉強漬けの日々を送るんだけど、この台詞がさゆきにはまって良かったです。
人に期待する事、人を夢にする事の危うさも描かれていたと思いました。
あとがきで作者が、
「人の夢が消えてしまわないように、消さないようにと一時期そんな事を真剣に考えて祈っていた自分を思い出しながら書いた」とありました。