伊坂幸太郎のインタビュー他、伊坂幸太郎が18歳の時に初めて書いた小説『クリスマスを探偵と』も大幅に手直しして収録。
一見、雑誌の様にも見えるが(実際、カバーも無いですし)、内容は伊坂幸太郎ファンなら充実していると感じると思います。
『KAWADE夢ムック 文藝別冊 総特集
伊坂幸太郎
発行者 株式会社河出書房新社
ISBN 978-4-309-97741-6
以下、追記で感想なので、ネタバレする上に主観入ってます。読んでない方や苦手な方はブラウザバックでお願いします。
ひょんなことから出会った人に、探偵はクリスマスの思い出を語る。
貧乏だった探偵にとって、最初は最高のクリスマスだった。貧乏だからと買えないものが、一年にたった一度、サンタクロースからもらえる。
15歳までサンタクロースを信じ続けていた探偵は、サンタクロースを信じたい気持ちと、本当はいないのではないかという気持ちの狭間で揺れていた。
もしサンタクロースの正体が親なら、お金に困ったらこれを売ると言っていた父の宝物・有名人のサイン入りポスターか、母の祖母が祖母からもらった指輪が、探偵のプレゼントと引き換えになくなるだろうと考えた探偵は、自転車をサンタクロースに頼む。そして、母の指輪は父に売られてなくなったのだ。
イヤになり家を出た探偵は、依頼人が母の友人だったことから、母と数年ぶりに連絡をとる。すると母は、父が浮気しているのではないかと言い、調べてほしいと探偵に言うのだった。
調べるのは気が進まなかったが、調べると、確かに女の家に出入りしていた父。その話を聞いた人は、父が母の指輪をその女から取り戻そうとしているのではないかと話す。
赤い服は代替わりして着なくなったというその人は、サンタクロースだったのだ。
伊坂幸太郎らしい、小説でした。
最初の一文のみ残し、後は修正したのだというので当然かもしれませんが。
インタビューは中々読む機会がないので目新しく、面白かったです。
しかし、伊坂幸太郎作品のファンだけれど、作家がこうして顔を出して雑誌のようなものにまで出るのは控えてほしいと思ってしまいます。
インタビューの中で、サッカーの試合を書き起こし、動きのデッサン作業をし、自分が書いた文章からサッカーの試合が見えるように書き直すことが、伊坂幸太郎の作品作りに役立っているという話があり、中々興味深かったです。
また、伊坂幸太郎に影響を与えた100作品みたいな企画があり、伊坂幸太郎が読んだ感想を添えた読者録が載っていました。もっと被るかと思ってましたが、ドストエフスキーの『罪と罰』しか読んだ本が被らなかったのが以外でした。
巻末で作品をまたがって出てくる登場人物が載っていて、思わずメモをとりたいぐらいでした。