生まれて間もなく母親を亡くしてしまったヤスは、母の兄夫婦の養子となった。ヤスを手放した父親は再婚したきり音信不通で、ヤスには父の記憶もない。家族とは一体何なのか分からなくなっていたヤスは、同じく家族の縁が薄い美佐子と結婚した。二人が夫婦となり、とうとう息子・アキラが出来る。

ますます仕事に精が出るヤスは、幼なじみの昭雲夫妻やたえ子ねぇちゃん、職場の人間に恵まれ、失敗しながら成長する姿を描く。

美佐子の子だからこそ自分がトンビでも、鷹の様に出来た子供だと信じて疑わないヤス。
アキラが3才になり、言葉を喋り始めた頃、珍しくグズったアキラは美佐子と共に、ヤスの会社へ遊びに来た。高度経済成長期、どんどん忙しくなる仕事場は、溢れんばかりの荷物で一杯だった。汗だくのヤスに差し入れをと美佐子が持ってきたタオルを、アキラが振り回しながら荷物の間を走ってきた。
タオルは積み荷に引っかかり、アキラに降りかかろうとした積み荷からアキラを守った美佐子は、そのまま死んでしまったのだ。ヤスとアキラは、父子家庭になってしまった。

『とんび』
著者 重松清
発行所 株式会社角川書店
ISBN 978-4-04-364607-4

以下、追記で感想なので、ネタバレする上に主観入ってます。読んでない方や苦手な方はブラウザバックでお願いします。