大規模商業施設・Mで不審な客がした行動により、大混乱が起こり死傷者を何十人も出す事件が起こる。
立てこもりでも何でもないのに客がパニックを起こした原因を探る為、Mで買い物をしていた客らに事情を聞く事になった公務員の俺らは、聞けば聞くほど原因たる何かがない事に驚かされる。
Mではあの日、何が起こったのか?
『Q&A』
著者
恩田陸
発行元 株式会社幻冬舎
ISBN 4-344-00623-2
以下、追記で感想なので、ネタバレする上に主観入ってます。読んでない方や苦手な方はブラウザバックでお願いします。
犬のおしっこが入った袋を床に投げつけ、毒だと思った客は上へ上へと逃げ出す。
やたら上質な服を来たにこやかな紳士が連れて歩く妻が、珍しくもなく大した金額でもない商品を万引きする。それを見たも尚、にこやかな真摯に異常な雰囲気を感じた客は、やがて2人がナイフを取り出し無差別に切りつけると思い下へ逃げる。
何が起こったのかわからないまま、とにかく人の波に乗り、押し合い怪我をし、ついには死者まで出てしまう。
テロか、何かの実験か…様々な説がまことしやかに流れたが、調査にあたった警察や政府の人間も、何も掴めず、原因不明の事件として終結する。
この事件を調査していた公務員の俺は、やがて真相にたどり着く。
政府?が人為的行為における大規模な事件の際のPTSDを調べる為、意図的に起こしたと知る。同時に何人か万引きさせ、水の入った袋を投げ込ませる。人々の集団的な無意識は、もっと異常な事、もっと恐ろしい事が起きていると考えた。
しかし俺は公務員を辞めた後、不用意にその事を外部の人間に話してしまった為、強盗の仕業に見せかけて殺されてしまう。
Mで人々の混乱が起こってすぐ、商品の陳列棚の中に隠れた2歳の女の子は、死傷者が大勢出ていたMで無償で助かった女児として、奇跡の子だと母を中心とした宗教団体の教祖になる。教祖は外部との関係を断ち生きる事となり、やがて大きくなった宗教団体で対立が起こった時、奇跡の子は死亡し、その亡骸をも信者に喰われてしまう。
人はどんなに悲惨な事があっても、前を向いて歩き出す。日本人はそのスピードが恐ろしく早い。そこに目をつけた政府?が国民を使い、実験をしたのだ。
Mに居合わせた人に調査を続け、質問をしているという形式で、受けた印象や感想は全て、会話文で成り立っている。不思議だけれども、会話文だけの文章は読みやすく、そして分かりづらいんだなと思った。人々のキャラクターには引き込まれるのに、最後まで誰かが誰かに質問し、回答するシステムで若干ダレたし飽きた。広がりが欲しかった。