*これは日乱パロです(タイトルでわかるように)。
3/17のお話の続きですが、これだけでも読めます^^
苦手な方はバックプリーズ!
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「………」
学校が終わる時間を見計らい車で迎えに来た冬獅郎は、数分前から門で乱菊を待っていたのだが、どうも門に車を見つけてから機嫌の悪い乱菊に手を焼いていた。
何せ車に乗り込んだ時から仏頂面で、ぷいと窓の外を向いてなかなかこちらを見ようとしない。
原因がわからないだけに対処の仕様がない。
昔から変わらない拗ねた時の乱菊の癖に、どうしたものかと頭を悩ませる。
そうこうしている間に屋敷に着き車のドアをそそくさと自分で開けすたすたと歩いていく乱菊に慌てて追い付くと、視線を合わせて問うた。
「おい、お嬢。何怒ってんだよ」
「怒ってなんか、ないわよ」
いいや嘘だ。元に目を合わせようとしないではないか。
「何か気にいらねぇことしたか?」
「っ……えに、」
「?」
「迎えに来なくていいって言ってるでしょ!」
は?迎えに?何を言いだすんだ、こいつは。
迎えはいつものことではないか。
なのに来なくていいとは意味がわからない。
「は?てめ、何言ってんだ?迎えは毎日のことだろ?」
「っだから!あんたは迎えに来なくていいのっ!運転手だけで十分よっ!」
カチンときた。こいつ何様のつもりで(いや、主人様なんだが)言ってやがんだ?
さすがのオレも少し腹が立ってきた。
「おまえな、何かあったらどうすんだよ!その為にオレも迎えに行ってんだよ!そりゃ忙しくて毎日は無理だけど」
「だから忙しいなら来なくていいっ!」
余りにも頑なに言い張るものだから。
売り言葉に買い言葉。
こうなってしまえば、いつもの二人の口喧嘩はそうなかなか簡単には終わらない。
「んだとてめぇ!ほんっと可愛くないな、おまえは!」
「どうせ可愛くないですよーだ!」
「ほらまた!そんな捻くれた事言うから可愛くないって言われんだよ!」
「うるさいうるさい!!なによ、自分はちょっとキャーキャー言われてるからって調子に乗って!」
「は?いつオレがキャーキャー言われてたよ?」
「しらばっくれないでよ!あたしの学校に迎えに来るたび、女の子たちに騒がれてたじゃない!知ってるんだからね!手紙とか貰ったこと!」
正直びっくりした。
何でこんなこと知ってんだ?こいつは。
そりゃ乱菊を待ってる間、何人かに手紙や物を貰いかけたことはあるが、あくまでも"かけた"だ。
貰ってはいない。貰う前に丁重に断っている(一応執事だからな)。
それなのに、乱菊ときたら。
大方、ちらっとその場面を見て勘違いしたんだろう。有り得る話だ。
そうとわかったら可笑しくて、笑い声がこぼれる。
「な、なによ!急に笑い出して!」
「いやーすまんすまん。お前がそんなにヤキモチをやいてるなんて知らなくってな」
「!!や、ヤキモチなんかじゃないわよっ!!」
「素直になれって」
「ばっかじゃない!!自意識過剰もいい加減に…」
「貰ってねーよ、手紙なんて」
「嘘!だって見たもん!」
「オレは一応執事だぜ?丁重にお断りしてるっての」
「それ、ほ、ほんと?」
「嘘ついてどーすんだよ」
「そ、そうなんだ…なぁんだ、勘違いだったんだ」
「そうだよ、まったく。ヤキモチやきには困ったもんだぜ」
「だからヤキモチなんかじゃ!」
「顔は笑ってるぜ?乱菊?」
言って頭をぽんぽん、と撫でると途端真っ赤になっていく乱菊の顔にまた笑いが込み上げた。
ほんとわかりやすい奴!
「っ、くっそぉぉ!!見てなさいよ!!今度はあたしがぎゃふんと言わせてやるんだから!」
「あーはいはい、ほら行くぞ。用意してきた茶が冷める」
「あ、こら!話は終わってないんだからっ!冬獅郎!」
オレの主人は独占欲が強くてヤキモチ焼き。
けれど憎めない、かわいい奴。とか言ってみたりして。
お子ちゃまの世話は大変だ。