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Story.2-8 (萌葱)


わくわく、と目を輝かせるヴィオラにカインは自分とティールの出会いから、想いの自覚までの流れを大雑把にだが説明をする。

マイエラに視察に来ていたバロン王から引き取られて、それ以降はバロンで育ったティール。

セシルやカイン、ローザとは兄妹、姉妹のように仲良しさんだったとか♪


「へぇ…じゃあ、カインさんとティールさんは、始めは兄妹みたいな関係だったんですね」

「ああ。俺が15の時に、独り暮らしだったっていうのもあって、バロンに来たばかりの10歳のティールを引き取ったんだ」


言いながらティールの頭を撫でるカイン。


「カインは、私にとってお兄さんであり、お父さんでもある存在だったんです」


食事から、何からすべて世話をしていたので、兄のような親のような関係なのは、まあ仕方がないといえるだろう。


「でも、な…ちょうど…4年前に…ティールが俺の部下に口説かれてるの見て…その…」

「自分の気持ちに気付いたんですね♪」


さらに、キラキラと目を輝かせるヴィオラはとっても楽しそうだ(笑)



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Story.2-7 (黎明)



「この子見るとクゥを思い出すなあ…」

「"クゥ"?」

「マンションで飼ってた三毛猫です。元々は捨て猫で、つい拾っちゃったんですよねぇ…なぐさみというか」

今どうしてるんだろう、寂しがってないかな…と一人ぽつりと呟く

「お世話、してくれる人はいないんですか…?」

「うーん…時々近所の人が様子見に来てくれますし、そこで飼われてる猫と仲もいいし、大丈夫かなとは思うんですけど」

「ならいいじゃないか。少なくとも、頼れる存在が一人もいないよりはましだろう?」

「クルルゥ」

ティールの頭を撫でながらカインが答える
側でルシエルも励ますように鳴いた

「そう、ですよね…うん、あの子ならきっと大丈夫」

言い聞かせて空を見上げる。遠くの方で火山が赤く光っているのが見えた
煙で空は綺麗とは言いがたいけれど大きな月が出ている

「それで、もしよければお二人の話も聞きたいな、って」

「俺達の…?」

何から話そうか、そう言ってティールの方を見る
じゃれてくるルシエルを撫でながらティールも同じようにカインを見て首を傾げていた

「強くてかっこよくて、料理もできて頼れる彼氏なんて素敵すぎるじゃないですかぁ」

「そ、そうなのか…?」

少し困ったような素振りを見せるカインとふわりと微笑むティール

「いつ、どこで、どうやって知り合ったんです?」

「…分かったから一旦落ち着け。…どの世界でもこの手の話が好きなんだな、女子っていうのは…」

小さくため息をついて苦笑するカインだった



Story.2-6 (萌葱)



ぽてぽてと陣地内を歩いていると…少し離れた空き地で人の声がした。

それに加え…


「クルルゥ…♪」


何かの生き物の鳴き声も…。


「何だろう…?」


ヴィオラは気になって、声のする方へ足を進めた。


****


一匹の飛竜がカインの顔にすり寄る。


「こら、ルシエル。じっとしてろって」

「ふふっ、ほら、ルシエル?カインがやりにくそうだよ…?」

「クルゥ♪」


ティールの言葉に、次は彼女にすり寄った。


「カインさんにティールさん…」


そう、ヴィオラの目に飛び込んできたのは、飛竜の体を優しく撫でて健康チェックのようなことをしているカインとティールだった。


「!ヴィオラか」

「ヴィオラさん…?」


飛竜を撫でる手を止め、ヴィオラをビックリした顔で見る二人。


「すごい、ドラゴン…!カインさんのですか?」

「ああ。俺の飛竜だ」

「クルゥ?」


よしよし、と宥めるカインに飛竜は首をかしげる。


「飛竜さん、こんにちは」

「…………」


ヴィオラが笑顔で話しかけるが…どうやら警戒しているようだ(笑)


「すまんな。ルシエルは、警戒心が強いんだ」

「ルシエルさんっていうんですね…♪」


可愛い…♪と手を伸ばすと、警戒はしているらしいが、ソロソロとルシエルがヴィオラの手に顔を近づけた。


「わ♪来てくれた♪ふふっ、可愛い♪」


そのまま撫でてあげるとルシエルは嬉しそうに喉を鳴らした。


「あ、そだ♪ティールさん、カインさん。せっかくですし、お話ししませんか?」

「?構わないが…」

「えと、あ…はい…♪」


こくりと頷くカインに、相変わらずのおどおどっぷりなティールだった。


「ルシエルさんも、ね?」

「クルゥ♪」


仲間に入れて貰えて、ルシエルは嬉しそうに鳴いた。




Story.2-5 (黎明)




「それで、君達はどうするの?」

まだ決まっていない臣とヴィオラとかぐや

「いっそ新しく建てちゃう?まだいっぱいあるし」

「ですかねー…あ、でもあんたはダメ」

「え"っ?」

「神聖なる女子の聖域に野郎が入り込むなんて許さない」

「あの、私は臣様がご一緒でもお構いありませぬ故…」

かぐやの肩に手を置いて話すヴィオラ
さりげなくフォローを入れるかぐやに臣がそうだそうだとヴィオラに意義を唱える

「…はぁ」

こんな感じで結局ヴィオラが折れて新しいコテージを建てることに

「両手に花とは、いいご身分だよな」

「俺たちじゃ不満?」

「いやいや、お、男同士の方が話は弾むもんな」

悪戯っ子のような笑みを浮かべながらからかう半兵衛に頭を掻きながら司馬昭が笑って答えた

「ティールはいいの?女の子同士の方がいいとか」

「カインがいいっ」

カインにひっつくティールの頭をカインが撫でる
セシルもセシルで同じコテージならいつでも会いに行けるもんね、と一人納得していた

「んー…それにしても、カインさんの作った鍋、美味しいです」

ついつい箸が進んじゃう、幸せそうな顔で食べるヴィオラ
皿にはてんこ盛りに食材が盛られている

「なら作った甲斐があった…が、食べきれるのか?」

「まだ腹八分にも満たないくらいです」

「そ、そうか」

少し驚きながらも残されるよりはましか、と心の中で呟いたのだった

鍋を食べ終えた後はみんなそれぞれのコテージへ
お風呂に入って汗砂を流しさっぱりしたヴィオラとかぐやは、臣が余っていた食材でこっそり作っていたデザートを食べていた

「夜中に目が覚めてその辺徘徊されても困るから」

という本音にぶーぶー言いながらも食べ終えると風に当たってくると言ってヴィオラは一人コテージを出ていく



Story.2-4 (萌葱)



「ティールさんにセシルさん、ククールさん」

「やあ、ヴィオラ」


セシルはティールから離れ、ククールやティールと一緒に薪拾いをしていた。


「薪?」

「うん。今日の夕飯は手軽に大勢で食べるのに適した鍋らしいよ」

「へー」


言いながら、ヴィオラも薪拾いを手伝う。

あらかた薪を拾い終わり、カイン達の元に戻る。


***

「ただいまー」

「ああ、おかえり」


セシルのご機嫌声に食材を切りながら答えるカイン。
さすがに大人数分なだけあって、鍋もデカイし、食材の量も半端ない…。


「にしても、すごいなー…上手い…」

「俺とティールは二人暮らしだったからな…料理は慣れてるんだ」


バロンに引き取られた幼いティールを世話したのがカインだったのだ。
それはもう、食事からなんからすべて世話をしていた。

半兵衛の言葉に、返事を返し、よし、出来た。と最後の食材が切り終わったらしい。
ドボドボと鍋のなかに食材投入。


「へぇ〜♪いい匂いだな〜美味そうだな〜♪」

「大人数で食べるには、鍋とかおでんとか、カレーやシチューが適してるんだ」


グツグツと煮込みながら話すカイン。
司馬昭は聞きなれない料理名に首をかしげた。


「かれー?しちゅー??」

「ああ、そうか。この時代じゃ無いらしいな。なんなら、次はカレーにするか?」

「え?マジで?」

「食いたいんだろう?」


すごく興味津々な顔をしていたらしい司馬昭を見てカインは苦笑しながらそう言った。


「ああ。食ってみたい」

「じゃあ決まりだな。カレーも、ぶっちゃけ作るの簡単だから俺としては楽だな」


さて、セシルの準備してくれた焚き火のとこ行くぞ、と鍋をもって移動する。


***


鍋が焚き火にかけられ、食材によく火が通るまでみんなで雑談する。

心配そうにカインはティールに問いかけた。


「ティール、セシルに何もされなかったか?」

「?だいじょぶ…♪」


ティール自身はよく分かってないのか、首を傾げてほわりと微笑んだ。


「そうか」


カインも微笑み、ぽんぽん、と頭を撫でてやるとティールはさらに嬉しそうに笑った。


仲睦まじいカップルをほんわかしながら見ていた一同。
そんな中、セシルが口を開く。


「あ、そうだ。ねえ」

「ん?何?」


セシルの問いかけに半兵衛は首をかしげた。


「君達が今泊まってるのってテント、だよね?」

「てんと?」


言ってる意味が分からないらしい。
半兵衛は首をかしげる。
そんな彼を助けるように、ヴィオラが答えた。


「ですね。テントのような、布でできた部屋みたいな…」

「てんと、というのか。で、それがどうかしたのか?」


頷くヴィオラに、馬超は首をかしげた。


「いや、実は、まだコテージ余ってるからさ、使うかなーって」

「コテージって、あれか?」


セシル達の泊まる小屋を見て首をかしげるジン。


「そう。コテージなら部屋分かれてて、お風呂も付いてるし、洗濯も出来るし…」

「お風呂があるならそれがいいなぁ…」


説明するセシルにヴィオラは賛成の意を示す。


「うん。じゃあコテージ建てるね。…と…いくつ建てたらいい?一応、99個持ってるけど…」

「多っ!!」


セシルの言葉に、ジンの突っ込み。


「それは一つ何部屋?」

「えーっと、一階に三部屋プラス風呂と洗濯、トイレ、炊事場に簡易リビング。二階は四部屋だから…計七部屋かな…」

「てことは、七人は同じコテージでOKってことか…」


ふむ、とヴィオラは考える。


「炊事ってことは、そのこてーじ?でも料理出来るの?」

「一応ね。でもご飯は皆でこうやって外でわいわい食べるから、使うとしたら夜食とかかな?」


半兵衛の言葉に、分かりやすく説明するクロス。


「んー、じゃあ、部屋割りどうしよう?」

「馬超さんたち3人は同じコテージがよくないですか?」

「俺は構わんが…」


ヴィオラの提案に馬超が頷き、他の二人も頷いた。

「ちなみに、セシル様たちはどのような組み合わせで?」

「ああ、僕とクロス、ククールは一人部屋。で、ただ、ティールが一人部屋を怖がっちゃってね…カインが同室だよ」

「カインなら信頼できるからね♪」


ニコニコとクロスはご機嫌だ(笑)



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