レビュー★考察 ワカブロ!
2012/04/04 11:27
:手塚治虫
第一回メトロポリス( 漫画)
こんばんわ
レビューブログとしてエムブロさんを再開させていただきました。
ちょこちょこ更新していこうと思うので、よろしくお願いします!
では早速…
一番初めのレビューはこちら!
大好きなメトロポリスを紹介しちゃいます!話題:手塚治虫
手塚治虫の初期SF3部作のひとつメトロポリス。
もちろん、ロストワールドも来るべき世界も好きですが…メトロポリスが一番好きです笑
上の画像はアニメDVDのものですが、まずは漫画版の紹介から行きます!
漫画・メトロポリスあらすじ(手塚治虫漫画全集より)
太陽の大黒点の影響によって、世界一美しい人造人間ミッチィが誕生した! 天使の姿と悪魔の超能力を持ったミッチィをねらう、秘密組織レッド党の陰謀とは何か!? 漫画史上にその名も高い古典的名作、堂々大登場!!
(このあらすじをお借りした本はこちら)
昭和24年(63年前!)に発行されたこの作品。
手塚治虫先生の中期・後期作品に比べ、絵はとてもあっさりしたものですが、心に問い掛けてくるようなストーリーは、読み込めばページ数の少なさを忘れてしまうほどの深いもの。
ていうかセリフがいちいち難しい!
読んでいると少し疲れてしまうかも…笑
この作品の中には、美術の教科書にも載っているアニメーションのような遠近法を使ったコマがあります。ピッコロ博士が
「諸君 一大事だ 天下の 一大事だーっ」(手塚治虫漫画全集「メトロポリス」19頁より)
と叫びながら駆けてくる6つのコマは、見覚えのある人もいると思います。
また、モブシーンもたくさんあり、セリフを追うのも大変!
しかし人物の描き分けは素晴らしく、同じキャラクターはいません。さすが神様、と言ったところです。
メトロポリスの主人公であり、ヒロインでもあるミッチィは、のどにあるボタンで男女両方になれる人造人間。
手塚作品のすべてではないにせよ、大多数に含まれている最大のモチーフは、変身=メタモルフォーゼだ。(平成20年11月30日発行「フィギュア王」No.129 42頁より)
ミッチィも、例によってメタモルフォーゼします。
ちなみにミッチィは鉄腕アトムで、アトムの母親役をやっています。(ロストワールドでは植物から作られた人造人間、あやめ役。)
手塚治虫作品を読む際の大前提は、スターシステム。
様々なキャラクターが、名前を変え、ときには姿も少し変えて様々な役になるという、映画が大好きな手塚先生ならではのこだわり。
(先生はディズニーも好きで、作中には学名ミキマウス・ウォルトディズニーニというネズミが出てきます笑)
一時的にスターシステムを取り入れたマンガ家は数あれど、最後までこだわり続けたのは手塚だけであり、この「制作手法」は手塚マンガの大きな特徴ともなっている。(手塚治虫漫画劇場 華麗なるロック ホーム 3頁より)
さてここで、ミッチィの親友ケン一の紹介。
彼はスターシステムの代表格。
初期SF3部作にはもちろん、鉄腕アトムやブラックジャックにも出演しています。
脇役から主役まで、様々なキャラクターを演じるスター。
メトロポリスでは親友であるミッチィを救おうと奮起します。
大人びた考え方や、若い故の行動は、読んでいて心強さを感じられます。
他にもミッチィに執着する、物語のキーキャラレッド公。
お馴染み私立探偵、伴俊作(ヒゲオヤジ)。
ヒゲオヤジとの短い友情を持った奴隷ロボットのフイフイ。
フイフイとの別れは、悲しくて読む人にもレッド公を憎ませてしまいます。
この作品の見所は、なんと言ってもロボットが暴動を起こすところからの、ミッチィとケン一の戦うシーン。
そして、黒点による異変で生まれたミッチィ最期…
おそらく
いつかは 人間も
発達しすぎた
科学のために
かえって
自分を滅ぼして
しまうのでは
ないだろうか?
(手塚治虫漫画全集「メトロポリス」162頁より)
このベル博士のセリフで締められる、メトロポリス。
現代を生きるわたしたちにとって、重要なセリフだと思います。
最初から最後まで、ドキドキハラハラするストーリーは、後半の追い込み・畳み掛けがさらに気持ちを高ぶらせてくれます。
人間と人造人間の友情、人間の勝手さ。
なにかを考えずにはいられない、手塚治虫ワールドに浸れる作品です。
ぜひご一読下さい。
後書き
b o o k m a r k
p r e v
n e x t
-エムブロ-