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二つの翼


この背中に元々あったのは大きな白い翼。

広く大きく暖かな感情を持っていた私の
白い大きな優しい羽根。

青い晴天の大空を自由に飛び回り
暖かな日を浴びて


視界は広く

手を伸ばすことができた。

暖かく美しい世界を
私は愛していた

自分を犠牲にすることさえ
苦に感じないほどに。




浸食されていく

真っ黒で何も通さない

全て跳ね返す
冷たい恨みと憎しみ

復讐を決意した翼。

高い空から信じたものに
叩き落とされ
羽根を失った


新たに育った羽根は黒く


じりじりとした熱さを背に与えて

愛をなくした
感情は

希望も望みも自由もすべて捨てて。



憎悪の中で
ひっそり
悲しみや寂しさに蝕まれながら

救われない光を



道が見えない
終わりばかりが見えて

もう空すら自由に飛べない。



さよなら。



世界を
愛していた。


白い翼を焼き払い
黒く憎悪に焦げた翼を


羽ばたかせ


誰もいない遠い空へ




孤独を共に。
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