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諸行無常


森の蠢きでわかった
「私は水にすぎないのです」

それは一枚の葉を散らせ
空の一点を曇らせた。
霧で翳り
風が止む、
落ちた木の葉は
水沫の戯れにのまれ、
やがて雨が降り出した。



老いること。

なにものも起こさぬよう
口をしまった、
骨になった私に
見知らぬ誰かが
砂を被せていく。


雨が止むとき
私も静けさを取り戻す。

花が咲いてから思う
ほんとは海に沈みたかったと。

自我

この窮屈な体
痩せていく骨や
言葉を捨てて

人になるんだ
僕は


君が生まれて
靴を履くまでの間に

言葉以外の何かで
完成していく


信じてくれ、
何を想像したって
今でも
僕は


人間ではない何か

のままだ

顧みる

君がうなされた悪夢と
僕が見た悲しい景色と
どこが違うだろう。

死んだ記憶が生き返って
それを見た君が泣くなら
生きるってきっと
そういうこと
教えてあげたい。

涙は
君から零れていくだけの
役目でしかないよ
水の
通り道にしか
過ぎない。

それ以外の何かで
存在するなら
それは屈託のない
雑俳のよう。


いのちを
いのちで弔おう、
美しい花
あと何度摘むだろう。
一緒に死ねば
大したことない。
忘れることを
忘れるということ


どこにいても
感じている
自我という残酷さ、

日々がささやいても
重要なのは
景色で
音楽だ

彼らは
君の
人間をやめさせない。


生きるというなら
それだけのこと

ただそれだけのことが
かなしい

形成

このむごい体
噎せかえるほどの吐息も

得体が知れないよ
まだ
僕ら

短い詩に
綺麗に収めるには
退屈すぎるね、

言葉や
恥ずかしい体で
愛などと語った

どうしようもなさを
手に入れながら
悲しい順に
忘れてく

自分が生んだものは
なんにも覚えてない。


僕が
君の理解を超えたなら
想像に託すだけで
あとは事足りる

そうやって成り立つ

このむごい体

やむなし事

いたずらに
過ごした日々の
優しい速度

君の
確かめるような仕草で
しなる骨も
僕のすべて
尊い世界。


優しさが
どんな包み方をしても
それは僕たちを
蝕んでいく。

うたうことを忘れたら
限りあるものも
溢れ出した

どんな一瞬も
やり過ごせるのに
僕たちがそれを
持て余したんだ。


悲しみの終わる方角へ

手を振ることができたなら
なんにもないって
きっとこういうこと

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