話題:今日見た夢
この世には二つの世界があります。
此方側と彼方側です。
彼方側の人々と我々が直接出会う事は叶いませんが、互いに存在を感じ合う事は出来ます。
方法は簡単です。
手を天に掲げて降ると彼方側の人も、それを返してくれます。
そう云われて空へ向かって両の手を振った。
澄んだ空気が指の間を抜けていって、手が急速に体温を失っていく。
手が冷たい。
そう思っていると指先が何かに触れた。
驚いて空へ伸ばした手に目をやったが、其処には青い空が広がるばかりで何もない。
だが、やはり何かが指先に触れる。
きっと彼方側の人が手を振り返してくれているのだろう。
嬉しくなり、更に大きく手を振った。
手に触れる感触が増えた。
まるで空に沢山の手が生えたかのようにざわざわと。
大勢の人間の手が目の前にあるのだろうか。
見る事は出来ないが手に触れる指先の数を考えると、そうなのだろう。
不意に、その中の一つに手首を掴まれた。
痛みはないが力強く、体温は感じられないがギュッと力が入っている感覚がある。
そのままゆっくりと空に引き込まれそうになった。
このままだと連れていかれる。
咄嗟に自分の手首を掴む手を払おうと足掻くと、すんなりと解放された。
彼方側とは何処の事なんだろうか。
内容が内容だけに、自分は近い内に死ぬのだろうかと思った。
何にしろ地味に怖い夢だった。