私には天のお告げ、とか、第六感、とか、そういった不確かなものを信じているふしがある。

昨日、数ヵ月ぶりにひどい憂鬱の波がきて、必死で息をしていた。
計算しても、計算しても、口座の残高が足りなくて、なんて自分は愚かなんだろうと嘆いていた。

今朝も朝からずっと求人サイトを巡っては、あれもだめ、これもだめ。
朝一番に電話した求人は「すみません、もう決まってるんです」と断られた。
その後、別の派遣会社から電話がかかってきて、「ご希望に合う業界ではないのですが・・・」と前置きされてお仕事を紹介されたけど、通勤に時間がかかるところだったので「考えさせてください」とこちらから断った。
それから、大学の時にお世話になった教授と前の前の会社でよくしてくれたおじいちゃん上司に長い間メールを送っていなかったことをふと思い出して、特に報告することもありませんが、なんとか生きていますとかそんなような旨のメールを送った。
見る人が見れば情けないSOSだと気付くだろう。そんなメールだ。

すぐにうんざりしてまた布団に横になり眠ろうとしてみたけれど、なかなか寝付けず、なんとなく「ポジティブになる方法」なんてインターネットで調べてみて、「明るい言葉をたくさん使いましょう」とあったので、思い付く限りの明るい言葉を口に出してみた。

「嬉しい、楽しい、ありがとう、幸せ、いいことがある、いい方に動く、絶対によくなる」

そのうちに今日の夢は火事の夢だったことを思い出したが、きっとまたろくでもない意味なんだろうと思い、起きてすぐには調べなかったけれど、良い言葉をたくさん言ったあと、なんだか気になって調べたら思いの外、良い意味だったのでぎょっとした。

でも、仕事は見つからないし、お金はなくなるし、やっぱりあてにならないと思い始め、水商売の仕事を再開することを本気で悩み、昼すぎにはとりあえず化粧をしてハローワークへ行こうと思い立った。

あらかた化粧を終えて、仕上げにチークをはたいている時に電話が鳴って、携帯電話の画面を見るとフリーダイヤルからのコールだった。
また銀行から額を増やしませんかという営業の電話だろうと思い、放っておいたが、今日に限って随分と鳴りやまないので試しに出てみると、朝に断った会社からの電話で今度は私の希望にあった求人の紹介だった。

通勤もやたら時間がかかるし、交通費もばかみたいにかかるけど、ああやってみたいなと思ったのだった。

そしたら、昨日からの一連の流れがごおっという風の音と一緒に頭の中で再生されて、私はこれを待っていたのかな、と思った。

昨日の時点で惹かれもしない近場の小さな会社に電話していたら。
朝一番の電話で面接が決まっていたら。
化粧を終えてハローワークに行っていたら。
この電話に出ていなかったら。

いろんな可能性を考えてぞっとした。

いろんなifが重なり合って今の状況が生まれているのだとしたら、これは何かの予兆ではないかしら。

ほっとしたら少しお腹も空いてきた。

やってみようかな。神様のいうとおり。


神様へ