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聖騎士と魔術師

  聖騎士ガロアの職務の一環に、月に一度魔法学院を訪ねるというものがある。騎士団に入団しこの町に配属されてから欠かすことのないこの訪問はもうどれ程になるだろうか。始めは新しく来た若者によそよそしい態度であった教官達も、何度か通う内に心を開いてくれるようになった。
  学生数人とも顔見知りになった。ガロアの友人であるヘカーテもその中の一人だ。ジンを師とする彼女は第一印象こそ陰気で取っ付きにくい少女であったものの、打ち解けてみれば存外に明るくよく笑った。気がつけば同い年の二人は無二の親友となっていた。
  ある日、いつものように学院を訪問し教官達への挨拶周りを済ませ。友の私室兼研究室を訪れたガロアはいつになく厚い歓迎を受けた。

「あなたに見てほしいものがあるの!」

 ヘカーテは踊るような足取りでガロアを誘う。嬉々とした彼女に連れられた部屋は研究室の本棚の裏、隠し扉の先をだいぶ降りた地下に在った。ヘカーテによるとこの学院は旧文明の遺跡に増築を重ねたもので、偶然見つけたこの部屋も過去の遺物のひとつなのだそうだ。

「これを見てほしかったの」

 石造りの小部屋は人が三人立てるほどの狭さであった。山積みになった書物と研究机、そして二人が入ってしまえばもういっぱいだ。
 扉を閉めたヘカーテは研究机に置いていた白い塊を大切に両手に収める。柔らかくふわふわとしたその四つ足には命のかけらは感じられなかった。
 ガロアの表情に困惑の色が滲む。

「……ヘカーテ?これは一体……」
「うふふ、ねえガロアは何だと思う?」

 ヘカーテは目を輝かせた。

「ラットよ!五秒間動かすことに成功したの!」
「え…?」
「今までずーっと失敗続きだったんだけどね、初めて動かすことが出来たから貴方に知らせようと思ったの。やっぱり呪文のあの部分を改変したのが良かったんだわ!未完成な今の段階では死んでからの時間も考慮しなければならないみたい。次は比較実験もしてみないといけな……きゃあっ」

 ふいに、背中に強い痛みを感じた。ガロアに壁に押し付けられたのだと気付き呆気に取られ友を窺う。灯明一つの薄明かりの中、彼は悲憤に満ちた表情でヘカーテを見下ろしていた。
いつも柔和なガロアが怒っているのを見るのは初めてだ。

「ガロア」
「ヘカーテ、君は自分が何をしているかわかってるか」

  蝋燭の灯りがくらりと揺れる。
  魔術師の少女の口元には微笑が隠しきれなかった。

「ええ、これは、死霊術よ」



continue...

進捗報告

三歩進んで二歩下がりました。

先日執筆した分を保存せずにいたらしく、月曜日に書いた分は全て溶けてなくなってしまいました。

こまめな保存が大事なのだと、社会人となって改めて気付かされました。



…創作のアレは立ち直り次第また続きを書き始めます。今日はとにかく眠い。

こないだ予告したやつ

…まだ終わりませんでした。

最初は200字程度の小ネタの筈だったのになんでだろう。風呂敷が広がって片付きません。片付けられない女っぷりがここでも発揮されてしまいました。
どうしよう。

壁ドンも当初の予定にはなかったんだ(頭を抱える)

あとは、あれですよね。遅筆ですよね。しょうもないネタならぱっぱと書けるのになぁ。

二人は仲良し

創作予告
「ガロアとヘカーテで壁ドン」

… 何を言ってるかわからねーとお思いでしょうが私にもよくわかりません?(・ω・)←

連休中のupを目指します。
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