話題:毒抜き
■もしものもしものもしもの話。
数ある未来のまた別の話。

【破邪鬼伝*乱鬼/無限の未来の一つの先】

それは突然の出来事であった。

ガサッ・・・・・!!!!!

シャオオオと細長い生物がカセンを襲った。

”コイツは・・・!????”
バタリと倒れるカセン・F・フィルフォーレ。

”カセン、森にて記憶喪失にー・・・・”

そして同刻。

”華桜麗姫ー・・・・失明!!!”

自ら自分の瞳を刃物で傷つけたとされるソレは顔に何十にも包帯を巻いていた。


「どうしたんだ!麗姫!!!急に失明なんて・・・・!????」
戒が扉を開いて現れた。

その後ろに蘭姫と里利が続く。

「・・・・・・・」
顔を見合わせる蘭姫と戒。そして麗姫。

「・・・・・クスッ」
麗姫は笑った。そして
「蘭姫。悪いけど戒と二人きりにしてくれる?」
と蘭姫の頭にポンと手を置いた・・・・。

”姉さん・・・・?”

「ハイ」とその場から離れて行く蘭姫。

”なんだろう・・・・この感じ・・・・”
何か・・・・変だ・・・・・・

それは女の勘だろうか。
小さな少女は確かにその異変を感じ取っていた。

そして麗姫と二人きりになる戒。

「麗姫・・・・」
戒が口を開こうとすると。麗姫がソッと彼の指に手を当てた。

「・・・・・!?????」
いきなりの事で顔を赤くする戒。

しかし・・・・・

「ごめんなさい。戒・・・・・。私の心はもうー・・・・・」

”見たくないものばかり見えて疲れてしまったのー・・・・・・”

「・・・・・・」
そういった麗姫の言葉に戒はどうすることも出来なかった。


”何かが・・・・変だ・・・・・!!!”

これが”事”の始まりだった。

【これは二人のエピソード・・・・・・】

”悲しい話と先の未来”


※注:これは今の華桜崩壊の話が出来上がる前に書いたプロトタイプです。
故に本編とは”役割”の違うキャラクターなどがでてきたりしますが。そのあたりは”そういう設定”なんだと思いご了承ください。

***
「鬼毒?」

「あぁ・・・・。」
彼女、カセンを最初に見つけたのは亜人。ハクトであった。
たろれるカセンを尻目に戒とハクトが会話する。

「麗姫様の”失明は”一次的な”心の病”だけれども」
そう言ってハクトは長くのびた何かの死骸を取り出した。

「彼女は”コイツ”の毒にやられたみたいだ・・・・・」
ドサリ。
スッと取り出して戒の足元に置かれたソレは”本編”とはまた別の役割を持つ”その生物”だった・・・・


”錠喰い(ロック・イーター)”

「かまれた奴は記憶を失くす。」

「記憶を・・・!???」
たんたんとした話口調のハクトにここで初めて戒が動いた。
記憶を失くすとは聞き捨てならない。

「期限は三日間。・・・それまでに”記憶”が戻れば彼女は回復する・・・・・!!!」

「!????」

三日間!?????
麗姫の病も重症だってのに・・・・・・”3日”その間に俺はやれるのか・・・・・!??????

戒はどんどん追い込まれていた。
現在カセンの状況を知るのは内々に話を聞かされた戒一人である。

「・・・・・・・」
・・・・・・”麗姫ーー!!!”
幼馴染のソレが許婚の名を呼ぶ。


「まぁ・・・その間彼女の事は”僕達”が面倒みよう・・・」
と。ハクトが手をかざすと鳥達が集まってきた。

足元にはリスや小動物も動いている。

”それにしても”麗姫”、貴方も人が悪いー・・・・・・・”
包帯の先からハクトは顔面蒼白している戒を見つめていた。

”彼”をこんなにも傷つけるなんてー・・・・・・

「”・・・・・・・”」

その場に立ち尽くす戒。

「・・・・・・・・」

”こりゃなんか”裏”があんな・・・・”
戒の後ろの木の上にはダイナが横たわって様子を見ていた。

そして起き上がって城の方向を見つめる。
”何を考えてる・・・・・・・・”


”麗姫・・・・!!!”

オオオ・・・

そして話は城の麗姫へと戻る。


---
その日私は”夢”を見ました。

ソレは”世界”が崩壊する夢です。


「戒・・・・!!!!」

駆けつけた私が息を切らしてついた膝から顔を上げると戒は剣の刺さったその少女を抱いてこちらを振り替えしました。

そして・・・

「ゴメン。麗姫。・・・俺・・・・騙されてたんだ・・・・」
そういった彼はこちらに笑顔を向けてこういいました。

「カセンが・・・”俺の部下”がスパイだったんだ・・・・・」

ドサリ。
戒が手を離すとするりと剣から抜けたソレはゆっくりしたに落ちた。

”!???・・・・死んでる・・・!????”

「何を言っているの・・・戒・・・!!!!貴方は・・・・!!!!」

”貴方の運命の相手はー・・!!!!!!”

「フッ」
そして彼は笑顔でコチラに近づいてきました。

「俺が護らなきゃいけないのは。麗姫だけだよ・・・・・」

オオオ・・・・・・
城が炎に包まれています。
そして天守閣のその手すりから・・・・・彼女の身体は炎の中へと落ちていきました。

ゾクリ・・・・・
綿の背筋に悪寒が走りました。

”それは騙し続けた”偽りの心”の崩壊でしたー・・・・”

オオオ・・・・

”先読みは夢を見ます”
それは幾重にも繋がった先の未来ーーーー

”起こりかねないその”先”を予知するのですー・・・・・!!”

その中にまぎれていた、その”一つ”の夢。

その後”彼”は”大鬼”と同化し。

”世界を一つ滅ぼしましたー・・・・・・”

---
”罪に気づいた私はその前に自決を考えましたー・・・・・・・”

「・・・・・」
”でもできませんでした。”
からんと小太刀が床に落ちる

”私にも”もう一度”会いたい人がいたからです・・・・・”

オオオ・・

---
失明などしていません。
”コレは私の一つの賭け”

”二人”ができてしまえばー・・・・・
悲しい未来は起きえませんー・・・・


オオオオ・・・・・・・・・

いつもの席に座って迷走する包帯を巻いた麗姫。
しかし開いた瞳のその夢の中に。蘭姫が現れる。

「何を言ってるの!!!姉さん・・・・!!!」

「・・・・!????」
”蘭姫!!!”

はぁはぁと息をするソレは体が大きくはなっているものの確かに蘭姫そのものであった。

「里利(にいさん)の力を借りて”夢世界(ここ)”まで来たの!!!」
大きくなったのは”力の”影響・・・・!!!

そう言って蘭姫は続けた

「白刃が・・・・・!!」

”麗姫はもしかすると・・・・”失明”してないのかもしれないー・・・・・”

「って・・・!!!」
”只、”心の病”で先が見えなくなっているだけかもしれないー・・・・・”


白刃の横顔が脳裏に浮かぶ。

「早まらなくてもいいよ。姉さん・・・・!!!」
えぅえぅと蘭姫が泣きながらそう言った

「”私は絶対。貴方を守る・・・・!!!!”」

・・・・その言葉に目を見開く麗姫。
「蘭姫・・・でも私は・・・・!!!!」

パアァ・・・・・・・

とたんに麗姫の後方が光を放つ。

オオオオオオ

”未来がー・・・・・・”


「(明るく・・・!??????)」

振り返った麗姫に蘭姫は微笑んだ。

「大丈夫だよ。姉さん。」
”一緒に行こうー・・・きっとこの先の”未来”は怖くなんか・・・・無い・・・・!!!”

そう言って麗姫と手を繋ぐ蘭姫。

そして舞台はカセンの夢へと切り替わる。

***
”私の名前は”カセン・F・フィルフォーレ””
厳武様の”恋人”である。

でも時折。ソレが”偽りの幻想”なんじゃないかと思うときがある。

”寂しい”

そんな中で見つけたあの”二人”

『早乙女戒・華桜麗姫。』

キラキラ輝くその姿に何度憧れた事かー・・・・・・

”だからアイツが気になって仕方なかった・・・・”

私もいつかあんな風に・・・・・

”寄り添い生きる相手が出来るだろうかー・・・・・”


オオオオオ・・・・・

「!???」

『急に・・・”世界”が明るく・・・・・・・?』

ぱちり。
カセンが目を開けるとソコにはダイナの顔があった。
「よぅ。そんなに”アイツ”が寂しいなら”俺にしとけよ?”」

寝転んでいた寡占の上半身を抱え上げて顎に手を当てるダイナ。

「なっ!!!」

ダイナの破邪刀”鬼食い”が、魔物の毒を吸い出したのである。


「ダイナ!????・・・あた・・・あたしは・・・!???」
何この展開!??とばかりにあたふたするカセン。


「あたしは厳武様が・・・!!!・・・・!?????」
ダイナを見つめるその奥に人影が見えた。

青い衣装を着たソレは。


戒。


「あ、カセン。目ぇ覚めたのか・・・・!」
戒はどこか驚いたようにそしてどこか嬉しそうにカセンを見つめる。
戒も戒なりに頑張った。一生懸命薬草や効き目のありそうなものを探し歩いていたのだ。

「・・・・」

”・・・・そうだ・・・!!!あたし。記憶が・・・!!!!”
そういったカセンに戒は近づいて真っ赤な花を彼女に向ける。

「あ・・アレ・・・・・?」
今誰か居なかったか・・・・・?
近づいたカセンからはかすかにふわりと彼女とは別の何かいい匂いがした。

「い・・・いないわよ・・・!!!!//」
カセンが慌てて訂正する。

それはお日様を浴びたどこか懐かしい香りであった。


『ソレは小さな希望の救い。』

”ダイナのアレは冗談だって分かってる。・・・・でも・・・・・おかげで思い出せた。”

いつか・・・・・・


『アイツなんかやめておれにしとけよ!!!!!』

誰かにそういわれることがあったら・・・・・・・・・

”私は誰を選ぶのだろう・・・・・・・・”



「無事に”三日目”にたどり着きましたね。蘭姫」

麗姫と蘭姫は別世界からその場所を見ていた。

「行こう、姉さん・・・!!!」
手を握った蘭姫の合図で前に進むとその切り取られた夢世界から二人は現実の世界へと戻ってくる。

『それは一つの鬼の話ー・・・・・』

戒の前に現れた麗姫はいつもの綺麗な大きな瞳をしていた。

それを目の当たりにして真っ赤になる戒。

『未来を夢見る”今”の話ー・・・・・』


その後カセンの張り手が戒に向けられた事は言うまでも無い・・・・・・・。


【破邪鬼伝*乱鬼】