サルファーはテロルの頭上から、刀使いが膝をつくのを見ていた。

「ま、まだだ……」

気力を絞りふらふらと立ち上がろうとしているところに、テロルが唱えていた呪文を解き放つ。
発動の直前に体毛が逆立つような独特の感覚がある。テロルが雷撃を放つ時はいつもこうだった。
放たれた術は遺跡によって威力を剥ぎ取られ、致命傷には至らない。この通路に出る時に盛大に破壊した壁を振り返ると、まだ自己修復中であった。あれが直らない限り自分達は全力を出すことができない。
ともあれここでの戦闘は決着した。刀使いは全身を大きく痙攣させ倒れ、双剣使いは地下水路に落ち、逃げた敵以外はここで全員戦闘不能にした。

「とりあえずは一段落ね」

テロルが汗を拭う。