テロルがその眼前に指を突き出す。
「ひとつ。焦ったところでいいことないわよ。あんたに急ぎたい事情があるのは把握したわ。でもね、今あんたは万全じゃないでしょ? そしてあいつらは怪我の手当てもそこそこに突っ込んで行って、易々と倒せる連中でもないでしょ?」
「それは……」
ケトルがモゴモゴと口ごもる。
「ふたつ」
テロルが掲げる指を増やす。
「ミーナとか言ってたわね。人質がいるのかしら? その辺ちゃんと説明しなさい。あたし、あいつらの儀式を潰すために派遣されたから、そのためなら状況次第でその場にいる全員ぶち倒すかもしれないわよ」
ケトルは怯んだようだった。