*ハロウィン企画の三作目になります。
*今回は切り刻まれた血涙風味のパン。
*知らない間に人の恨み辛みを買う譚。
*被虐者から加虐者への遺言書の裏側。



【:†遺言書からの鈍色束縛慟哭†:】



『続きましては怨恨と被虐者の譚です』
『スープの後は血涙味のパンをどうぞ』

『現実世界で苦悩した果ての末路の味』
『生きるとは命を鎖で繋いでいる状態』

『世界と自分とを命を介して繋いだ鎖』
『それは自分と同時に縁深い者も縛る』

『さて些細な切っ掛けで出来た亀裂は』
『新たな鎖となるか蜘蛛の巣となるか』





(足元に絡み付いた鎖を引き千切る)
(境界から飛び降りて全てを手放す)


心の奥に深く突き刺さった
言葉のナイフが抜けなくて

上手く笑えないの
呼吸が出来ないの

始まりは何だったのかなんて
きっともう思い出せないけど

壊れてしまったこの関係は
きっと直せはしないんだね

私のせいだったのかな?
君のせいだったのかな?

もう分からないね
誰も知らないよね

傷付ける大義名分を掲げた
君は誹謗中傷を引き連れて

確かに有った筈の居場所を
私の中から切り崩して行く

亀裂はどんどん大きくなって
傷痕はどんどん増えていって

元の形が分からなくなるくらいに
体も心も凸凹にされ続ける日々に

慢性的な痛みに背中を押されたら
最後はもう何もかもを手放すだけ

君の大嫌いな私はいなくなるよ
これでもう何も煩わしくないね

これでもう何も苦しまないよね
これでもう君は自由になれるよ

きっと誰よりも自由になれるよ
誰よりも、誰よりも、誰よりも


(足元に散らばった鎖を繋ぎ直して)
(手放した全てが地面に降り注いだ)





『自由と束縛とは紙一重の同意義です』
『束縛が無いと人間は生きられません』

『何か一つを切り離すならそれ相応に』
『何か一つに縛り付けられるのが道理』

『そうして可も無く不可も無く生きて』
『それでも色んなモノを背負う星の下』

『誰かの命を容易く消す事等は総じて』
『自分の命を殺がれる事とお忘れ無く』






話題:☆ハロウィーン★2013☆


はい。皆様どうもです♪
今回はハロウィン企画の三幕目(或いはパン)です。血の涙風味です。鎖をモチーフにしているので、形はプレッツェルの様な感じになってると思います。特殊な岩塩を使用していたら、きっと薄紅色ですね。

さて今回の題材は『束縛』です。おまけに『黒不浄』も付けてみました。遺言書ネタなんてハロウィンに関係無いだろとか言われそうですが、所がどっこい彼岸から訪れる怨念とは、常に『理不尽』と『絶望』と『黒不浄』が憑き物なのです。お約束。

随分と前の記事に、心が不感症な人が増えてるなぁと綴ったのを思い出して、今回はそんな感じでそのまま紡いでみました。

最後の方は、思っている事と言っている事がチグハグな感じになるように綴ってみました。だって、痛み付けられた当人の恨み辛みが、こんなに清々しくて生温い訳が無いじゃないですか……ねぇ?(黒笑)

自由の裏で束縛を唄い。
祝福の声で呪詛を吐き。
仮面の内で嘲笑を刻み。
そして魂は鎖となった。

不条理から産まれる不浄なんて別段珍しい事ではありませんが、いざ張本人になった途端に赦しを請う人間の浅ましさは、どうしてああも滑稽に映るのか。同じ人間でも道理の填まらない事は多いですね。

『怪異以上に怖いのは人間』と言うのも、中々に如何して説得力がありますよね。



ではでは、今回はこの辺で☆



※『黒不浄』=『死の穢れ』の意味。



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