話題:アイドルマスター
あずさ・あずさ「乾杯」
あずさ「それにしても、わたしの迷子癖にも困ったものだわ。まさか異世界にまで迷い込んじゃうなんて」
あずさ「でも、それでこうして会えたんだもの。不思議だけど、この縁には感謝しないと」
あずさ「感謝」
あずさ「わたしがアイドルを始めたのは、運命の人を探すため。これは、あなたも同じなのかしら」
あずさ「えぇ。765プロに入って、みんなと出会って、楽しいこと、辛いこと、いろんなことを経験してきた」
あずさ「わたしも…。でも、時々わからなくなるの。わたしは、何でアイドルをやっているんだろうって…」
あずさ「運命の人を見つける…でも、わたしはアイドル。恋愛は御法度。アイドルを続けるか、恋愛をとるか…」
あずさ「アイドルじゃなければ恋愛はできる。でも、わたしはアイドルを続けていたい。そうでなくても、今のみんなとの関係が壊れてしまうのではないかと不安になる…」
あずさ「みんななら、それでもわたしを受け入れてくれる。けれど、わたしは…」
あずさ「…おかしな話ね。運命の人を見つけるはずが、見つかってほしくないって、心の隅で思ってる自分がいるなんて」
あずさ「本当にね。目的と手段が変わっちゃった」
あずさ「あなたは、わたしより辛い思いを感じたんじゃないかしら竜宮小町というユニットのメンバーである以上、亜美ちゃんと伊織ちゃん、プロデューサーである律子さんに迷惑がかかるって」
あずさ「そうね…。わたし個人の考えで、ユニットのメンバーを困らせるわけにはいかなかった。でも、いつの間にかわたしは、運命の人を探すことより、アイドルでいることを優先していた。これは、あなたも同じじゃない」
あずさ「………」
あずさ「もちろん、運命の人探しを諦めたわけじゃないわ。けど、今はそれよりも大事なことがある。アイドル・三浦あずさとしてやるべきことが。わたしを応援してくれている人のために、今のわたしがやるべきこと…」
あずさ「今のわたしが、やるべきこと…」
あずさ「…ねぇ、輝きの向こう側には何があると思う」
あずさ「輝きの、向こう側…」
あずさ「アリーナライブをする前に、みんなで考えたの。トップアイドルを目指して、そしてそのトップアイドルになったとき、美希ちゃん風に言えばとてもキラキラした時かしら。その輝きの向こう側には何があるのかなって」
あずさ「………」
あずさ「もしかしたら、その輝きの向こう側に、わたしの運命の人がいるかもしれない…いないかもしれない…。そんなことも考えたわ。何があるかわからない。だから、わたしは決めたの。トップアイドルになって、その輝きの向こう側を見るって」
あずさ「………」
あずさ「これが、今のわたしがアイドルを続けたい理由。運命の人を探すためにアイドルになった。けど、今のわたしは『トップアイドルになって運命の人を見つける』よ」
あずさ「……あなたは、強いのね。同じわたしでも全然違う…」
あずさ「……もしかしたら、わたしは、あなたと会うために迷子になったのかもしれないわね」
あずさ「え…」
あずさ「あなたは、迷っているのよ。自分自身の在り方に。道を間違えていたら、誰かが案内してくれるわ。けれど、どんな道を行くのかを決めるのは自分自身。まだ歩んでいないのに、正しいか間違いかもわからない道なのだから、誰も案内などしてくれないわ。…あなたは、これからどの道を選んで進むのかしら」
あずさ「わたしの進む道……」