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一緒に暮らそう

「果南!」
名を呼ばれた子の方を見ると嬉しそうに手を振っている。
ついつられて私も手を振ってしまっていた。
「もぉ〜本当に果南は潜るのが好きねー!」
少し怒った様な口調で唇を尖らせて話す彼女。
金色の髪に瞳。
私の方が吸い込まれてしまいそうで…。
「んー潜ってる間って『無』になれてなんだか、海と一体化してる感じがして好きなんだー」
「そっ! 私は綺麗な海を眺めてる方が好きだわ」
腕組みをしながら、海の眺め方や何処の海が綺麗だったとかを語っている。
「やっぱり潜るのが一番!」
私は彼女の熱く語るのを止め身体を伸ばし彼女に問いた。
「で? 今日はどんな御用でお出でになさったのかしら?小原のお嬢様♪」
「もぉーからかわないで果南!」
この子は小原鞠莉。
沼津では、知らない人はいないほどのホテルを経営しているお嬢様でもあり私の…恋人。
「あーー!果南!今引き目感じてたでしょー!!!!」
うっ…こういう時だけ鋭いんだから。
「そらー感じるでしょ? お嬢様と平凡なダイビングショップの娘だよ?」
「私はそんなのノープロブレムだわ!!」
いや。問題ありすぎるから…
「果南…」
きゅっと小柄な身体が私の身体を包み込む。
まるで、私の抱えている問題を解くかの様に……。
「大丈夫よ果南。きっと私達ハッピーになれるわ!!」
「てか。服濡れるよ?鞠莉!!?」
それでも、腕を解こうとしない。
「高校卒業したら一緒に暮らしましょう」
「ちょっと!?それ!本気なの?!」
呆れたこの子は意味を解って言葉にしているのだろうか?
私達(女性同士)が一緒に暮らすってことは……。
「まるで、プロポーズみたいなんだけど?」
「ホワーイ?!なぜそうなるの?!?」
やっぱり気付いていなかったかこのお嬢様は。
一呼吸して、鞠莉を離し真顔で語る。
「鞠莉!貴方は今!!理事長の身でもあり留学中でもあるのよ?」
「そうよ?」
きょとんと『それが?』といった顔でこちらを見つめている。
思わずため息をついてしまった。
「はぁ〜鞠莉ー嬉しいけどそんな大事な事は安易に言わないでー」
「安易じゃないわ!ずっと想っていた事よ!これから先もずっと果南と一緒よ!!」
彼女の瞳は真剣で言葉を失った。
「ん。ごめん。鞠莉」
私も強く彼女を抱きしめる。
「貴女の気持ちは解ったわ。卒業したら、きちんと両家に認めて貰ってから一緒に暮らしましょう」
「えぇー?!もう!その辺本当に硬いんだからー、果南はー!!」
やれやれといった感じに私から離れ少々呆れているけど、どこか嬉しそうにも見えてしまう。
後ろからキュッと抱きしめて言の葉を伝える。
「鞠莉の事好きだよ。 一緒に暮らそうね」

彼女が顔を赤面させたのは言うまでもない。
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call my name

「まーりー」

「なぁーに? 果南??」

彼女は悪戯っぽく笑い言葉を紡ぐ。

「ただ呼んでみただけ〜♪」

いつもの笑顔で。

鞠莉の心拍数は徐々に上がってゆく

愛する人から名前を呼ばれる幸福感

変わらずにこれからも私の名前を呼んでね?
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