花朧「織田 信長」



●織田 信長/オダ ノブナガ(cv谷山紀章さん)
織田家の嫡男で現当主。主人公の兄で、とても美しい容姿をしているが、残虐非道。力こそが全て。主人公のことを溺愛しており、何より大事にしていた。







〜ネタバレ〜
(愛エンド)
妹である主人公を溺愛する信長、その本心は妹への愛ではなく、もとより一人の女性としての愛だった。
生まれてこのかた、胸に抱えるのは虚無感。何をしても満たされない自分に、実の母親ですら気味が悪いと思っているようだった。しかしそんな時、妹である主人公が生まれると信長は涙を流した。この子は他とは違う、自分と同じ何かがある、だから自分が一生守らなければならないと感じ、喜びから涙した。やっと自分と同じ存在が現れてくれた、自分は一人じゃない。
そんな想いを抱えながら大切に大切にしてきた主人公。大きくなるにつれ更に美しくなる主人公を愛しく思えた。
しかし、戦国の世で力こそが全てだと思う信長に対し、主人公は力では何も変わらないと反論した。誰も傷ついて欲しくないのに、信長は女子供すら容赦なく斬り殺す人。いつも自分に向けてくれる優しさをどうして他の人にも向けられないのかと心痛める。しかし信長は主人公さえ無事なら他の全てはどうでもよかった。主人公が野盗に襲われた時も、一緒にいた村の子供たちのせいで襲われたと思った信長はその日の夜に子供たちの両親を斬り殺した。しかも子供達の目の前で。
大切と思う気持ちが、度が過ぎて、もはや仕打ちは魔蒼と呼ばれるそのもの。
主人公はどうにか信長に人としての心を分かってほしくて信長に冷たくしたが、返ってそれが悪い方向へと向いてしまう。主人公に執着する信長は悲しみのあまり黒狐の力が暴走し、なんと朧力を使えるようになってしまった。覚醒したことにより主人公のそばにいる黒が見えるようになるが、黒が信長に「主人公に執着するのは愛ではなく、黒狐としての力に惹かれているだけ」といったことで、信長は自分の愛が否定されたことに激怒した。この気持ちは特別なものだと思っていたのに、ただ力のせいで惹かれているだけなのかと。そしたらこの溢れる感情はどこにむけたらいいのかと。
そしてその想いを向ける場所が無くなった信長はより一層力を求めるようになってしまった。残虐非道に天下統一をただ目指し、狂ったように力を使い人を殺める。共に力が覚醒した主人公のことすらも道具の1つとして戦に参加させた。
力が全てじゃないという主人公に、戦の場でそれを示せという信長。決意し戦に臨む主人公だったが、初めての戦はそんな生ぬるいものでは無かった。
力というものを目の当たりにし、結局何もできなかった主人公をよそに、信長はどんどん力を使っていった。すると日に日にやつれる信長。そう、本来朧の力である朧力は朧がもつ妖力で出来ているため、いくら朧の血が流れる信長でも妖力はなく、命を削りながら朧力を使うことになっていたのだ。そして主人公はなんと人間ではなく黒狐の生まれ変わりだということがわかり、信長とも血が繋がっていなかった。そして主人公は人ではなく朧であるため力を使ってもやつれはしなかったのだ。そのことを知った信長は更に怒り狂う。主人公への愛の否定に加え、主人公よりも力が劣る嫉妬心。怒りと苦しみと嫉妬と悲しみ。そんな想いが苛立ちに変わり、主人公に冷たく当たった。
そして主人公の説得も虚しく、命を削りながら力を使い続けた。
そして、何度突っぱねられても信長のそばを離れたくない主人公は、この気持ちが慕う気持ちだと気付いていた。
しかし主人公の想い虚しく、信長の意識はどんどん黒狐の力に支配されてしまい、自我を失ってしまう。すると信長の頭には獣の耳が生え、獣の尾が生えた。その姿を偶然に見てしまった光秀は「朧だ」と言い何故か怒り狂って信長を斬ろうとした。朧をとても憎む光秀、それはかつての主斎藤道三が玉藻狐という朧に取り憑かれたことにより全てを失ったことにあった。そのせいで自分の居場所が定まらない光秀は朧に強い憎しみがあり、更に自分も玉藻狐にあてられたせいもあり朧に対して狂気を向ける。
後代返しでどうにかその場をおさめた主人公だったが、信長は獣の姿のままであり、更に光秀にも逃げられてしまう。黒の言葉によりもとより短命であった宿命がある信長はどっちにしろもう少しで死ぬと告げられるが、このまま人を捨て完全に朧になれば生きながらえるかもしれないとのことだった。
それを知った主人公は信長に対し、愛していることを告げる。血への執着なんかじゃなく心から信長を慕っていると。そして例え何になってもずっとそばにいると伝えた。それに対し、自分の気持ちがただの血への執着かもしれないのにそれでもいいのかと言う信長だったが、それでもあなたの力になるならなんでもいいという主人公。すると信長も決意し、主人公に「愛している」と口づけ、ずっと離れるなと言った。
その後、獣の姿のまま重臣たちの前に姿を現した信長。朧の血が流れていることを暴露し、それでも自分についてきてくれるものだけ残って欲しいと言った。勝家や半兵衛、そしてアランたちは残ってくれたが頼りにしていた成政や他の家臣たちは出ていった。
残ったものたちで天下統一を目指し続けるが、その頃事件は起きる。光秀が書状を送りつけ、信長を本能寺へと誘い出した。罠であることは明白であったが、信長はあえて光秀に立ち向かう。
そして本能寺、信長を殺そうと待ち構える光秀は本能寺に火を放つ。そして燃え盛る本能寺で信長と光秀、そして主人公は対峙した。しかし信長はまた暴走し自我を失い危険な状態であったため、主人公の言葉にももう耳を貸さない。このままでは光秀に殺されてしまうかもしれないという状況だったが、光秀が信長を追い込み刀を振りかざした時なんと信長を庇うように帰蝶が現れ、光秀の刀が帰蝶を貫いた。倒れる帰蝶を抱きしめる光秀に、帰蝶は最後の言葉を振り絞り「光秀のことが好きだった」と、ずっと心にしまっていた想いを打ち明けた。そして帰蝶は帰らぬ人となった。ショックを受け涙を流し発狂する光秀はもはや戦意を失っていた。
主人公は信長の意識を戻そうと必死になっているとなんと黒狐の宝剣が祀られている鐵神社へと飛ぶことができ、先代の黒狐が姿をあらわす。そして黒と玉を自身に取り込み、完全な黒狐になったとき宝剣を信長に貫けば信長を朧にすることが出来ると言った。
黒と玉との別れは辛かったが、二匹はずっと姫さんの中で幸せを願ってると言ってくれ、主人公は決意し、二匹とともに宝剣で信長を貫いた。
人でもなく朧でもなく、力に執着しなければ体の中の何かに蝕まれてしまうという孤独で生きていた信長。けれどこれからは一人じゃない。そういって口付ける主人公に、信長は「血の執着なんかじゃなくお前を愛している」と告げてくれた。
エンドロール後は、天下統一から解放されのんびり暮らす二人の黒狐。社の上に登りのんびりと幸せな時を過ごす。黒狐になった今人の善の気を集めることで存在できる二人は、人が善の気持ちを持つことで永遠に生きていられる。二人が想い合う気持ちもまた善。それに満たされたいと甘える信長は以前のような極悪さが消え、とても優しい笑顔だった。そんな笑顔を見つめ幸せだと手を取る主人公は、微笑んだ。

(花朧〜戦国伝乱奇〜)



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